2025年大阪・関西万博の会場内周回バスにおいて走行中給電の実証実験を実施
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東京大学
東京大学大学院新領域創成科学研究科の藤本・清水・藤田・永井・郡司研究室、株式会社ダイヘン、株式会社大林組の共同研究グループ(以下、当研究グループ)が開発した走行中給電システムを大阪・関西万博で運行するEVバスへの給電に利用する実証実験を行っています。

会場内での走行中給電の様子
日本初の乗客を乗せた運用
大阪・関西万博では、大勢の来場者の移動を、よりスマートに、よりクリーンに実現するために、会場内周回バスとして、約30台のEVバスが運用されています。そのうち6台に当研究グループが開発した、走行しながら給電ができる「受電システム」を搭載しています。またEVバスが運行する道路と停留所の一部には「送電システム」を敷設しています。2025年大阪・関西万博の開催期間にこれらを用いた「走行中給電システム」の実証実験を行っています。
実証実験では定時運行するEVバスへの走行中給電技術の実証として、給電エネルギーの伝送効率などの技術的性能だけでなく、運用、保守も含めたより社会実装に近い実証実験も実施しています。
本実証実験で使用している技術について、2025年9月29日開催の電気学会 自動車/交通・電気鉄道 合同研究会(※)にて発表を行いました。
走行中給電システムの研究・開発
東京大学大学院新領域創成科学研究科の藤本博志教授、清水修准教授らの研究グループは、長年走行中給電システムの研究開発を進めており、2023年には日本初となる公道での実証実験を千葉県柏市で開始しました。その研究成果を更に発展させ、当研究グループとして新たな、より使いやすく、実装しやすく、持続可能な走行中給電システムの開発をいたしました。
今後の展望
本実証実験は、万博開催期間の2025年4月13日から2025年10月13日までの184日間、継続して実施する予定です。そして本実証実験の結果を反映し、さらに発展させた走行中給電システムの開発を推進し、高速道路での実験や2028年度の大阪市内での路線バスでの実証試験を目標に、走行中給電社会実装の早期実現を目指します。
発表情報
学会名:電気学会 自動車/交通・電気鉄道 合同研究会
https://workshop.iee.or.jp/sbtk/cgi-bin/sbtk-showprogram.cgi?workshopid=SBW00009D51
題目:「2025年大阪・関西万博における来場者輸送用電動バス向け走行中給電システムの開発」
発表者:清水 修 永井 栄寿 藤田 稔之 阮 平明 藤本 博志(東京大学) 築山大輔(ダイヘン) 溝渕 麻子 田中 浩一 富田 康弘(大林組)
発表概要:
(1)受電システム
乗用車とは異なる、EVバス用の電圧変換回路にも適用可能で、コイル検知機能を備えた受電システムを開発しました。
(2)送電システム
柏の葉の実証実験と比較して走行方向1mあたり48%の重量削減をしたプレキャストコイルを開発しました。また、路面と送電コイルを一体化したプレキャストコイルの表面に使用した複数微細ひび割れ型繊維補強セメント複合材料(HPFRCC)は、材料製造時のCO2排出量を50%以上削減しています。
研究助成
この成果は、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の助成事業(JPNP21028)の結果、得られたものです。

