東京大学大学院新領域創成科学研究科

PROSPECTUS

教員紹介

中村 和彦 (なかむら かずひこ/講師/環境学研究系)

自然環境学専攻/陸域環境学講座/森林景観、環境教育、感性と芸術、サイバーフォレスト

略歴

2007年3月 東京大学農学部森林環境科学専修 卒業
2009年3月 東京大学大学院新領域創成科学研究科自然環境学専攻 修士課程修了
2013年3月 東京大学大学院新領域創成科学研究科自然環境学専攻 博士課程修了/博士(環境学)取得
2013年4月 東京大学空間情報科学研究センター・特任研究員
2018年10月 東京大学大学院農学生命科学研究科・特任助教
2019年4月 東京大学大学院農学生命科学研究科・助教
2021年5月より現職

教育活動

景観形成論、環境政策論、環境情報学実習、陸域生態学実習、自然環境学研究、自然環境学演習

研究活動

 森林科学および教育学を基礎として、持続可能な社会づくりを阻む原因となりうる自然環境と人間社会との時空間規模の隔たりを、情報通信技術によって克服するための方法論に関する研究を行っています。
 かつては自然環境に依存して生活が成立していることが認識されやすかったのですが、近代化とともに自然環境と人間社会との関係は複雑多様化し、現代社会でそれを直感的に認識することは困難になっています。こうした状況に対して、時空間認識を擬似的に拡張できる情報通信技術を適切かつ効果的に活用するための知見を、環境学の立場から探求しています。
 具体的には、(1)森林映像アーカイブを用いたフェノロジー観察を軸とした時間認識拡張の教育的活用、(2)情報通信技術を活用したフィールド体験の記録と評価、(3)自然と人間との関係を感性で捉える方法論、の3点において研究を遂行している。

文献

(1) 中村和彦 (2020): 環境学×教育 ――森の感性情報アーカイブ・サイバーフォレストを用いた環境教育. 井上透(監)・中村覚(編): デジタルアーカイブ・ベーシックス3 自然史・理工系研究データの活用, 勉誠出版, 東京, 133-152.
(2) Nakamura, K.W., Fukumoto, R., and Horie, Y. (2018): Characteristics of Students Who Frequently Conduct Plant Observations: Toward Fostering Leaders and Supporters of Fixed-Point Observation of Forests. Forests, 9(6): 328.
(3) 中村和彦 (2016): 自然観察の事前学習における楽曲の聴取と表現を通した聴覚的意識の向上. 環境教育, 25(3): 38-49.

その他

日本環境教育学会、日本造園学会、日本森林学会、地理情報システム学会、地図学会、日本地球惑星科学連合

将来計画

 新領域創成科学研究科の基本理念である学融合の実現に向け、(A) 短期的視点と長期的視点、(B) onsiteとonline、(C) 感性と論理の3点に関する教育や研究を通して、自然と人間の調和の実現に資する自然環境景観学分野を発展させたいと考えています。
 (A) 短期的視点と長期的視点の融合は、これまでの教育・研究において主要課題としてきた、森林と人間社会とを隔てる時間的ギャップに主眼を置くものです。景観は身体的体験であり、その時間認識は短期的になる傾向があります。これに対し、森林に関しては生態学的な時間概念を導入することで、長期的視点を得られると考えています。人間社会における身体的な短期的視点と森林環境の長期的視点とを連続的に繋ぐ方法論を、映像アーカイブを用いた数日から数十年までの様々な時間規模での森林景観把握を軸として、教育学分野などでの社会実装も意識した教育・研究を展開します。
 (B) onsiteとonlineの融合については、景観という概念に含まれる身体性・現場性と、情報通信技術の脱身体性・脱現場性とを、両者の長所を活かせるように両立・併用する試みです。今後のwithコロナ、postコロナ下で自然環境景観学を発展させていくにあたり、onsiteつまりフィールドにおける直接体験とonlineによる疑似体験とを、実感を伴って繋ぐための方法論は、教育・研究いずれにおいても重要になると考えています。
 (C) 感性と論理の融合は、持続可能な社会づくりを推進するうえで、科学的な不確実性を含む事象に向き合うための方法論として検討するものです。とりわけ景観は人間の感性的な側面によって捉えられるものであり、科学的な不確実性を含む環境課題に関する合意形成の強力なツールとなり得ます。五感による景観体験を効果的に共有するための方法論を、感性情報を扱う情報通信技術の活用を軸に教育・研究を展開します。

教員からのメッセージ

 自然と人間との関係、それを紡ぎ直す情報通信技術の活用に関して、あらゆる議論を歓迎いたします。長野県産材に包まれた当研究室で、フェアトレード認証の美味しいコーヒーを飲みながら、時間を忘れて議論を尽くせれば幸いです。どうぞ、いつでも気軽にお越しください。