東京大学大学院新領域創成科学研究科

PROSPECTUS

教員紹介

岡崎 浩三 (おかざき こうぞう/准教授/基盤科学研究系)

物質系専攻/物質科学協力講座/レーザー光電子分光、超伝導、強相関電子系

略歴

1998年3月 東京大学理学部物理学科卒業
2003年3月 東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了 博士(理学)
2003年4月 東京大学物性研究所 研究機関研究員
2003年10月 名古屋大学大学院理学研究科 助手
2007年4月 同 助教
2010年1月 東京大学物性研究所 特任研究員
2013年4月 東京大学大学院理学系研究科
2014年7月 東京大学物性研究所 特任准教授
2019年2月 東京大学物性研究所 准教授

教育活動

大学院:複雑物性論、先端物性科学II

研究活動

角度分解光電子分光は物質中の電子の運動量とエネルギーの分散関係(バンド構造)を直接観測できる強力な実験手法であるが、フェムト秒レーザーをポンプ光、その高次高調波をプローブ光として用いることで、非平衡状態におけるバンド構造の超高速過渡特性も観測できるようになる。本研究室では、レーザー開発の研究室と共同で超短パルス高次高調波レーザーを用いた時間分解光電子分光装置の開発・改良を進め、ポンプ・プローブ時間分解光電子分光によって、光励起状態からの電子の緩和過程の直接観測、光誘起相転移に伴う電子状態の変化の直接観測等を行い、励起状態からの電子の緩和機構の解明や光誘起超伝導の直接観測による実証を目指している。また、エネルギー分解能70 μeV、最低測定温度1 Kという世界最高性能を有するレーザー角度分解光電子分光装置を用いて、非従来型超伝導体の電子構造、超伝導ギャップ構造を直接観測することで非従来型超伝導の機構解明を目指している。

文献

1) P. Zhang, Z. Wang, X. Wu, K. Yaji, Y. Ishida, Y. Kohama, G. Dai, Y. Sun, C. Bareille, K. Kuroda, T. Kondo, K. Okazaki, K. Kindo, X. Wang, C.-Q Jin, J.-P Hu, R. Thomale, K. Sumida, S.-L Wu, K Miyamoto, T. Okuda, H. Ding, G.D. Gu, T. Tamegai, T. Kawakami, M. Sato, and S. Shin: Multiple topological states in iron-based superconductors, Nat. Phys. 15, 41-47 (2019).
2) K. Okazaki, Y. Ogawa, T. Suzuki, T. Yamamoto, T. Someya, S. Michimae, M. Watanabe, Y.-F Lu, M Nohara, H. Takagi, N. Katayama, H. Sawa, M. Fujisawa, T. Kanai, N. Ishii, J. Itatani, T. Mizokawa, S. Shin: Photo-induced semimetallic states realised in electron-hole coupled insulators, Nat. Commun. 9, 4322 (2018).
3) D. Flototto, Y. Ota, Y. Bai, C. Zhang, K. Okazaki, A. Tsuzuki, T. Hashimoto, J. N. Eckstein, S. Shin and T. -C. Chiang, Sci. Adv. 4, eaar7214 (2018).
4) P. Zhang, K. Yaji, T. Hashimoto, Y. Ota, T. Kondo, K. Okazaki, Z. Wang, J. Wen, G. D. Gu, H. Ding and S. Shin, Science 360, 182 (2018).
5) K. Okazaki, H. Suzuki, T. Suzuki, T. Yamamoto, T. Someya, Y. Ogawa, M. Okada, M. Fujisawa, T. Kanai, N. Ishi, J. Itatani, M. Nakajima, H. Eisaki, A. Fujimori and S. Shin: Antiphase Fermi-surface modulations accompanying displacement excitation in a parent compound of iron-based superconductors, Phys. Rev. B 97, 121107(R) (2018).
6) T. Hashimoto, Y. Ota, H. Q. Yamamoto, Y. Suzuki, T. Shimojima, S. Watanabe, C. Chen, S. Kasahara, Y. Matsuda, T. Shibauchi, K. Okazaki and S. Shin: Superconducting gap anisotropy sensitive to nematic domains in FeSe, Nat. Commun. 9, 282 (2018).
7) K. Okazaki, Y. Ota, Y. Kotani, W. Malaeb, Y. Ishida, T. Shimojima, T. Kiss, S. Watanabe, C.-T. Chen, K. Kihou, C. H. Lee, A. Iyo, H. Eisaki, T. Saito, H. Fukazawa, Y. Kohori, K. Hashimoto, T. Shibauchi, Y. Matsuda, H. Ikeda, H. Miyahara, R. Arita, A. Chainani, and S. Shin: Octet-line node structure of superconducting order parameter in KFe2As2, Science 337, 1314 (2012)

その他

日本物理学会、アメリカ物理学会、日本放射光学会各会員

将来計画

物質の性質すなわち物性は物質中の電子によって決まります。電子光電子分光という実験手法は電子の状態を直接観測できる強力な実験手法ですので、その物質がなぜ電気を通すのか、磁石になるのか、さらには電気抵抗ゼロの超伝導になるのか、といったことを解明、理解するのに非常に役に立ちます。
 電子の世界は我々の世界のエネルギー、時間、空間、スケールとは異なり、それぞれミリ電子ボルト(meV)、フェムト秒(fs)、ナノメートル(nm)というスケールです。光電子分光を用いるとそれぞれ、連続波レーザーを用いた極低温超高エネルギー分解能測定、フェムト秒レーザーを用いた時間分解測定、大強度連続波レーザーを用いた超高空間分解能顕微測定によって、究極までそのスケールを探求することができるようになります。すなわち、物性を支配する電子のエネルギー、時間、空間スケールで電子を直接観測することにより、様々な物性の起源を解明することが出来ます。
 将来は、高分解能測定、時間分解測定、顕微測定それぞれについて究極の性能を探求していくとともに、超短パルスの光を照射することなどによって物性を制御することなどにも挑んでいきたいと考えています。

教員からのメッセージ

研究にもっとも必要なことはやる気と好奇心だと思います。少しくらい自分の実力に自信が無かったとしても、この二つに十分カバーすることが出来ると私は信じています。もし、岡崎研で研究してみたいという気持ちがあったら、岡崎研での研究に興味を持ったら、一度見学に来てみてください。