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田辺 博士

(たなべ ひろし/准教授/基盤科学研究系)

先端エネルギー工学専攻/エネルギー変換システム講座/球状トカマク,宇宙・核融合プラズマ実験

略歴

2008年:慶應義塾大学 理工学部 システムデザイン工学科 卒業
2010年:東京大学大学院新領域創成科学研究科 先端エネルギー工学専攻 修士課程修了
2011-2013年:英国カラム研究所派遣 (JSPS Core-to-Core Program 22001・Institutional Program for Young Researcher Overseas Visits)
2013年:東京大学大学院新領域創成科学研究科 先端エネルギー工学専攻 博士課程修了
2013-2014年:日本学術振興会特別研究員(PD)
2014-2021年:東京大学大学院新領域創成科学研究科 先端エネルギー工学専攻 助教
2019-2020年:英国トカマクエナジー派遣 (東京大学 若手研究者国際展開事業)
2021年:東京大学大学院新領域創成科学研究科 先端エネルギー工学専攻 准教授 (9/1着任)

教育活動

大学院:プラズマ計測法、プラズマ応用工学 (予定:2022年度~)

研究活動

 当研究室では、小野・井研究室と連携し、宇宙プラズマと相似な現象を地上で引き起こして研究する「実験室天文学」として磁力線のつなぎ代わりに伴う爆発的エネルギー変換(磁気リコネクション)現象の室内実験、あるいは国際熱核融合実験炉ITER以後の商用化フェーズを見据えた「球状トカマク」方式を中心としたコンパクト炉心シナリオ開発等の実験研究を行っています。コンピュータトモグラフィを応用した二次元画像計測など先進プラズマ診断の開発も精力的に行っており、従来測定限界により未踏であったフロンティア領域の新規開拓などを進め、予想と異なる実験主導の新発見に基づく驚き等も楽しみながら日々研究を進めています。

文献

[1] H. Tanabe et al., Phys. Rev. Lett. 115, 215004 (2015)
[2] H. Tanabe et al., Nucl. Fusion 59, 086041 (2019)
[3] H. Tanabe et al., Nucl. Fusion 61, 106027 (2021)

その他

プラズマ核融合学会(JSPF)、米国物理学会(APS)、アジア・太平洋物理学会連合(AAPPS)会員

将来計画

 核融合プラズマ研究はITER・SA時代を迎え、燃焼実験と並行して次の一手を考える研究が必要となりつつあります。核融合発電炉が電力市場投入段階に到達した時に予測される問題の1つは、「核分裂炉を2基以上建設できる建設コストの段階で電力会社は核融合発電炉を選択してくれるのか」という経済性の問題です。第一世代核融合炉はコストを度外視したシナリオも許容される可能性がありますが、実用炉段階を見据えた場合、現実的なコスト・期間で建設が進められるコンパクト炉心シナリオを開発しておく必要があります。プラズマの熱圧力と、磁場閉じ込めの磁気圧力の比率である「ベータ値(熱圧力/磁気圧力)」が数%のトカマクに対して、数十%クラスの達成が世界各国から報告されている球状トカマク方式が、現在の若手世代が将来指導的な立場で活躍するpost-ITER時代では重要な選択肢となりうるものとして、当研究室では特に同方式の研究を重点的に進めています。
 現在研究室では、宇宙プラズマの太陽フレア等の基盤物理として知られる「磁気リコネクション」を地上の実験室でプラズマ加熱に応用する、合体生成球状トカマク方式の研究に力を入れています。同アイデアを採用する英国核融合ベンチャートカマクエナジー社と連携し、開発競争としての世界記録更新実験・シナリオ開発を進める一方、宇宙プラズマの高エネルギー現象と相似な環境を生成しうる実験室環境を活用した、実験室天文学のアプローチによるプラズマ科学の研究にも力を入れています。

教員からのメッセージ

研究活動では理学工学様々なバックグラウンドからの異なる視点が研究を一気に加速させることもしばしばです。皆さんとともに研究できる日を楽しみにしています。

ホームページのURL

http://tanuki.t.u-tokyo.ac.jp/