在学生の声 2025

電力系統を深く学ぶ絶好の環境

堀内 碧人(ほりうち あおと)
先端エネルギー工学専攻 修士課程

学部では機械工学科で熱力学を専攻していましたが、4年次の途中から電力需給ひっ迫や再生可能エネルギーの大量導入といった課題に興味を持ち、修士課程では電力系統工学の視点でエネルギー分野を専門的に学びたいと考えるようになりました。 特に、先端エネルギー工学専攻の馬場研究室では電力系統やそれにつながる機器について幅広く研究を行っており、最も興味に合っていたため進学を決めました。

現在は数理最適化や機械学習といった手法を用いて、工場のエネルギーマネジメントに関する研究を行っています。日々新しい分析手法やアルゴリズムを学ぶことができ、ワクワクしながら研究生活を送っています。研究室内で教員や博士の方々から頻繁にフィードバックを受ける機会があり、とても貴重な環境で勉強できています。 また、自分以外のメンバーが取り組んでいる研究テーマについて議論することも多く、修士課程入学前と比べて、電力系統に関する理解が格段に深まったと感じています。

新領域は学部での専攻に関わらずさまざまな分野から学生を受け入れている点が魅力だと思います。興味のある方はぜひ見学にいらしてください。

物理学と機械学習の融合領域への挑戦

太田 力仁(おおた りきと)
複雑理工学専攻 修士課程

学部時代は物理学を専攻しておりましたが、物理学の知見に機械学習を応用する研究に強く惹かれ、現在の研究室へ進学いたしました。

私が現在取り組んでいるのは、マテリアルズインフォマティクスという学問分野です。これは、物質科学(物理)と情報科学(機械学習)を融合させ、新しい材料開発などを目指す研究です。一般的なAIは大量のデータを必要としますが、物理の分野では実験で得られるデータが限られています。また、AIの予測モデルは「ブラックボックス」になりがちで、予測根拠の物理的な解釈性が極めて重要になるという課題もあります。私は、こうした制約の中で、物理法則に基づいた説明が可能な機械学習モデルの構築に挑戦しています。

私が所属する新領域の大きな魅力は、その多様性にあります。専門分野が異なる学生や教員が集まっているだけでなく、学生の活動も実に多彩です。例えば私の研究室では、研究を突き詰めて国際学会で活躍するアカデミックな探究を続ける先輩がいる一方、在学中に起業する先輩もいます。
こうした多様なロールモデルから、日々多くの刺激を受けています。

研究に専念できる充実した環境

志村 瑠香(しむら るか)
メディカル情報生命専攻 博士課程

大学では農学部に所属し主に生命科学を学び、研究室ではマウスを用いて受精の研究を2年間行ってきました。 現在は修士課程から所属している合山先生の研究室で、CRISPR/Casシステムなどを活用して急性骨髄性白血病に対する新規治療戦略の開発を目指して日々研究を行っています。また研究成果を国内学会・国際学会で発表した際は、海外の研究者とも議論できる非常に充実した経験をさせていただくことができました。

私が新領域に入学を決めた理由は2つあります。 1つ目は将来的に研究を通しがん治療に貢献したいと考えていたので、医科学を学べることに魅力を感じたためです。 2つ目は附属の学部がなく、学問の垣根を越えて多様なバックグラウンドを持つ方々と共に研究・議論していく中で成長できると考えたためです。

充実した研究生活を送ることができる環境が新領域には整っていると思いますので、学びたいと思うことをぜひ追究してみて下さい。

地域活動家としての学生生活

正林 泰誠(しょうばやし たいせい)
社会文化環境学専攻 博士課程

学部では建築を学び、現在は地域おこし協力隊といった外部の人が入り込む集落を対象に、地域と人との関係性や場のあり方について研究しています。実際に自らフィールドである千葉県館山市と三重県鳥羽市に長期滞在し、住民の方々と関係を築く中で得られた経験や気づきを、場のデザインや研究に結びつけることを大切にしています。

新領域では、実践と学問を行き来しながら問いを専門を横断する形で深めることが尊重されており、自分らしい研究のかたちを模索できていると実感しています。特に修士課程時には異なる専門や関心を持つ学生や先生との対話から新たな視点を得ることも多く、刺激を受けました。

現場と向き合いながら、建築を通じて地域に寄り添う実践を重ねていきたいと考えています。

持続可能な食糧システムを研究する

ニーナ・ホダロヴァ
国際協力学専攻 修士課程

私はイギリスのコヴェントリー大学で栄養学を専攻しました。そこでは、栄養と人間の健康の関係について主に勉強しましたが、毎日の食習慣が環境に及ぼす影響について関心を持つようになりました。多くの研究で肉食から菜食へのシフトが、気候変動対策、生物多様性の保存、水質保全、その他の環境保全に対する鍵となると言われていますが、このアプローチはしばしば見過ごされています。

現在、私は修士課程で食習慣が霞ヶ浦流域の水質にどのような影響を及ぼすかについて研究しています。私が新領域を選択したのは農業環境研究の研究室があり、私の関心にぴったり合う研究をしている教授がいたことです。吉田先生は水文学と農学の専門家であり、先生との興味深い討論の中で私の知識は増えています。当初、私は水環境についての知識がありませんでしたが、この研究室は知らないことを学んだり、気兼ねなく安心して質問ができる環境です。創造性を発揮して、自分なりの研究課題を深めていくことが推奨されているため、私は新領域での研究を楽しんでいます。ここでの課程修了後は、持続可能な食糧生産の研究者になることが目標です。

もし、新領域に入るかどうかを考えているのであれば、そして、関心があってもまだ知識が足りないような課題を研究したい場合であれば、なおさら新領域で勉強することをお勧めします。ここでは、多くは元々別々の分野を勉強していた学生が集まり、みんなで一緒に新しい概念を学んでいます。

もうひとつの経済の未来を描くために

クリストファー・マーチン
サステイナビリティ学大学院プログラム 博士課程

学部ではマーケティングと広告を専攻し、その後10年以上にわたって国際ビジネスの分野でキャリアを積んできました。中でも、国際的な調査機関の経営陣の一員として働く中で、グローバル経済システムの複雑な現実、そしてそれが環境や社会に及ぼすさまざまな悪影響を目の当たりにしてきました。そうした経験を通じて、現在の経済パラダイムがどのような社会的背景のもとで成立してきたのか、そして構造的な課題を乗り越えるために変革の担い手がどのように介入を設計し、社会実装していけるのかを探究したいと考えるようになりました。そうした思いから、東京大学のサステイナビリティ大学院プログラムに参加することを決意しました。

現在の研究では、ウェルビーイング経済の社会実装に取り組んでおり、GDPに代わる新たな指標に基づく政策介入の設計や、それが既存の経済構造とどのように相互作用するのかを批判的に検討しています。持続可能で公正な社会への移行という大きな課題に、微力ながら貢献したいと願っています。

私が新領域を選んだのは、学際的な研究が奨励され、学生同士が多様に協働できる環境が整っているからです。ここでは学術的な創造性が尊重され、対話を通じて新たな問いや研究の可能性が次々と生まれていきます。そして何よりも、この場は科学的思考の最前線に位置していると実感しています。

私自身の経験から言えば、GSFSは国際的な学生にも非常に温かく開かれた環境であり、好奇心と情熱を持つ人がのびのびと成長できる場所です。サステイナビリティに関心のある皆さんにとって、ここはまさに理想的な学びの場だと思います。

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