研究室紹介


複雑系プラットフォーム Complexity

國廣研究室 暗号理論,情報セキュリティ紹介を見る
國廣 昇 准教授(基幹)
Tel. 04-7136-3934
E-mail: kunihiro@k.u-tokyo.ac.jp
http://www.it.k-u-tokyo.ac.jp/

『素数が守る安全な通信
     面白くて役に立つ暗号の世界へようこそ』

 インターネットなどの安全性が保証されていない通信路を通して,安全に通信を行うためには,暗号技術が必須である. 我々の研究室では,さまざまな暗号技術に関する安全性検証,および安全性評価を踏まえたうえでの新たな暗号方式,暗号プロトコルの提案を行う予定である. 具体的には,次のようなテーマを扱う.

・暗号の安全性評価(1):
 多くの暗号は,解くことが困難である数学的な問題に基づいて構成されている. 代表例は,素因数分解問題や離散対数問題などである. 暗号の安全性を評価するためには,これらの問題の難しさを極力,正確に知ることが重要であり,有効なアルゴリズムの探求が重要な研究課題である.

・暗号の安全性評価(2):
 素因数分解そのものが困難であっても,なんらかのヒント(素因数の部分情報など)がある場合には,効率的に素因数分解できることが知られている. 格子理論などの数学的な道具,計算量理論などを駆使して,現実的な脅威のもとでの暗号の安全性評価手法の開発を行う.

・ クラウドコンピューティング向け暗号の開発:
 現実社会においてクラウドの活用が進んでいる. クラウド上で安全にデータの処理・解析を行うためには,環準同型暗号,属性ベース暗号に代表される高度な暗号技術が必要である. 新たな安全かつ効率的な暗号方式の提案,および,これらの暗号を用いた新しいサービスの創出に取り組む.

佐藤研究室 統計的機械学習,ベイズ推定紹介を見る
佐藤 一誠 講師(基幹)
E-mail: sato@k.u-tokyo.ac.jp
http://www.ms.k.u-tokyo.ac.jp/index-jp.html

『社会基盤としての統計的機械学習を目指す』

 統計的機械学習は,大量のデータから機械が知的な処理を行うためのルールを自動的に抽出するための技術です. 例えば,現在どのスマートフォンにも搭載されている顔認識,オンラインショッピングサイトの推薦システム, 近年注目を集めている車の自動運転など,様々な実社会の中で機械学習が重要な役割を果たしています. 本研究室では、以下のテーマを研究しています.

 (1)数理モデリングの研究
統計的機械学習では,データや機械に処理してもらいたい問題に応じて数理モデルを仮定する必要があります. 本研究室では,データがもつ隠れた性質を表現する潜在変数という確率変数をもつ統計モデルの研究をしています.

 (2)学習アルゴリズムの研究
数理モデルが決まるとそのモデルのパラメータをデータから推定することで学習することができます. 大規模なデータから高速にパラメータ推定を行うアルゴリズムを研究しています. 特に,ベイズ推定を基にしたアルゴリズム開発を行っています.

 (3)統計的機械学習の実験をする統計的機械学習の研究
統計的機械学習に限らず,多くの研究分野では実験を行うことに多くの時間を割いています. 我々は,機械がそのような実験をサポートする技術を研究しています. 研究者が,実験中に行うTrial&Errorを機械が代わりに行ってくれます.

 (4)社会応用
本研究の成果や近年の機械学習技術を基に社会へ積極的な還元を行います. 例えば,東大病院と医用画像の読影支援システムの開発などを行っています.

杉山研究室 機械学習,統計的データ解析紹介を見る
杉山 将 教授(基幹)
Tel. 03-5841-4106
E-mail: sugi@k.u-tokyo.ac.jp
http://www.ms.k.u-tokyo.ac.jp/index-jp.html

『機械学習:
    ヒトのように学習するコンピュータを作ろう』

 インターネットやセンサー技術の飛躍的な発達と普及に伴い,音声・画像・テキスト・動画・ソーシャルメディア・Eコマース・電力・医療・生命など, 工学・産業・自然科学の様々な場面で膨大な量のデータが収集されるようになってきました. このようなビッグデータから新たな価値を創造するためには,機械学習の技術が有用です.

 機械学習とは,コンピュータにヒトのような学習能力を持たせるための方法論を研究する分野の総称です. 本研究室では,機械学習と統計的データ解析の基礎理論の構築,実用的なアルゴリズムの開発,そして,実世界データ解析への応用に関する研究を幅広く行っています.

本多研究室 統計的機械学習,適応的意思決定紹介を見る
本多 淳也 講師(基幹)
E-mail: jhonda@k.u-tokyo.ac.jp
http://www.ms.k.u-tokyo.ac.jp/index-jp.html

『データはタダとは限らない
未知の世界から情報を探索し学習する』

 大規模なデータから重要な情報を取り出す機械学習の技術は最近では様々な場面で応用されていますが,一方で現実では扱う対象の十分なデータがないまま意思決定を行う場面も数多く現れます.例えば,インターネット広告の配信においては,どの広告もある程度の回数表示してみない限りクリック率を精度よく推定できないのに対して,実際に利益を得るためにはクリック率の高いと推測される広告を集中的に表示する必要があります.また,創薬や新規材料の開発といった場面では,一つの化合物の候補の物性値を計算するのに例えば数日といった長い時間がかかるため,時間および計算資源を有効に活用するためには数理モデルに基づいて優れた性質が期待される候補を適切に選定する必要があります.

 本研究室ではこのように環境から動的に情報を収集しつつ意思決定を行う問題において,バンディット問題やベイズ最適化とよばれる分野の見地から達成可能な性能の限界を明らかにし,またその限界を実際に達成する学習・探索アルゴリズムの研究を行っています.意思決定を行う問題では,現在得られているデータから良い推定を行うという一般的な統計や機械学習の問題と,どのような規準で行動を決定すれば推定精度が向上するか・利益が大きくなるかといったアルゴリズム的な問題を併せて考える必要があり,これらをいかにうまく結び付けるかが研究のカギです.

山本研究室 情報理論(シャノン理論,データ圧縮,誤り訂正,暗号理論)紹介を見る
山本 博資 教授(基幹)
E-mail: Hirosuke@k.u-tokyo.ac.jp
http://hirosuke.it.k.u-tokyo.ac.jp/HY-home-J.html

『情報・通信・符号化と数理
     情報理論で真理の探求の面白さを知ろう』

 携帯電話/インターネット/放送などの通信システムやDVDなどの記録媒体を通して,情報を「効率よく,高品質で,安全に」伝送あるいは記録するための技術と して「符号化技術」が用いられている.我々の研究室では,そのような符号化技術の数学的基礎理論である「情報理論」の研究を行っている. 具体的には,符号化性能の理論限界を明らかにする「シャノン理論」,性能のよいデータ圧縮を実現するための「データ圧縮アルゴリズム」, 雑音により生じた誤りを検出してその誤りを訂正できる「誤り訂正符号」,情報の盗聴や改竄を防ぐ「暗号・情報セキュリティ符号化」などの研究を行っている. さらに,その各々に関して次のようなテーマを取り扱っている.

(1)シャノン理論:多端子情報理論,レート歪み理論,情報スペクトル理論,ネットワーク符号化など

(2)データ圧縮アルゴリズム:木符号,エントロピー符号化,ユニバーサルデータ圧縮符号(辞書法,ソート法,文法法など),競合的最適符号, 整数のユニバーサル符号化,LDPC符号のデータ圧縮への応用など

(3)誤り訂正:LDPC符号,Turbo符号,ARQ(自動再送要求方式),Feedback通信,誤り指数の評価,同定符号など

(4)暗号・情報セキュリティ符号化:秘密分散法,視覚復号型秘密分散法,盗聴通信路符号化,バイオメトリック符号化,乱数検定など


Brain-Bio 脳・バイオモジュール

岡田研究室 脳科学,情報統計力学,量子計算,非線形動力学紹介を見る
岡田 真人 教授(基幹)
Tel. 04-7136-4085
E-mail: okada@k.u-tokyo.ac.jp
http://mns.k.u-tokyo.ac.jp

『最初は物理学だった
     今,脳と物質のデータ駆動科学の創成を目指す』

 磁性体の物理,脳科学,情報科学,これら三つの一見無関係に見える学問体系の中に共通の数理が潜んでいると言ったらみなさんは驚かれるでしょうか?

 これら三つの学問の共通の特徴は非常に“たくさん”のモノやコトを取り扱っている点にあります. 物質の磁性は,アボガドロ数個の原子のスピンの向きから決まります. 脳の中にある100億個以上の神経細胞がスパイクと呼ばれる活動電位で情報交換することで,我々は認識,記憶,思考などの高度な情報処理をおこなうことができます. 1MB,1GBといった0,1の無数の系列が,ある種のフォーマットの従うことで,われわれが理解できる画像などの情報になります.

 このように“たくさん” のモノやコトが集まると,これら多数のミクロな構成要素の性質と異なった,マクロな性質がシステムにあらわれます. たくさんあることは質的変化をもたらします. 統計力学は,このようなミクロとマクロの橋渡しをする学問です. 本研究室では,統計力学の手法を中心に,以下の分野を研究しています.

(1)理論脳科学
 人類にかせられた最大の課題であるといわれる脳の情報処理メカニズムの解明に取り組みます.

(2)情報統計力学・量子計算
 ベイズ統計と統計力学の数学的等価性にもとづき,統計力学的アプローチで情報科学の最先端の諸問題を研究しています. また量子力学の原理を使った,情報処理のメカニズムも研究しています.

(3)データ解析・機械学習
 大量の高次元測定データから背後に潜む法則を抽出する技術は機械学習と呼ばれ,脳科学をはじめとしたさまざまな分野のデータ解析を機械学習により解析しています.

篠田研究室 ハプティックス,触覚,センシング,
ヒューマンインタフェース,ネットワーク,物理情報学紹介を見る
篠田 裕之 教授(基幹)
Tel. 04-7136-3900
E-mail: hiroyuki_shinoda@k.u-tokyo.ac.jp
http://www.hapis.k.u-tokyo.ac.jp/public/hiroyuki_shinoda/

『触覚を通して人間を理解し
         情報環境を革新する』

 あらゆる情報システムは,最終的には人間の感覚器官を刺激することで情報を伝達し,人々の知的活動を支援しています. 私たちは,五感の中でも特に触覚に注目し,全身に分布する触覚を活用する新しい情報システムを研究しています. 複雑システムとしての触覚を解明するとともに触覚インタフェースを実際に試作し,触覚イメージの伝達や触覚による運動・行動の誘導, 心理面での作用などを直接体験しながら研究を進めます.また,それらを実用化するための基盤技術の開発にも力を入れています.

(1)触覚の解明と活用
 触覚受容器の物理的な知覚特性の解明をはじめ,人間の知性・知能の根底を支える心や感情と触覚がどのように関係しているか, 触覚が人間の運動や認知にどのような影響を与えるか,などの問題を解明し,触覚への刺激によって人間の生活・行動を支援するシステムを具体化します. 医療,コンピュータシステム,自動車/航空機の操縦システム,コミュニケーション,エンターテイメントなど幅広い分野への応用を展開します.

(2)センシング,インタラクションの物理システム基盤
 視覚,聴覚,触覚が調和して人間とインタラクションする情報環境の基盤技術を研究します.映像情報・触覚情報の提示デバイスにはじまり, その基礎となるセンシング技術,環境に機能を分散するためのワイヤレス電力伝送法,2次元通信,テラヘルツ波利用技術など,未来を変革する物理情報システムを探求します.

能瀬研究室 脳神経科学実験,生物物理,分子生物学紹介を見る
能瀬 聡直 教授(基幹)
Tel. 04-7136-3919
E-mail: nose@k.u-tokyo.ac.jp
http://bio.phys.s.u-tokyo.ac.jp/

『脳という物質になぜ心が宿るのか
    神経回路の機能と構造にその答えを探る』

 脳・神経系は多数の神経細胞がシナプスという構造を介して連絡した複雑な回路です.このなかを神経インパルスが伝わることが,脳機能の基本であると考えられていますが, その仕組みはほとんど謎のままです.いったい,どのような回路の中を,どのようにインパルスが伝わることにより高度な情報処理が可能になるのでしょうか? 原理的には,脳内の配線のパターンを丹念に紐解き,さらにそのなかを情報が伝わる様子を明らかにできれば,この問題を解くことができると考えられます. しかし,現実には,複雑なほ乳類の脳組織のなかでこのような実験を行うことは困難です. そこで私達は,比較的構成が単純で高度な遺伝子操作が適用可能なショウジョウバエの神経系をモデルとして,この問題にアプローチしています.

 私達はこれまでバイオイメージングや遺伝子操作を用いて軸索やシナプスを可視化することにより,神経の配線が形成される仕組みを明らかにしてきました. 現在,この研究を回路レベルに発展させ,複数の神経配線からなる機能的な神経回路が,どのようにして構築されるのかを調べています. また,神経細胞の活動を光生理学という新しい技術を用いて可視化・操作することにより,神経回路の動作原理を探っています. 配線パターンの分かっているモデル神経回路において,個々の神経細胞の活動をリアルタイムに追跡することにより,神経回路の情報処理の仕組みを明らかにすることが私達の夢です.

牧野研究室 ハプティックス,触覚センサ・ディスプレイ,触覚情報処理,
ヒューマンインターフェース紹介を見る
牧野 泰才 講師(基幹)
Tel. 04-7136-3912
E-mail: yasutoshi_makino@k.u-tokyo.ac.jp
http://www.hapis.k.u-tokyo.ac.jp/?page_id=1002

『人を測り、人を動かす
    触ること・触られることの本質を探る』

 人が情報機器に何かを入力しようとする時,音声認識など一部の例外を除いたほぼすべての場合で,触覚を介しています. その入力手段は近年特に変化が激しく,従来のキーボード・マウスから,タッチパネルへ,そして最近では空中に文字を描くような入力も実現され始めています. 触覚を理解することは,人が情報に対してどうアクセスするかという「人と情報のあり方」を理解することに繋がります. 「人と情報のあり方」を変え,日常生活を一新する技術の実現を目指し研究しています.

 「人と情報のあり方」を変えていくために重要なことは2つあります.1つは,人がどのように知覚しているのかを推測できるように, 人のことをきちんと計測することであり,もう1つは,適切な情報を提示し,人の情動・行動を変化させることです. 触覚は人の情動と強く結びついているという,他の五感にはないユニークな特徴を持ちます. 情報空間への入り口である触覚インタフェースに,情動的な側面からの価値を付与することは,今後の大きな課題になります.

谷藤研究室(理化学研究所) 大脳生理学,生物物理学,融合脳計測科学紹介を見る
谷藤 学 客員教授(連携)
Tel. 048-462-1111
E-mail: tanifuji@riken.jp
http://www.riken.jp/lab-www/ins/index_j.html

『脳,それは究極のフロンティア
  脳科学と数理科学を手に探求の旅に出よう』

 日常目にする物体像を知覚し認識するためには,それに適した物体像の表現が脳の中に作られているはずです. 私たちの研究は,この内部表現の枠組み,内部表現を作りあげるメカニズム,および内部表現から認識が成立する過程を理解することです.

 研究のターゲットは霊長類の視覚連合野のTE野です. この領野は物体像の知覚と認識に関係する視覚経路の最終段に位置し,認識記憶の形成に重要な働きをする脳部位と強い結合を持ちます. これまでの研究で,私たちは目に映る物体像がコラムと呼ばれる細胞の小集団の組み合わせとして表現されていることを明らかにしました (下図.丸く囲われた一つ一つの領域がコラムに相当します).さらに活動するコラムの組み合せが物体像を単純化したときにどのように変わるかから, それぞれのコラムが物体像そのものよりは単純な図形特徴に反応しているとわかりました.

 さて,私たちは様々な条件のもとでも同じように物体像を認識できる優れた能力を持っています. たとえば,物体像をどのような向きから見ても,一部が何かの後ろに隠れていても,その物体像を見誤ることは少ないのです. このような能力を実現する神経メカニズムを明らかにすることが物体像認識の本質です. おそらくそれは,物体像がどのような図形特徴に分解されているか,幾つぐらいの図形特徴の組み合わせに分解するか, それらの図形特徴はどのように選ばれるのかなどに依存するでしょう. 私たちは,高時間空間分解能の神経活動を捉える技術を開発し,神経活動の時間空間パターンを記録し,それに対して計算論的な研究を進めることでこの問題の解明を目指しています.

深井研究室(理化学研究所) 計算神経科学,神経情報,神経回路モデル紹介を見る
深井 朋樹 客員教授(連携)
Tel. 048-467-6896
E-mail: tfukai@brain.riken.jp
http://nct.brain.riken.jp/

『進化が生んだ奇跡
     脳の情報処理ダイナミズムを探れ』

 当研究室では,ニューロンや脳の神経回路がスパイクや細胞内物質過程によって情報を表現する仕組みや,認知的行動の背景にある計算理論を, 神経回路メカニズムのレベルから解明することを目指しています. 認知や記憶,行動学習,意思決定などの脳の機能は,細胞内シグナル伝達からニューロン集団の相互作用まで,様々なレベルでの動的プロセスにより, 情報が表現され処理された結果,実現されると考えられます. 複雑な脳の情報処理メカニズムを明らかにするためには実験結果から現象の本質を見抜き,脳の計算原理を理論的に解明することが必要です. 特に,脳の情報処理の本質を理解する上で,脳の計算原理を実現している神経回路の働きを明らかにすることが重要だと考えます. そこにこそ,優れた柔軟性と能力を発揮する,脳の計算の秘密が潜んでいるのかもしれません. この目的のため,当研究室には実験・理論の両サイドの研究者が集まっており,お互いに刺激しあいながら研究を進めています. また国内外の研究者との共同研究も活発に行っています.主な研究テーマは以下の通りです.

1)大脳皮質局所神経回路のモデル構築に向けた実験,理論研究,
2)神経ダイナミクスと神経情報表現の接点,
3)行動学習と意思決定の計算理論及び神経回路メカニズム,
4)脳のリズム活動と同期生成メカニズム,
5)多細胞・傍細胞記録などによる課題遂行中のラット脳回路活動の解析,
6)多細胞活動データの解析方法の開発.


アストロバイオロジーモジュール Astrobiology

今村研究室 惑星探査,惑星大気紹介を見る
今村 剛 教授(基幹)
E-mail: t_imamura@edu.k.u-tokyo.ac.jpbr /> http://www.astrobio.k.u-tokyo.ac.jp/imamura/

『大気がつくる惑星環境  探査と理論モデルで新領域を切り拓く』

私たちは地球という惑星の大気圏の底で暮らしています。大気圏のエネルギーと物質の循環は、惑星の環境形成の要であり、 生命圏の成立を左右します。当研究室では、惑星探査と理論研究を両輪として、 惑星大気の物理学を中心に惑星環境形成のメカニズムを追求しています。

大気の流体としてのダイナミックな振る舞い、開放系としての宇宙空間・惑星内部との物質交換、 それらの帰結としての動的平衡が、私たちの世界観です。 金星探査機「あかつき」は、大気中の巨大な波や渦の時間変化を赤外線や紫外線のリモートセンシングで追いかけて、 時速400 kmの高速大気循環がなぜ生じるのか、金星全体をおおう硫酸の雲がどう作られるのかを調べています。 検討中の火星探査では、水が凝結と蒸発を繰り返しながら大気と地面の間で循環するしくみや、 細かな塵が地面から巻き上げられて濁った大気が生じるしくみを調べる計画です。 当研究室ではまた、探査機と地上局を結ぶ電波を使う電波掩蔽という観測で、惑星大気の、 さらには太陽の外層大気の波動や乱流をとらえ、大気の加熱や加速のしくみを調べています。 このような探査に加え、数値シミュレーションで惑星大気の変動と構造形成を再現して、 惑星たちの驚くべき多様性の背後にある普遍的な物理プロセスを探ります。 それらの天体がいま私たちが見るような姿でなくてはならない必然性を理解します。

惑星の大気科学、環境科学は、いまや太陽系外の惑星も射程に入れ、 宇宙における生命存在可能性が中心テーマとなりつつあります。 惑星科学、気象学、天文学の融合に未来があります。探査と物理理論を武器にそのようなサイエンスを切り拓きたい皆さんを、歓迎します。

吉川研究室 惑星科学, 磁気圏物理学, 太陽系探査, 系学惑星探査紹介を見る
吉川 一朗 教授(基幹)
Tel. 04-7136-5520
E-mail: yoshikawa@k.u-tokyo.ac.jp
http://www.astrobio.k.u-tokyo.ac.jp/yoshikawa/

『宇宙の真実を最初に知る喜び
   観測機を開発し,深宇宙へ送り出す』

 地球が,豊かな生命の星でいられるのはなぜだろうか? 私達は,地球のこと,太陽系のこと,宇宙のことをどれだけ理解しているだろうか? 生命が生きてゆくには,湿潤な環境と宇宙放射線から体を守るバリア(惑星磁場)が必要である. 太陽から程よい距離にできたことが,地球における生命発生の理由の一つだが,大気はいつ発生し,湿潤な環境はどのように維持されてきたのだろうか? 火星や金星は生命にとって,どれほど苛酷な環境なのだろうか? 地球の大気環境は変化しないのだろうか? 火星のようになったりしないだろうか?

 これらの謎と大気の多様性を解明するために,我々の研究室では,目に見えない特殊な光を用いた観測機を開発している. この観測機を太陽系内惑星探査機や宇宙ステーション,地球を周回する衛星に搭載し,太陽系惑星を走査し,惑星大気の成分や運動を分析する.

 2013年9月にイプシロンロケットで打ち上げられた惑星分光観測衛星「ひさき](SPRINT-A)は,極端紫外光の目を持つ “宇宙望遠鏡” である. 極端紫外光は,紫外線の中でも波長の短い光で,この光で見た地球は,ふだん私たちが見ている青くて丸い地球とはずいぶん違って見える. 例えば,北極と南極を付け根にして,地球半径の5~6倍の空間に広がる蝶のような姿(双極子磁場)に満たされたプラズマ(電離した気体)が写る. 極端紫外光で他の惑星を観測すれば,地球との差異だけではなく,惑星大気の生成過程も解明できるだろう.これらの知見を元に観測対象を拡大し, 「太陽系外の生命探査」を行うことが究極のテーマだ.

田中研究室(宇宙科学研究所) 惑星科学,月惑星探査紹介を見る
田中 智 客員准教授(連携)
Tel. 050-3362-4196
E-mail: tanaka@planeta.sci.isas.jaxa.jp
http://planetb.sci.isas.jaxa.jp/luna/index.html

『探査で明らかにする太陽系の姿
   太陽系探査の最先端の現場を肌で感じよう』

 世界に比類がなくわが国独自の月惑星探査を遂行するための探査機器の開発およびプロジェクトの遂行を行っている. これまでJAXA(宇宙科学研究所)において「かぐや」,「はやぶさ」などの月惑星探査を成功させてきたが, それらに続くものとして月着陸探査ミッション(SELENE-2)やC型小天体サンプルリターンミッション(はやぶさ2)などが進められている. これらのミッションの科学的側面から探査戦略の追及,それを実現するたの搭載器機の性能をつきつめて実現化し, 世界トップクラスと賞されるだけでなく将来にわたって活用し続けられるデータの取得を目指す.

 これからの月惑星探査の主流は内部構造探査である.これを遂行するための搭載インフラや機器(地震計や熱流量計)の開発が重要である. 我々は長年にわたり地震計などを搭載可能なペネトレータとよばれる高速貫入型の観測装置の開発に携わり,技術的に高いレベルにまで完成させた. 我々が開発したこの装置を月惑星に送り込んで内部構造に関するデータを取得し,月惑星の起源と進化に重要な制約条件を得ることが私の究極的な目標である.

 科学的な専門分野は月惑星内部構造論であり,アポロミッションで得られた地震(月震),熱流量などの地球物理学的観測データの解析を行っている. 40年前に取得されたデータでありながら,まだ我々が見出していない真理がまだ多く埋もれているのは驚きでもありまた感動的でもある.

宮本研究室(総合研究博物館) 太陽系科学,惑星地質学,数値流体力学紹介を見る
宮本 英昭 准教授(兼担)
Tel. 03-5841-2830
E-mail: hm@um.u-tokyo.ac.jp
http://www.um.u-tokyo.ac.jp/hp/miyamoto/

『火星人はいるのだろうか?
   惑星や衛星などの表面を調べよう』

 惑星探査技術の進歩により,太陽系の天体に探査機を送り込んで調査することが可能となった. 火星探査車は砂だらけの火星表面を走り回り,小惑星探査機は,弾丸を使って岩石を破砕し岩石サンプルを収集した. 人類は,こうした太陽系の直接探査を通じて地球外の天体に関する情報を猛烈な勢いで獲得している. 太陽系科学は,革命的な発展を遂げていると言って良い.

 私たちの研究室では,太陽系探査に直接関連した,以下の2つの方向性の研究を推進している. 1つ目は,探査データの解析である. 特に天体の表層環境に関する研究に重点を置いており,主に固体天体表層地形の解析を通じて,地球表層環境の持つ普遍性と特異性を明らかにするという, 比較惑星学(特に惑星地質学)分野の研究を行っている. 「人類が地球に誕生した事に必然性が存在するか」というアストロバイオロジーの大問題に,惑星探査データの解析から迫ろうとしているとも言える.

 2つ目は,惑星探査計画への参画である.これまで火星探査機「のぞみ」や小惑星探査機「はやぶさ」,月探査機「SELENE」などの固体惑星探査プロジェクトにおいて微力を尽くしてきたが, 現在は次期小惑星探査計画や月探査計画に参加すると共に,杉田研究室などと共同で,火星着陸機を中心とした複合探査計画を推進している.

 こうした研究を進めるには,前者は理学,後者は工学のセンスが重要となるが,実際には双方の知識が必要となる. これらを融合したアプローチを創出し,複雑系という枠組みで新たな太陽系科学を創成することが,私たちの大きな目標である.

杉田研究室(理学系研究科) 惑星科学,地球初期進化,
超高速衝突物理学,深宇宙探査紹介を見る
杉田 精司 教授(兼担)
Tel. 04-7136-5520
E-mail: sugita@k.u-tokyo.ac.jp
http://www-space.eps.s.u-tokyo.ac.jp/~sugita-lab/

『はやぶさ2で迫る太陽系の起源
    C型小惑星に残る惑星大移動の痕跡』

 私は,惑星の起源と進化を理解するため,室内実験と惑星探査の両面から研究を行っている. 室内実験では,惑星初期進化で支配的な役割を果たした小天体衝突の機構解明に力を注いでいる. 地球の基本形が作られた地球集積期やその直後の時代の表層環境の解明が目的である. 特に,大気圏や水圏の質量と組成を決定する衝突蒸発現象機構の解明のため,高速度衝突実験と高速分光計測を用いた研究を行っている. こちらは,自分だけの自由な発想で行えるタイプの研究である.

 惑星探査は,他の惑星や衛星を調査して,地球との違いを明らかにすることが目的である. 2014年の打ち上げを目指す「はやぶさ2」計画に参画し,可視分光カメラ開発のサイエンス担当者を務めている. 米国がOSIRISRex計画を打ち出したので競争が大変だが,日本の計画を米国がまねた珍しいケースであり,競争の甲斐もある. どちらも水や有機物を豊富に含んだC型小惑星から試料を持ち帰る計画である. 可視分光カメラは小惑星上の物質分布や地形を調べ,どこから試料を採るか決めるための重要な情報を得る. こちらの研究は,大型プロジェクトの動向に左右されるリスクもあるが,宇宙を実感できるメリットがある.

 さらに,将来の月や火星の着陸探査計画を見据え,レーザーを用いた元素組成計測装置(LIBS)やK-Ar法を用いたその場年代分析装置の開発も進めている.

関根研究室(理学系研究科) 地球惑星化学,比較惑星学,
地球環境進化学,アストロバイオロジー紹介を見る
関根 康人 准教授(兼担)
Tel. 04-7136-3954
E-mail: sekine@k.u-tokyo.ac.jp
http://www.astrobio.k.u-tokyo.ac.jp/sekine/

『地球,惑星,そして生命
   化学・物理の理解から起源や進化に迫る』

 「地球はどうして今の姿になったのか,宇宙に生命を宿す天体は存在するのか」という問いに答えることは,地球惑星科学のみならず21世紀の自然科学の大目標の1つです. 我々はこの問題に対して,惑星・衛星の大気海洋といった生命を育む表層環境が,どのように形成進化してきたかを化学的に理解することを目指し,以下のような研究を行っています.

1) 初期太陽系の化学:
 大気海洋,生命の起源に化学から迫るためには,それらを構成する炭素,窒素,酸素などの元素が,初期太陽系においてどのような分子種として分布し, 惑星に供給されるのかを知ることが必要です. 室内実験と理論計算を組み合わせることで,この問題の理解に迫っています.

2) 大気海洋の組成進化:
 太陽系初期に形成した惑星・衛星の大気海洋は,現在の姿になるまで酸化還元状態や化学組成を大きく進化させてきました. さらに近年,氷衛星の地下には,広大な液体の海が存在することが明らかになっています. 氷衛星環境の模擬実験や太古の地球の地質試料の化学分析により,生命生存可能な環境の化学進化や安定性を調べています. さらに得られた知見から,太陽系外の第2,第3の地球の大気や表層環境を予測します.

3) 探査による検証:
 惑星・衛星の大気海洋化学進化モデルを検証するため,太陽系天体の大気海洋組成を調べる,惑星探査用小型分析機器を開発します.

田近研究室 地球惑星システム科学,地球惑星環境進化学,比較惑星学,
アストロバイオロジー紹介を見る
田近 英一 教授(基幹)
Tel. 04-7136-3928
E-mail: tajika@k.u-tokyo.ac.jp
http://www.astrobio.k.u-tokyo.ac.jp/tajika/

『地球はなぜ生命の惑星なのか
   惑星環境と生命の“共進化”を理解する』

 地球や惑星の環境は,どのように決まっているのだろうか? 生命活動には液体の水が必須であるから,地球のような「海惑星」の成立条件を解明することは,太陽系外惑星系に第二の地球が存在する可能性を探るためにも必要不可欠である. 地球や惑星の表層環境の安定性・変動性・進化等について理解するためには,地球や惑星を大規模複雑系としてとらえる「地球惑星システム科学」のアプローチが有効である. このような視点から,本研究室では以下のような研究課題を推進している.

(1)地球環境の変動と進化の解明
 地球史を通じた地球環境の進化や変動(とくに生物大量絶滅が生じた全球凍結イベント,小惑星衝突イベント,海洋無酸素イベントなど)を気候モデルや物質循環モデルを用いて解明する. また,野外調査や岩石試料の化学分析に基づいて,当時の地球環境変動の実態を明らかにする.

(2)太陽系及び太陽外惑星系における惑星環境の解明
 火星や金星の環境システムの挙動特性や気候変遷,太陽系外惑星系における惑星環境や生命生存可能惑星(ハビタブル・プラネット)の存在条件などを, 数値シミュレーションや理論的手法を用いて明らかにする.


Extreme Matter 極限物質モジュール

井研究室 プラズマ物理,核融合工学,高ベータプラズマ
[核融合研究教育プログラム]紹介を見る
井 通暁 准教授(基幹)
Tel. 04-7136-4044
E-mail: inomoto@k.u-tokyo.ac.jp
http://tanuki.t.u-tokyo.ac.jp/inomoto/

『実験の失敗こそが新発見の礎
   想像力が核融合の新たな時代を切り拓く』

 核融合発電はエネルギー問題を抜本的に解決しうる有力な手段です. 恒星中心部で持続的に発生している熱核融合反応を地上で実現するためには,超高温プラズマ状態を達成することが必要です. 非常に強い磁場によって超高温プラズマを保持するトカマク型では重水素―三重水素核融合反応の臨界条件が達成されており, その成果を受けて建設中の国際熱核融合実験炉ITERの実験開始が数年後に迫る現在,核融合エネルギー開発は実用化を見据えた新たな局面を迎えようとしています.

 核融合燃焼状態を達成するためは,高温,高密度,低損失,高安定性などのプラズマ性能が要求されますが,それに加えて今後はベータ値の上昇が不可欠となります. ベータ値とはプラズマの熱圧力と外部コイルが作り出す磁気圧との比を表しており,ベータ値が高いほど小さな磁場で高い圧力のプラズマを効率よく保持し, 大きな核融合反応出力を得ることができます. 圧力が高くなりすぎると,プラズマは不安定になる傾向がありますので,高いベータ値と低損失・高安定性とをいかに両立するかが課題となります. 本研究室では,天体プラズマなどで観測される高効率エネルギー変換メカニズムである磁気リコネクションを応用することによって, 高ベータ配位である球状トカマクや磁場反転配位の効率的な形成,安定性,維持などについての実験研究を行っています.

江尻研究室 プラズマ物理,核融合,トカマク
[核融合研究教育プログラム]紹介を見る
江尻 晶 准教授(基幹)
Tel. 04-7136-3926
E-mail: ejiri@k.u-tokyo.ac.jp
http://fusion.k.u-tokyo.ac.jp/~ejiri/

『真理を見通す眼と熱き情熱
   共に歩もう核融合エネルギーへの路』

 プラズマは荷電粒子の集合である.各粒子は電場と磁場を自ら生成すると伴にこれらを通して相互作用をする. 粒子の集合は衝突,拡散によって熱平衡状態に近づこうとするが,高温で閉込めのよい系は,衝突,拡散が小さく,熱平衡状態からはるかに離れたところにある. このことからプラズマは非線形,非平衡な系と言われる. これらの性質を解き明かすもっとも良い方法は,プラズマ中の揺らぎを観測することである. 本研究室では,高瀬教授とともに,主としてTST-2球状トカマク装置(東大:写真参照)を用いたプラズマ実験を行っている. TST-2は波動加熱のみで電流駆動,配位形成が可能であることが特徴である. 本グループでは,プラズマの加熱と自己組織化,揺動,不安定性を研究テーマとし,ユニークなプラズマ,自作の装置,解析方法を武器に,日々プラズマと格闘している. 学外では,計測手法,解析手法の開発をテーマに核融合科学研究所(岐阜)のLHD装置,九州大学のQUEST装置,イギリスのMAST装置, アメリカプリンストンプラズマ物理研究所のNSTX装置で共同研究を行っている.

高瀬研究室 プラズマ物理,核融合,トカマク
[核融合研究教育プログラム]紹介を見る
高瀬 雄一 教授(基幹)
Tel. 04-7136-3925
E-mail: takase@k.u-tokyo.ac.jp
http://fusion.k.u-tokyo.ac.jp/

『青春をかけた複雑物理の究明
   目指せ,核融合開発の世界的リーダー』

 太陽や星は核融合で巨大なエネルギーを生みだしている. 地球上で核融合を実現するには,原子がイオンと電子に分かれたプラズマという状態を利用する. イオンや電子は電荷をもっているので,プラズマ中では電磁場を介した複雑な集団現象が起こる. 本研究室では,核融合炉の実現に最も有望とされているトカマク型装置を用いたプラズマ高性能化の研究を行っている. 主に東大のTST-2球状トカマク装置(写真)を用い,プラズマの巨視的不安定性,自己組織化,高周波波動を使ったプラズマ加熱・電流駆動,微視的乱流に起因する熱・粒子輸送等に 関する実験的研究を行っているほか,世界第一線の大型核融合装置である原子力研究開発機構のJT-60トカマクや核融合科学研究所のLHDヘリカル装置を使った加熱・電流駆動実験や プラズマ性能改善実験も積極的に行っており,プラズマ物理の総合的理解を目指している. また,米国プリンストンプラズマ物理研究所のNSTX球状トカマク,英国カラム研究所のMAST球状トカマクにおける共同研究も行っており, これからますます国際協力が重要となってくる時代に世界を主導して活躍できる研究者の育成を目指している.

斉木研究室 固体物性・表面科学,グラフェン,有機薄膜紹介を見る
斉木 幸一朗 教授(基幹)
Tel. 04-7136-5526, 3903
E-mail: saiki@k.u-tokyo.ac.jp
http://yukimuki.k.u-tokyo.ac.jp/jpf/saiki-cJ.html

『世界で自分だけが知っている
     この体験こそ実験研究の醍醐味です』

 原子・分子を制御して自然には存在しない構造を自由に設計し,新しい機能をもつ物質を作製するのは人類の究極の夢です. 今日のIT社会の根幹を成すエレクトロニクス技術もシリコンや化合物半導体の人工構造作製技術に負っています. これに加えて,1つ1つが独自の機能を持つ分子を素材に使うことにより,従来にない特性を発現させようとする分子エレクトロニクスの研究が盛んになっています. われわれのグループは「究極の結晶成長は表面の前進である」という考えで,高度な表面分析技術を駆使して成長機構を理解した上で, 分子配向が制御された薄膜を成長させ,電気特性,磁気特性の解明を目指した研究をおこなっています. このような物理,化学,電子工学などの境界領域に属する学際的研究に興味をもつ若い皆さんの参加を期待しています.

【現在の研究テーマ】
(1)グラフェンの化学的成長とドーピング,
(2)新炭素素材(酸化グラフェン,ナノウォール)の成長と物性解明,
(3)位置・配向を制御した分子性薄膜成長法の開発,
(4)有機薄膜トランジスタの動作特性の解明,など.

【実験設備】
分子線エピタキシー(MBE),化学気相成長(CVD),プラズマCVD,X線光電子分光(XPS),紫外光電子分光(UPS), 高分解能エネルギー損失分光(HREELS),走査トンネル顕微鏡(STM),原子間力顕微鏡(AFM), ケルビンフォースプローブ顕微鏡(KFM),電子顕微鏡(SEM),in-situ電気伝導・容量測定装置,可視・赤外光学測定,ラマン分光

佐々木研究室 表面科学・触媒化学紹介を見る
佐々木 岳彦 准教授(基幹)
Tel. 04-7136-3910
E-mail: takehiko@k.u-tokyo.ac.jp
http://sas.k.u-tokyo.ac.jp/index.html

『化学反応を理解し制御したい
   サステナブルテクノロジーを創造しよう』

 物質変換の基礎となる触媒の開発・反応機構の研究・機能性界面の創成・表面科学的研究を行っている. また,これらの応用として,二酸化炭素の転換を様々な方法で行い,低炭素化に貢献するための研究を行っている.

(1)新規固体触媒の開発
 化学反応を実現する際には,多くの場合に触媒が不可欠となる. 特に,固体触媒は,生成物からの分離が容易で,再利用にも有利なことから実用的な意味が高い. 不活性分子の有用物質への変換を目指して,ナノ金属酸化物結晶,金属錯体をベースにした固体触媒,メソポーラス金属酸化物の開発を行っている.

(2)固定化イオン液体の開発
 イオン液体は有機物であり,かつイオン対から構成される塩であることから物性のデザインが可能な溶媒として注目を受けている. 我々は,イオン液体分子を固体表面に固定化して(下図参照)固体触媒として有用であることを示している. イオン液体は二酸化炭素との親和性が高いことからこの性質を利用した反応を開発している.

(3)固体表面上の電子・光励起ダイナミクス・プラズマ誘起化学反応の研究
 電子線や光を入射することにより固体表面上の電子状態を励起することで,化学結合の切断や組み替えが起こる. これらのダイナミクスは光触媒作用とも直接かかわる重要なプロセスである.パルスの電子線,レーザーパルスを入射した後のイオン発生, 発光現象を時間分解測定するための装置開発,およびそれらを用いたダイナミクスの研究を行っている. また誘電体バリア放電による大気圧近傍のプラズマを利用した化学反応過程の研究を行っている.

(4)計算化学的手法による表面過程・触媒反応の研究
 計算化学的手法は現在非常に重要かつ有用なツールとなっている. 我々は,1)モンテカルロ法による固体表面上の吸着種の振る舞いと化学反応の記述,2)遺伝的アルゴリズムを取り入れたテンソルLEED法による複雑な固体表面構造の解析, 3)密度汎関数法による触媒の活性構造と反応過程の解明に取り組んでいる.

 化学または物理のバックグラウンドを持つ皆さんに是非一緒に研究に取り組んでいただきたいと思います.

岡﨑研究室(物性研究所) 強相関電子系、超伝導、光電子分光紹介を見る
岡﨑 浩三 特任准教授(兼担)
Tel. 04-7136-3367
E-mail: okazaki@issp.u-tokyo.ac.jp
http://okazaki.issp.u-tokyo.ac.jp/

『研究に必要なのはやる気と好奇心
一緒に世界トップを目指して物質の世界を探求しよう』

 低温で電気抵抗がゼロになる超伝導という現象は、ミクロスコピックな世界を支配する量子力学がマクロスコピックな現象に現れる一例として非常に興味深く、 一方で将来的な応用の面でも大きな期待が持たれています。 超伝導など複雑な現象をミクロな電子構造の観点から解明する事は、物質科学における最も重要な課題の一つであるとともに、 実社会においてさらなる応用を加速するためにも不可欠であると捉えられています。 角度分解光電子分光という実験手法を用いると、超伝導体など物質中の電子の運動量とエネルギーの分散関係(バンド構造)を直接観測することが出来ます。 本研究室では、エネルギー分解能70μeV、測定最低温度1Kという世界最高性能を有するレーザー角度分解光電子分光装置を用いることによって、 物質の非常に微細な電子構造を調べ、超伝導を始めとする様々な物性現象の機構解明を目指しています。 さらに、非常に短いパルスを発するフェムト秒レーザーをポンプ光、その高次高調波をプローブ光として用いると、 非平衡状態におけるバンド構造の超高速な過渡特性も観測できるようになります。 本研究室では、レーザー開発の研究室と共同で超短パルス高次高調波レーザーを用いた時間分解光電子分光装置の開発・改良を進めて、 ポンプ・プローブ時間分解光電子分光によって、光励起状態からの電子の緩和過程の直接観測、光誘起相転移に伴う電子状態の変化の直接観測等を行い、 励起状態からの電子の緩和機構の解明、光誘起相転移の機構解明等を目指しています。

有田研究室(理化学研究所) 物性理論,第一原理計算,物質設計紹介を見る
有田 亮太郎 客員教授(連携)
Tel.
E-mail:arita@riken.jp
http://fpmrt.riken.jp/public_html/index.html

『夢の新機能物質を設計する』

本研究室では、非経験的手法に基づく物性物理学の研究を行っています。 様々な物質に対する計算から得られた知見をもとに、 非自明な電子状態 に由来する特異物性を理論的に予言、設計することを目指しています。 長期的には、新しい設計指針や 指導原理の確立を理論物理学上の新概念 の発見につなげることを考えています。精度の高い物質設計を可能にする 新しい計算法論の開発にも積極的に取り組んでいます。最近の研究テーマとしては以下のものがあります。

- 強相関モデル計算と密度汎関数理論の融合
- 鉄系超伝導体、銅酸化物高温超伝導体、フラーレン固体、高圧下硫化水素における超伝導
- 超伝導密度汎関数理論の開発と応用
- 5d電子系におけるスピン軌道相互作用と電子間相互作用の競合
- スカーミオン系、ワイル半金属などのトポロジカル系の電子状態計算
- 遷移金属化合物における巨大熱起電力
- 重い電子系における多極子の物理

量子力学、量子化学、統計力学といった伝統的な物理学や化学の知識、方法だけでなく、機械学習などの情報科学のアプローチを組み合わせて物質科学のフロンティアを切り拓くことを目指します。

は「来年度は学生を募集しない」ことを示す.