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新井 充 あらい みつる/教授/新領域創成科学研究科
環境システム学(兼担)/環境安全研究センター/
http://explosion.chem.t.u-tokyo.ac.jp/

略歴
1977年3月 東京大学工学部反応化学科卒業
1982年3月 東京大学大学院工学系研究科反応化学専門課程博士課程修了(工学博士)
1982年4月〜1991年3月 新日本製鐵株式会社
1985年12月〜1988年1月 米国Southwest Texas 州立大学客員研究員
1991年4月 東京大学工学部講師
1993年2月 同助教授
2005年9月 同大学院新領域創成科学研究科助教授を経て環境安全研究センター教授(現職)
教育活動
大学院:環境反応システム論
工学系研究科:エネルギー物質化学特論、システム安全工学特論
工学部:コンピュータ科学、エネルギー物質化学、システム安全工学
農学部:環境安全管理
東洋大学大学院工学研究科:反応化学特論
首都大学東京都市環境学部:環境化学
慶應大学理工学部:安全化学
研究活動
窒素および窒素酸化物の化学を基盤技術として、環境および安全の分野で研究を行ってきた。いわゆるNOxに代表される窒素酸化物は、自動車等の内燃機関や燃焼炉等の燃焼システムから大気中に放散され、光化学大気汚染の主要な原因物質となる他、最近では、ディーゼル機関から排出される煤成分(パティキュレート)中の多環芳香族化合物と反応して生体に有害なニトロ多環芳香族化合物を生成する疑いがかけられている。窒素酸化物が原因となる環境問題を解決するために、NOxの反応性に関する基礎的な知見を得ることを目的として、N2O5による芳香族炭化水素化合物のニトロ化反応機構の研究を行っている。一方、化学物質が原因となる火災・爆発災害は少なくない。そして、これらの災害が、化学物質の漏洩を引き起こし、環境問題にまで発展する場合もある。このような災害を防止するためには、まず、化学物質の発火・爆発危険性を正確に評価する手法の確立が必要とされる。これらの評価法の確立については、現在ほぼ完成が近づいているが、同時にこれらの評価法を国際的に統一すべきである(Global Harmonization)という考えのもとに、再検討を行っている。物質の安全性が十分に評価されることにより、通常の取り扱い時における災害は、極小化されることが期待されるが、合成や改質等、化学反応時に於いては、それらの物質は動的環境下に置かれるため、静的環境下における危険性評価結果だけでは、その安全性の全てを推し量ることはできない。このため、化学反応時の動的環境下での物質あるいは混合物質の発火・爆発危険性評価手法の確立を目指した研究を行っている。
[文献]
研究成果などについてはホームページhttp://explosion.chem.t.u-tokyo.ac.jp/を参照されたい。
その他
所属学会:火薬学会(理事、評議員、編集委員長)、安全工学協会(理事、企画委員)、日本化学会(環境安全推進委員、防災小委員)、大気環境学会、高分子学会、 American Chemical Society、American Institute of Chemical Engineers
各種委員会:危険物輸送専門家委員会委員(UN、1994-)、爆発影響低減化委員会委員((社)全国火薬類保安協会、1998 -)、危険物輸送国連対応委員会委員((社)日本海事検定協会、1999-)、高圧ガス試験委員会委員((社)高圧ガス保安協会、2002-)危険性評価委員会委員長((社)日本海事検定協会、2003-)、火薬類試験委員会委員((社)全国火薬類保安協会、2006-)、火薬部会委員(経済産業省、 2006-)
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将来計画
化学物質の発火・爆発潜在危険性および健康に対する潜在危険性の問題と化学物質による環境汚染/破壊性の問題は、前者が原料、中間生成物および生成物である比較的高濃度の化学物質を対象としているのに対し、後者が化学プロセスにおける廃棄化学成分のうちの比較的低濃度のものを対象としてきたために、これまで同列に扱われることはなかった。しかしながら、イタリアのセベソやインドのボパールにおける災害のように、化学工場の爆発事故が原因となって、未曾有の環境汚染/破壊を引き起こした例、また,最近大きな話題となってきている環境ホルモンのように、化学製品等が環境中に極低濃度で存在することが問題となる例などを考えると、化学物質の安全と環境の問題は、分離して考え得る問題では無いと考えられる。ここでは、化学物質の安全性を軸に、それらの反応下(動的環境下)での安全性の評価手法を確立するとともに、化学プラント→化学工場→町→市という、より広域レベルでのリスク分析(risk analysis)が行えるようなシステムの構築を目指して行きたいと考えている。また、研究活動のところでも述べたように、これまでは、窒素および窒素酸化物の化学を中心に、環境と安全の分野での研究展開を計ってきた。化学災害の原因となる発火・爆発危険性を有する物質の多くが窒素を含む化合物であること、また、窒素酸化物(NOx)は、現在に於いても、大気汚染物質の主成分であると同時に、その反応性等については、必ずしも十分に理解されていない部分もあることから、今後も、窒素および窒素酸化物の化学に関する基礎的な研究は続けて行きたい。
教員からのメッセージ
新領域創成科学研究科のキーワードの一つに「学融合」がある。環境学系には文系、理系双方にわたって、様々な分野からの研究者が集まっており、まさに系全体が学融合を呈しているわけであるが、今後は、単に多種の研究分野が同居しているというだけではなく、その特性を大いに生かした魅力的な系を作り上げてゆきたいと考えている。
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