概要

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尾田 正二

(おだ しょうじ/准教授/生命科学研究系)

先端生命科学専攻/動物生殖システム分野/メダカに教えてもらう生物学

略歴

1991年10月 獨協医科大学研究員(第一生理学教室)
1994年 3月 東京大学大学院理学系研究科動物学専攻博士課程単位取得後満期退学
1994年 4月 東京女子医科大学助手(第二生理学教室)
1995年 4月 博士(理学)(東京大学)
2003年 9月 東京大学大学院新領域創成科学研究科先端生命科学専攻講師
2008年12月 独立行政法人宇宙航空研究開発機構有人宇宙環境利用ミッション本部有人宇宙技術部宇宙医学生物学研究室 主任研究員 兼任
2010年 6月より現職

教育活動

大学院:生殖システム生物学、 生命科学英語特論、生命科学英語演習

研究活動

 いかにすればメダカを健康に飼育することができるのか、研究をしている。
 メダカが生きているとはいかなる現象であるのか、理解することを目指している。

 動物は「動く物」と書くように、動いてなんぼである。すなわち、動物が全うに動くことができたら健康であり、動くことができなかったら不健康である。メダカの動き(24時間遊泳軌跡、ひれの動き、遊泳時の体躯のうねり等)を愚直に観察し、家庭用デジタル撮影装置とPCを用いてメダカの動きを数値化し定量評価することにより、健康・不健康などメダカの心身状態を記述し、理解することを目指している。

 ストレスという言葉は巷にあふれているが、その実体はいまだ明確でない。メダカの行動の数値化手法によって、「精神的ストレス」の実体に迫ることを目指している。稚魚あるいは成魚の群れにおける行動を個体ごとにトレースし、個体の動きを分析することによって、群れでの個体間関係を数値化して記述し、メダカの社会とメダカの精神性を分析することを試みている。

 動物の健康における自律神経の重要性は論を待たないが、個体レベルでの自律神経の実験生理学は適当なモデル動物の不在から進展していない。哺乳類とボディープランを共有しているメダカをモデルとして、高速イメージングとPC画像解析による心拍変動解析、瞳孔の大きさ変動の解析等を通して、自律神経の実験生理学モデルとしてメダカを確立させることを目指している。

 メダカの体長は 3 cm 程度であり、その全身を連続切片としてスライドグラスにのせて顕微鏡で観察することが可能である。すなわち、細胞レベルから個体レベルまで、その体の構造全部をシームレスにとりあつかうことができる。PCによる画像解析を活用し、組織像を数値化することによって、定量的組織学を確立することを目指している。デジタル化されたメダカ連続組織切片をヴァーチャルスライド化し、インターネットで公開するフレームを構築することを目指している。

 これらの技術により、メダカ個体の体と動き全部を数値化し定量評価することを目指している。

文献

1) Suzuki N., Nawa D., Tateno H., Yasuda T., Oda S., Mitani H., Nishimaki T., Katsumura T., Oota H., Hanihara T., Oga A., Hirabayashi J., and Yamamoto K. (2013) Glycobiology 23: 91-105.
2) Yasuda T, Oda S, Li Z, Kimori Y, Kamei Y, Ishikawa T, Todo T, and Mitani H. (2012) Cell Death and Disease 3, e395.
3) Katsumura T., Oda S., Tsukamoto K., Sekiya Y., Yamashita T., Aso M., Hata M., Nonaka M., Mano S., Ishida H., Mitani H., Kawamura S., and Oota H. (2012) Anthropological Science 120: 81-89.
4) Oda S, Mikami S, Urushihara Y, Murata Y, Kamei Y, Deguchi T, Kitano T, Fujimori E K, Yuba S, Todo T and Mitani H. (2010) Zoological Science 27:410-415.

その他

所属学会:日本動物学会、日本生理学会、日本分子生物学会、日本放射線影響学会、日本宇宙生物科学会

将来計画

1. メダカの動きと体を全部数値化して捉える手法をもって、放射線、音楽、超音波などの環境要因がメダカ個体の健康に与える影響を解明する。また、メダカの生き様を詳細に記述することによって、メダカにも我々と同質の気持ちがあり、豊かな暮らしがあることを世に知らしめる。

2. 出前講義、イベント参加などの機会を活用して理科の学校教育・生涯教育を推進し、メダカが我々ヒトと同じように生きていることを子供達および大人達に伝え、命を大切にする社会を取り戻す。

3. 芸術に触れるなどして感性を育む教育を重視して「理科離れ」を防ぐとともに、日本人の感性、価値観にマッチした社会、学問の構築に注力する。

教員からのメッセージ

生命は不思議でいっぱい

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