研究紹介

全ての物質は原子から構成されており、様々な物性はナノメートルのサイズで決まるので、材料を原子レベルで評価・制御する技術が必要とされている。我々の研究室では、走査型プローブ顕微鏡を用いて、様々な材料表面の原子レベル計測を行い、ナノスケールの物理現象の解明を行っている。 走査型プローブ顕微鏡の中でも特に、絶縁体も扱える等、応用範囲が広い原子間力顕微鏡をベースに研究を行っているところに特色がある。走査型トンネル顕微鏡(STM)との複合化により、同一原子における様々な物性量を同時に測定することができる。 ナノテクノロジーの基盤技術となる原子操作と元素同定の研究を主に行い、個々の原子からナノ構造体を組み立て、新材料や新動作原理に基づくデバイスの探索を行っている。また、走査型プローブ顕微鏡のさらなる高分解能化と高機能化を実現するため、新しい装置の開発も行っている。

杉本研究室 研究紹介

 

Ge基板中のSn原子で描いた原子文字

杉本研究室 研究紹介

 

原子間力顕微鏡の模式図

杉本研究室 研究紹介

 

原子間力顕微鏡の装置

メッセージ

思ってもいなかった発見は、現場で起こっています。実験家として大切なことは、気がつけるかということ。世界中で自分しか知らないことを、一緒に発見しましょう。

科学との出会いは中学2年生の時です。ブルーバックスの相対性理論の本を読み、こんな不思議なことが事実なのか!?と驚き、科学者になりたいと思いました。大学では、理学部物理学科で、物理を体系的に学び、研究室に配属されてからは、自分で実験をする面白さを知りました。実験家として大変重要なことは「なにかいつもと違う」と気がつけるかどうかです。もちろん、実験装置の調整や実験の準備は、退屈で苦労を伴います。けれど、全てをミスなく整えることができれば、世界中で自分しか知らない、知見が次々と得られます。 常識では考えられないような、現象に一度でも出くわせば、研究そのものがやめられなくなります。最近、原子1つひとつから、実際に動作する素子を創ることができるようになりました。現在の、半導体の微細加工技術に限界があるといわれていますが、それを打破する技術に結びつくかもしれません。新しいことは全て現場(実験室)で起こっているんだということです。

物質系専攻を志す学生へ

既存の学問を座学で学び続けるのでは、日々急速に前進しているフロンティアに追いつけません。大学院では、研究の世界に一気に飛び込みましょう。そして、走りながら考えましょう。

プロフィール

杉本 宜昭 准教授

杉本 宜昭 教授

2001年 大阪大学理学部物理学科卒業

2006年 大阪大学大学院工学研究科博士後期課程修了

2006年 同研究科原子分子イオン制御理工学センター 特任助手

2007年 同研究科 附属フロンティア研究センター 特任講師

2011年 同研究科 電気電子情報工学専攻 准教授

2015年 東京大学大学院新領域創成科学研究科物質系専攻 准教授

2022年 東京大学大学院新領域創成科学研究科物質系専攻 教授

学生の声

仁木 康平

仁木 康平 さん

杉本先生は、世界の第一線で活躍されている研究者です。

研究テーマや実験方法について、学生のアイデアを尊重して、自由に研究をさせてくれて、よい研究になるように導いてくれます。

実際にこれまで、多くの学生が世界初の研究成果をあげてきました。研究室の雰囲気は、大変自由で、みんなのびのびと研究を行っています。


物質系専攻を志す学生へ

世界最先端の装置を使って実験を行うと、日々様々な発見をします。既存の学問を吸収するだけではなく、実際に目の前にある事実を受け止めて、そこから新しい学問を発展させるというプロセスは、大変貴重な経験になります。きっとあなたの好奇心を満たしてくれることでしょう。

研究室訪問

  • 04-7136-4058
  • 277-8561
  • 千葉県柏市柏の葉5-1-5
  • 東京大学大学院新領域創成科学研究科物質系専攻
  • 杉本宜昭 教授 研究室
  • ysugimoto@k.u-tokyo.ac.jp