東京大学大学院新領域創成科学研究科

PROSPECTUS

教員紹介

松永 幸大 (まつなが さちひろ/教授/生命科学研究系)

先端生命科学専攻/構造生命科学大講座/統合生命科学

略歴

1993年3月 東京大学理学部生物学科卒業
1995年3月 東京大学大学院理学系研究科植物学専攻修士課程修了
1998年4月 日本学術振興会・DC1特別研究員
1998年3月 東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻博士課程修了、博士(理学)取得
1998年4月 日本学術振興会・PD特別研究員
1998年10月 米国ノースカロライナ大学チャペルヒル校理学部生物学科・博士研究員
2000年4月 東京大学大学院新領域創成科学研究科先端生命科学専攻・助手
2002年11月 大阪大学大学院工学研究科・講師
2008年10月 大阪大学大学院工学研究科・准教授
2011年4月 東京理科大学理工学部応用生物科学科・准教授
2014年4月 東京理科大学理工学部応用生物科学科・教授
2020年4月より現職

教育活動

先端生命科学研究論、先端生命科学演習、先端生命科学総合演習、先端生命科学特別演習、先端生命科学特別研究、真核細胞生物学

研究活動

1) 植物の強靭な再生メカニズムの謎に迫る
樹齢3500年のスギが現存しているように、植物は動物と比較して長生きです。その長寿の原因の一つは強力な再分化能力です。接ぎ木や剪定をしても、根や葉が生えてきます。この再生の分子メカニズムを知るために、DNA塩基配列自体の変化を伴わないエピジェネティクスの観点から挑んでいます。ヒストン修飾の状態をクロマチン免疫沈降で解析したり、植物を透明化して再生過程を立体的にディープイメージングして解析しています。また、植物にあらかじめ放射線を照射して再生能力をパワーアップさせるなど、環境刺激による食料増産やバイオマス増大に貢献する技術開発にも取り組んでいます。樹齢3500年のスギが現存しているように、植物は動物と比較して長生きです。その長寿の原因の一つは強力な再分化能力です。接ぎ木や剪定をしても、根や葉が生えてきます。この再生の分子メカニズムを知るために、DNA塩基配列自体の変化を伴わないエピジェネティクスの観点から挑んでいます。ヒストン修飾の状態をクロマチン免疫沈降で調べたり、植物を透明化して再生過程を立体的にディープイメージングして解析しています。また、植物にあらかじめ放射線を照射して再生能力をパワーアップさせるなど、食料増産やバイオマス増大に貢献する技術開発にも取り組んでいます。

2) 細胞内の小宇宙・核の構造とダイナミクスの秘密を解き明かす
細胞核は「細胞内ミクロコスモス」と言われるように、クロマチンが4次元的に展開して遺伝子発現を制御する動的な構造体です。特に植物では、光や温度変化などの環境刺激に対して、どのようにクロマチン動態が変化して環境に応答するか分かっていませんが、植物独自の核内構造が見つかっており、これからの解明が期待されています。当分野では、クロマチン動態制御タンパク質の機能解析・DNA-DNA相互作用解析(Hi-C解析)・ライブイメージング解析を通じて細胞核ダイナミクスを研究しています。

3) 合成生物学で生命統合シークレット・システムを暴く
動物の中には、藻類共生動物や盗葉緑体現象のように一時的に藻類を取り込み利用する例があります。また、藻類ゲノムを取り込んで植物化した動物細胞(二次共生)が、進化的に複数の系統から出現しました。このように、動物細胞には、植物ゲノムを受容するシークレット・システムが存在しますが、その分子メカニズムはわかっていません。動植物のゲノムを一つの細胞で共存させたプラニマル細胞を合成生物学的手法で創り出し、異種ゲノムが協調するメカニズムを研究しています。植物と動物の遺伝子発現制御、タンパク質発現、エピジェネティクス制御の差異がどのように克服されるかを探ります。

文献

過去の代表的論文(*責任著者、#同等貢献者)
1)Shibuta, M. K., Sakamoto, T., Yamaoka, T., Yoshikawa, M., Kasamatsu, S., Yagi, N., Fujimoto, S., Suzuki, T., Uchino, S., Sato, Y., Kimura, H. and Matsunaga, S.* (2021) A live imaging system to analyze spatiotemporal dynamics of RNA polymerase II modification in Arabidopsis thaliana. Commun. Biol., 4, 580 (10 pages).
2)Sakamoto, Y., Sato, M., Sato, Y., Harada, A., Suzuki, T., Goto, C., Tamura, K., Toyooka, K., Kimura, H., Ohkawa, Y., Hara-Nishimura, I., Takagi, S. and Matsunaga, S.* (2020) Subnuclear gene positioning through lamina association affects copper tolerance. Nature Commun., 11, 5914 (12 pages).
3)Ishihara, H.#, Sugimoto, K.*#, Tarr, P. T., Temman, H., Kadokura, S., Inui, Y., Sakamoto, T., Sasaki, T., Aida, M., Suzuki, T., Inagaki, S., Morohashi, K., Seki, M., Kakutani, T., Meyerowitz, E. M., and Matsunaga, S.* (2019) Primed histone demethylation regulates shoot regenerative competency. Nature Commun., 10, 1786 (15 pages).
4) Kato, S., Okamura, E., Matsunaga, T. M., Nakayama, M., Kawanishi, Y., Ichinose, T., Iwane, A. H., Sakamoto, T., Imoto, Y., Ohnuma, M., Nomura, Y., Nakagami, H., Kuroiwa, H., Kuroiwa, T., and Matsunaga, S.* (2019) Cyanidioschyzon merolae aurora kinase phosphorylates evolutionarily conserved sites on its target to regulate mitochondrial division. Commun. Biol., 2, 477 (9 pages).
5) Sugimoto, K., Temman, H.#, Kadokura, S.#, and Matsunaga, S.* (2019) To regenerate or not to regenerate: factors that drive plant regeneration. Curr. Opin. Plant Biol., 47, 138-150.
6) Sakamoto, T., Tsujimoto-Inui, Y., Sotta, N., Hirakawa, T., Matsunaga, T. M., Fukao, Y., Matsunaga, S.*, and Fujiwara, T.* (2018) Proteasomal degradation of BRAHMA promotes Boron tolerance in Arabidopsis. Nature Commun., 9, 5285 (16 pages).
7) Katagiri, Y., Hasegawa, J., Fujikura, U., Hoshino, R., Matsunaga, S.*, and Tsukaya, H.* (2016) The coordination of ploidy and cell size differs between cell layers in leaves. Development, 143, 1120-1125.
8) Kutsuna, N.#, Higaki, T.#, Matsunaga, S.*#, Otsuki, T., Yamaguchi, M., Fujii, H., and Hasezawa, S. (2012) Active learning framework with iterative clustering for bioimage classification. Nature Commun., 3, 1032 (10 pages).

その他

生物科学学会連合・副代表(2019-2022)、日本植物学会理事(2019-2021)、日本植物学会専務理事(2017-2019)、日本植物生理学会理事(2014-2016)、日本メンデル協会理事(2011-2022)、日本顕微鏡工業会JIS原案作成委員(2015-2022)

将来計画

動植物ゲノムハイブリッド細胞の作成、クロマチン4次元動態メカニズムの解明、植物再生メカニズムの解明

教員からのメッセージ

「未来を知る最良の方法は、あなた自身で未来を創リ出すことだ」
様々な生物のゲノムが解析されてオーム情報が利用できる時代に、生命科学はどこに向かうのでしょうか?統合生命科学分野は、エイブラハム・リンカーンの名言通り、自らの手で生命科学のフロンティア領域を開拓します。
松永研には、真摯な態度で研究に真剣勝負する志の高いメンバーが集っています。下記の4つの研究ポリシーに従い、学生一人一人の個性を大切に研究に取り組んでいます。
(1)本気になれ:目標実現のために全身全霊を傾ける。
(2)夢中になれ:心底やりたい研究に集中する。
(3)強みを持て:研究を通じて自己を再発見し、自分の将来に活かせる自らの強みを見出す。
(4)プロになれ:他人を思いやり協調性を重視しつつ、自分のレベルを最高水準にまで高める。