メッセージ
社会で一番役に立つ学問は何か? 物質科学を選んだ理由はそれだった。電子デバイスの世界では「できたらいいな」が、日々「できた」に更新されている。
生活に身近な現象を理解するための「化学」は、環境保全やエネルギーの高効率利用など社会に貢献できる技術を学ぶのに必要だとの考えから、私は化学工学を専攻していました。卒業後に助手となると、今度は「物理」を専門としながら最先端の電子デバイス研究を先導する教授と出会いました。教授から次々に湧き出る新しいアイデアを必死に追いかけているうちに、やがて自分の道をみつけて今に至ります。
今、最先端をいく電子デバイスに重要なのは「材料学」です。デバイス分野では私のように材料学を専門とする研究者はまだ少なく、自分の果たすべき役割は大きいと感じます。材料学の視点でデバイスの物理を考えることで初めて気づくことが多いのです。このような研究ではアイデアを試してもうまくいかないことの方が多いのですが、「ダメだった」を繰り返すうちに「これはいい!」に辿りつき、それが未来につながっています。挫折なんて不要です。全力で迷いながら進んでいくのが楽しいのです。
物質系専攻を志す学生へ
現代社会の科学技術への期待は大きく膨らんでおり、様々な技術的な課題に私たちの知恵を結集して立ち向かうことが求められています。物質系専攻では、材料のまったく新しい機能を発見したり、それを自在に設計・製造する技術を作り出しています。例えば私たちの身の回りの電子デバイスも、その機能の飛躍的な向上には新しい材料を使いこなす技術が欠かせません。皆さんにも、大きな課題に立ち向かう使命感を胸に、この輪に加わって欲しいと思います。