全ゲノムシークエンス解析により乾癬の新規関連遺伝子を発見――見逃されてきた希少変異と構造変異の関与を解明――
- 研究成果
概要
東京大学大学院医学系研究科遺伝情報学の曽根原究人助教(研究当時、現:ウェルカム・サンガー研究所Postdoctoral Fellow)、岡田随象教授(兼:大阪大学大学院医学系研究科 遺伝統計学 教授、理化学研究所生命医科学研究センター チームディレクター)、東京大学医科学研究所 附属ヒトゲノム解析センター シークエンス技術開発分野の松田浩一特任教授(兼:同大学大学院新領域創成科学研究科 メディカル情報生命専攻クリニカルシークエンス分野 教授)、東京科学大学大学院医歯学総合研究科免疫学分野の佐藤荘教授、名古屋市立大学大学院医学研究科加齢・環境皮膚科学分野の森田明理教授らによる研究グループは、日本人乾癬患者と対照者の計5,383名の全ゲノムシークエンス解析により、これまで未解明だった希少変異および構造変異の疾患への関与を網羅的に解析しました。構造変異の解析では、IFNLR1遺伝子座の3.3kb欠失が乾癬発症リスクを有意に低下させることを発見しました。希少変異の解析では、CERCAM遺伝子を新たな乾癬関連遺伝子として発見しました。Cercam遺伝子欠損マウスを用いた実験では、乾癬モデルで皮膚炎症の増悪が観察されました。
本成果は、従来のゲノムワイド関連解析(GWAS)では見逃されてきた希少変異と構造変異が乾癬の発症に関与することを示すものであり、疾患の分子メカニズム理解や新規治療標的探索につながると期待されます。
本研究は2025年8月22日午前11時(米国東部夏時間)に国際科学誌Cell Genomicsに掲載されました。

日本人を対象とした乾癬の全ゲノム配列解析
詳しくは、東京大学医科学研究所ウェブサイトをご覧ください。
https://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/jp/about/press/page_00348.html

