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~ゲノム研究の発展と国内屈指のライフサイエンス拠点の形成へ~ 国内初、超高度ゲノム解析サービスを提供する柏の葉オーミクスゲート本格稼働 ~がんなどの多くの疾患の治療法の確立に寄与~

投稿日:2021/03/18
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一般社団法人 柏の葉オーミクスゲート

三井不動産株式会社

国立大学法人 東京大学大学院新領域創成科学研究科

三井不動産株式会社(所在:東京都中央区、代表取締役社長 菰田正信/ 以下、「三井不動産」)は、国内のゲノム関連研究の発展に寄与することを目的に、一般社団法人柏の葉オーミクスゲート(千葉県柏市、代表理事 菅野純夫 東京大学名誉教授 / 以下、「KOG」)を設立し、国内初となる超高度ゲノム解析プラットフォームを本格的に稼働し、ゲノム解析の包括的なサービスを提供してまいります。

 ゲノム関連研究は、世界的に注目されている分野です。一方、日本国内においては、ゲノム解析に関する知見の集積が限られていることと、セキュリティ上の観点でデータへのアクセス方法に制限があることから、海外と比較すると研究が発展しづらい環境となっていました。

今般、国内のゲノム関連研究の発展のため、KOGは国立大学法人東京大学大学院新領域創成科学研究科附属生命データサイエンスセンター(以下、「東京大学」)および国内外のゲノムデータ集約機関と連携し、最先端のゲノム解析インフラや、リモート接続可能な解析環境等を提供する包括的サービスを開始しました。

具体的には、「世界最先端のゲノム解析技術に関する情報提供」「最先端のゲノム研究支援」「最新のゲノム解析ツールの提供」「リモート接続可能で安全なゲノム解析環境の提供」を基軸とした会員制のサービスとなります。すでに複数の企業・アカデミアの利用が始まっており、今後もゲノム研究を通じて医療・製薬の研究の発展を担う会員を募集します。今後国内におけるトップアカデミアと企業の更なる連携強化により、シングルセル・空間オーミクス解析等の最先端ゲノム解析技術の活用が促進されることで、がんをはじめとする多くの疾患の治療法の確立に繋がることが期待されます。

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■一般社団法人柏の葉オーミクスゲート 概要 (https://www.kog.or.jp

KOGでは、企業や研究機関の方々が研究で実施されるゲノム解析を包括的に支援するサービスを提供します。代表理事には、東京大学名誉教授/千葉大学未来医療教育研究機構 特任教授 菅野純夫、理事には、日立製作所 名誉フェロー/フロンティアバイオシステムズ株式会社 社長 神原秀記、三井不動産 執行役員 柏の葉街づくり推進部長 山下和則が就任しております。

 ゲノム解析では、大容量のデータ移動と解析が大きな課題でしたが、KOGではグローバルに存在するゲノム関連のデータベースへのアクセス、およびデータ解析を快適にご利用いただけるインフラを構築します。またKOGは、202012月にバイオサイエンスデータベースセンター(NBDC)と『機関外サーバ』の運用に関する覚書を締結いたしました。これにより、NBDCの管理するデータをKOGの提供する計算機にて利用することが可能な『機関外サーバ』となり、これは国内3例目の事例となります。会員の方には、解析インフラのご利用に加えて、ゲノム解析ツールの利用、外部データベースへの接続、およびアカデミアを中心にグローバルで研究が進んでいる最先端の高度なゲノム解析や支援をご提供します。

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■サービスの特徴 (詳細はKOGWebサイト https://www.kog.or.jp にてご案内しております。)

1.世界最先端のゲノム解析技術に関する情報提供

・年数回のセミナー/勉強会の開催

・国内新規開発技術/国内新規データベースの紹介

2.最先端のゲノム研究支援

・アカデミアを中心にグローバルで研究が進んでいる最先端の超高度なゲノム解析を支援

・ご自身で解析を行う会員様へ、解析手法の説明やノウハウを提供

・検体からのデータ産生が必要な場合は連携機関の紹介も可能

3.最新のゲノム解析ツールの提供

・最先端の研究動向を把握している専門家がカスタマイズ、メンテナンスしている最先端の解析ツールをご提供

・超高度なゲノム解析に用いる国内外の各種データベースの利用支援

4.リモート接続可能で安全なゲノム解析環境の提供

・ユーザーが独自にサーバを構築しなくても安心してデータをダウンロードや突合ができる環境を提供

東京大学 大学院新領域創成科学研究科 教授 / 生命データサイエンスセンター長 鈴木穣 コメント

「近年、大規模オーミクスに関する研究は大学、国立研究機関等のアカデミアが主導する時代から、民間も巻き込んでの総力戦の様相を呈しております。多くの人的、金銭的、物的資源を要する反面、成果が得られた場合、その波及効果は絶大です。実際、英国のGenomics England、米国のBroad研究所等、産官学が一体となった研究・産業実用推進機関は各国での強力なゲノム科学推進プラットフォームになっております。今回の一般社団法人柏の葉オーミクスゲートの設立が日本のゲノム科学が総体としてこれらのゲノム先進国に伍していくものに飛躍的に成長する好機になればよいと思っております。」

■柏の葉スマートシティのライフサイエンスに関する取り組み

柏の葉スマートシティは、東京大学や国立がん研究センター東病院といった大学・医療機関・研究機関などの最先端の知が集結しており、エリア全体でライフサイエンスの取り組みに注力しています。特にゲノム解析によるがん治療や予防は、柏の葉スマートシティのテーマの一つである「健康長寿」に即して、重要なテーマとなっており、東京大学鈴木研究室による大規模ゲノム解析など、がん関連研究にも力を入れています。

2019年6月からは、三井不動産と国立がん研究センター東病院、H.U.ホールディングスとで、次世代医療技術・ヘルスケアサービス開発のための連携・協力に向けた基本協定書を締結し、がんの「治療」と「克服」を目指したライフサイエンス拠点の形成に取り組んでいます。KOGの設立とサービス提供を通して、柏の葉スマートシティにおけるライフサイエンス拠点の形成を進め、国内のゲノム関連研究の発展に貢献します。

〇国立大学法人 東京大学大学院新領域創成科学研究科附属生命データサイエンスセンター 

URLhttps://lisdac.k.u-tokyo.ac.jp/ )

『生命データサイエンスセンター』は東京大学大学院新領域創成科学研究科内に発足した研究センターです。国内有数の高データ生産能力と高インフォマティクス解析能力を融合した本センターでは、データの算出から情報解析までを一貫して行う体制を整えており、ヒトをはじめとした多様な生物種について大規模な生物データを収集し解析を行うセンターです。また、産業応用の観点から望ましい摂動を予測し、人工的に構成された系についての先端計測も行います。世界でも最先端の観測技術を駆使して大規模・精密なデータを産生し高度な情報解析を行い、生命科学のみならず環境科学等の諸学とも融合研究を推進し、生命ビッグデータによる知の創成を先導します。

〇三井不動産株式会社(【柏の葉スマートシティ】URL : http://www.kashiwanoha-smartcity.com/

三井不動産は、千葉県柏市のつくばエクスプレス「柏の葉キャンパス」駅周辺エリアにおいて、2005年から「柏の葉スマートシティ」として、まちづくり事業を進めています。世界の課題を解決するまちづくりモデルを創出することを目指し、「環境共生」「健康長寿」「新産業創造」の3つのテーマのもと、公・民・学の連携による様々な取り組みが行われています。「新産業創造」においては、まち全体で多世代・多分野・多国籍の人々やさまざまなステージの企業がつながることによってイノベーションを起こし、新産業を創造する都市の実現を目指しています。

■三井不動産グループのSDGsへの貢献について https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/esg_csr/

三井不動産グループは、「共生・共存」「多様な価値観の連繋」「持続可能な社会の実現」の理念のもと、人と地球がともに豊かになる社会を目指し、環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)を意識した事業推進、すなわちESG経営を推進しております。当社グループのESG経営をさらに加速させていくことで、日本政府が提唱する「Society 5.0」の実現や、「SDGs」の達成に大きく貢献できるものと考えています。

*なお、本リリースの取り組みは、SDGs(持続可能な開発目標)における4つの目標に貢献しています。

目標3 すべての人に健康と福祉を

目標8 働きがいも経済成長も

目標9 産業と技術革新の基盤をつくろう

目標17 パートナーシップで目標を達成しよう

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関連研究室

鈴木研究室

記事掲載情報

日本経済新聞(4/19)、ハウジングトリビューン(4/23)

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新領域創成科学研究科 広報室

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