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井上 圭一 いのうえ けいいち/准教授/基盤科学研究系
物質系専攻/物質科学協力講座/生体分子科学、光生物物理学
https://inoue.issp.u-tokyo.ac.jp/

略歴
2002年3月 神戸大学理学部化学科卒業
2007年3月 京都大学大学院理学研究科化学専攻・博士後期課程修了・博士(理学)
2007年4月〜2009年10月 東京工業大学資源化学研究所・ポストシリコン事業教員(特任助教)
2009年11月〜2016年3月 名古屋工業大学大学院工学研究科未来材料創成工学専攻・助教
2012年10月〜2015年11月 JST・さきがけ研究者(研究領域「細胞機能の構成的な理解と制御」)(兼任)
2015年12月〜2019年3月 JST・さきがけ研究者(研究領域「光の極限制御・積極利用と新分野開拓」)(兼任)
2016年4月〜2018年3月 名古屋工業大学大学院工学研究科生命・応用化学専攻・准教授
2018年4月〜現在 東京大学・物性研究所・機能物性研究グループ・准教授
教育活動
大学院:生体物理化学入門
研究活動

地球上に棲む大部分の生物は太陽から無尽蔵にもたらされる光エネルギーを、生体活動のためのエネルギー源や外界を知覚するための情報源として利用し、様々な形で自身の生存に役立てている。その際に生体内において中心的な役割を果たすのが、多様な光受容タンパク質であり、私たちの研究室では光受容型膜タンパク質であるロドプシンを中心に、主に分光計測にもとづいた物理化学的アプローチによって、それらの機能発現メカニズムの解明を目指した研究を行っている。これまでに対象とした主な分子としては「光駆動型外向Na+ポンプ型ロドプシン」や「光駆動型内向H+ポンプ型ロドプシン」などがあり、2018年には新たなロドプシンファミリーであるヘリオロドプシンを世界に先駆けて報告した。

(上)様々な機能を持つ微生物型ロドプシン(左下)微生物型ロドプシンの精製タンパク質試料(右下)時間分解分光用計測系
(上)様々な機能を持つ微生物型ロドプシン(左下)微生物型ロドプシンの精製タンパク質試料(右下)時間分解分光用計測系



[文献]

1) P.-A. Bulzu, A.-Ş. Andrei, M. M. Salcher, M. Mehrshad, K. Inoue, H. Kandori, O. Beja, R. Ghai*, H. L. Banciu (2019) "Lux in Tenebris Lucet: Casting Light on Asgardarchaeota Metabolism in a Sunlit Microoxic Niche" Nature Microbiol., in press ( : Equally contributed)
2) A. Pushkarev, K. Inoue, S. Larom, J. Flores-Uribe, M. Singh, M. Konno, S. Tomida, S. Ito, R. Nakamura, S. P. Tsunoda, A. Philosof, I. Sharon, N. Yutin, E. V. Koonin, H. Kandori*, O. Beja* (2018) "A Distinct Abundant Group of Microbial Rhodopsins Discovered via Functional Metagenomics" Nature, 558, pp 595-599 ( : Equally contributed)
3) K. Inoue, S. Ito, Y. Kato, Y. Nomura, M. Shibata, T. Uchihashi, S. P. Tsunoda, H. Kandori* (2016) "Natural Light-driven Inward Proton Pump" Nature Commun., 7, Article number:13415
4) K. Inoue, Y. Nomura, H. Kandori* (2016) "Asymmetric Functional Conversion of Eubacterial Light-driven Ion Pumps" J. Biol. Chem., 291, pp 9883-9893 (selected in "Highlights of 2016" of J. Biol. Chem.)
5) K. Inoue, M. Konno, R. Abe-Yoshizumi, H. Kandori* (2015) "The Role of the NDQ-motif in Sodium Pump Rhodopsin" Angew. Chem. Int. Ed., 54, pp 11536-11539
6) H. E. Kato, K. Inoue, R. Abe-Yoshizumi, Y. Kato, H. Ono, M. Konno, T. Ishizuka, M. R. Hoque, S. Hososhima, H. Kunitomo, J. Ito, S. Yoshizawa, K. Yamashita, M. Takemoto, T. Nishizawa, R. Taniguchi, K. Kogure, A. D. Maturana, Y. Iino, H. Yawo, R. Ishitani, H. Kandori*, O. Nureki* (2015) "Structural Basis for Na+ Transport Mechanism by a Light-driven Na+ Pump" Nature, 521, pp 48-53
7) K. Inoue, T. Tsukamoto, K. Shimono, Y. Suzuki, S. Miyauchi, S. Hayashi, H. Kandori, Y. Sudo* (2015) "Converting a Light-driven Proton Pump into a Light-gated Proton Channel" J. Am. Chem. Soc., 137, pp 3291-3299


8)K. Inoue, H. Ono, R. Abe-Yoshizumi, S. Yoshizawa, H. Ito, K. Kogure, H. Kandori*. (2013) "A Light-driven Sodium Ion Pump in Marine Bacteria" Nature Commun., 4, Article number:1678
その他
所属学会 分子科学会、日本生物物理学会、日本化学会、日本分光学会、日本光生物学協会(広報委員(2017-2019))等。

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将来計画

今後ロドプシンを中心としたさらなる新奇光受容型タンパク質の探索および、分光計測によるその機能発現メカニズムの解明に向けた研究を実施していく。さらに光遺伝学(オプトジェネティクス)への応用研究を行う。

教員からのメッセージ

近年ゲノム解析技術などの急速な進展に伴い、主にタンパク質を中心とした爆発的な数の生体分子の存在が明らかとなってきています。これらの生体分子は人工的な分子を大きく凌駕する複雑さと高い機能性を有しており、その機構を分子レベルで解明することは、生命活動の基本原理を明らかにするだけでなく、新たな分子ツールやマテリアル開発に極めて有用な知見をもたらします。複雑な生体分子を理解するためには、生物学だけでなく、化学、物理学、情報学などの広範な知識を柔軟に活用し、それらの視点を統合することが求められますが、これらに興味を持たれた学生の皆さんは、ぜひ無限に広がる研究の沃野を開拓する楽しみを思う存分楽しんでください。
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