2014年度 第8回学融合セミナー 2015/1/28

講 義 16:40~18:10
場 所 新領域基盤棟大講義室(2C0)

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生命科学におけるデータマイニング

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津田 宏治 教授


 パーソナルゲノム時代に入り、生命科学で扱うデータは増加の一途であり、解析に困難をきたすことも難しくない。各個人のゲノム、エピゲノム、遺伝子発現、タンパク質発現、代謝物プロファイルなどが比較的安価で得られるようになり、Multi-omics解析も可能になってきている。このような大量データ解析において、よくある誤解は、解析に必要な計算量はデータの量に比例するというものである。単一の種類のデータを解析する場合には、それで概ね正しいのであるが、生命科学においては、異なる種類のデータ間の関連を明らかにする統合解析が主なタスクであるので、状況はもっと悪い。例えば、100万SNP、1万発現量、1万CNVの関連を明らかにしようとすると、100兆回の評価値計算が必要になる。データの増加そのものが問題なのではなく、多様なデータが引き起こす組合せ爆発こそが最も深刻な問題なのである。従って、組合せ効果をデータから高速に発見できる手法が求められている。データマイニングの手法を生物学データに応用する試みは、多く行われているにも関わらず、 生命科学の論文で広く採用されるには至っていない。この理由は、データマイニングで得られた結果に関して、統計的有意性が証明できないこ とにある。多くのジャーナルでは、主要な結果に関しては統計的に有意であることを求めており、特に、検証実験ができない疫学の分野では、 その傾向が顕著である。データマイニングでは、非常に大きな数の仮説の中から、データに合う仮説を選び出すということを行うので、多重検 定の問題をクリアするのが難しい。本講演では、この問題を解決するための手法について述べる。

黒潮が海洋生態系に与えるインパクト

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小松 幸生 准教授


 本州南方沖合を流れる黒潮とその周辺海域はイワシ類、サンマ、マアジ、サバ類、クロマグロなど重要浮魚類の主要な産卵場である。これら海洋生物資源を適切に管理し持続的に利用するためには、黒潮域の生態系の変動メカニズムの解明が不可欠であるが、黒潮は流速が速い上に変動が激しく、変動を支配する現象のスケールが比較的小さいこともあって完全解明には至っていない。最近の高解像度多項目現場観測と超高解像度モデリングによって、黒潮は、栄養塩濃度が低く生産性の低い沖合域(亜熱帯域)と栄養塩濃度が高く生産性の高い沿岸域の単なる境界ではなく、3次元的な移流と渦拡散の効果により、栄養塩の供給の面でも海域の生産に有効に寄与していることが分かってきた。黒潮生態系研究の最前線を紹介する。

極低温における量子液体

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山下 穣 准教授


 絶対零度近くまで冷却すると何が起こるだろうか?絶対零度ではあらゆるものは凍りつくわけだから、普通に考えると何も面白いことは起こらないように思う。ところが、金属の超伝導、液体ヘリウムの超流動を初めとする不思議な物理現象が極低温で現れる事が今日では知られている。本講演では、量子液体と呼ばれるこうした極低温特有の現象を紹介するとともに、新しい量子液体として最近注目を集めている量子スピン液体について紹介する。
poster ポスター(PDF 1p 247kb)
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