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葉っぱと頭蓋骨の意外な関係? ~植物細胞の変形を説明する新理論を確立~

投稿日:2016/04/07
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発表者
桧垣 匠(東京大学大学院新領域創成科学研究科先端生命科学専攻 特任准教授)
朽名 夏麿(東京大学大学院新領域創成科学研究科先端生命科学専攻 特任准教授)
秋田 佳恵(東京大学大学院新領域創成科学研究科先端生命科学専攻 特任研究員)
 
発表内容
植物の葉の表面をつくる細胞はジグソーパズルのように複雑に入り組んだ形をしています.これは葉が大きく成長する過程で、細胞が膨らむ方向を外側から抑え込む細胞壁の形が徐々に変わることで出来上がると考えられています.細胞壁の変形に関係する遺伝子はこれまでにも多く発見されてきましたが、これらの遺伝子の働きがどのように関係しあって、最終的な細胞の形が決まるのか分かっていませんでした.

東京大学大学院新領域創成科学研究科の桧垣匠特任准教授、朽名夏麿特任准教授、秋田佳恵特任研究員は、九州大学大学院医学研究院の三浦岳教授らのグループと協同して、細胞壁の合成と分解のバランスが細胞表面から放出される因子によって調節されることで細胞壁の変形が進むという数学的な理論を発表しました.本理論に基づくシミュレーション解析により、細胞壁の一部を分解した場合に実際の細胞で観察される異常な形をほぼ正確に予測することができました. 

今回の理論によって植物細胞の形づくりの仕組みの理解が飛躍的に発展することが期待されます.また面白いことに、本理論は動物解剖学の分野で研究されてきた頭蓋骨の縫合線の形づくりを説明する理論と同じものであることが判明しました.一見すると何の関係ないように思える生物現象にも、理論のレベルでは意外な共通点が見つかることがわかります.この成果は2016年4月7日に米国のオンライン科学雑誌「PLOS Computational Biology」に掲載されました.
 
発表雑誌
雑誌名:PLOS Computational Biology
論文タイトル:A theoretical model of jigsaw-puzzle pattern formation by plant leaf epidermal cells
著者: T. Higaki, N. Kutsuna, K. Akita, H. Takigawa-Imamura, K. Yoshimura, T. Miura
DOI番号: 10.1371/journal.pcbi.1004833
論文のリンク:http://journals.plos.org/ploscompbiol/article?id=info:doi/10.1371/journal.pcbi.1004833
 
問い合わせ先
東京大学大学院新領域創成科学研究科先端生命科学専攻
特任准教授 桧垣 匠
Tel: 04-7136-3708
E-mail: higaki@k.u-tokyo.ac.jp

 

図.植物の細胞壁と頭蓋骨の縫合線の形づくりに関する数学的な理論モデル