東京大学大学院新領域創成科学研究科

PROSPECTUS

教員紹介

佐々木 健 (ささき けん/教授/環境学研究系)

人間環境学専攻/人工環境学講座/環境情報マイクロシステム分野

略歴

1980年3月東京大学工学部精密機械工学科卒業
1982年3月東京大学大学院工学系研究科精密機械工学専攻修士課程修了
1982年4月日本電気株式会社
1985年7月東京大学工学部精密機械工学科助手
1986年4月東京大学工学部国際交流室講師
1987年11月東京大学工学部精密機械工学科助教授
1988年4月東京大学先端科学技術研究センター
1990年10月東京大学工学部精密機械工学科
1996年3月~12月米国スタンフォード大学客員研究員
1999年4月東京大学新領域創成科学研究科環境学専攻
2004年8月現職

教育活動

大学院:環境メカトロニクス特論,環境プランニング基礎論
大学院工学系研究科:人間環境メカトロニクス
工学部:制御工学1,メカトロニクスシステム設計

研究活動


メカトロニクスとセンサ技術を応用し,快適で安全な生活を実現するための機器とシステム開発を進めている.
人間の運動と生体情報および周囲の環境を計測し,その分析結果に対応した情報サービスを提供するとともに
物理的な働きかけをするシステムが基本である.

1)CAE用ハプティックデバイスの研究
スイッチやレバーの操作感は,自動車や情報機器の高級感を演出する重要な要素である.しかし設計段階で操作感まで
予測することは難しい.設計データに基づく精密な動力学モデルを用いて動特性をリアルに再現できる呈示装置があれば,
試作せずに操作感を評価することが可能となる.バーチャルリアリティや遠隔操作の分野で利用されているハプティック
デバイスは運動の自由度を重視しているため応答性が犠牲になっており,スイッチのクリック感のような感覚を再現する
には性能が不十分である.現在,運動の自由度を制限して応答性を高めたハプティックデバイスのメカニズムと制御系の
設計を進めている.(ハプティック(Haptic)とは触覚や力の感覚の総称)



人体内通信用送信機と受信機の試作機





送信機裏の通信用電極





人体内通信の様子



2)人体を伝送路の一部とする通信方式
人体に装着したセンサの情報を,同じ人間が身につけている他の情報機器へ伝送したり,人体外部の機器に伝送したりする
ために,人体を伝送路の一部として利用する「人体内通信」に関する研究を進めている(参考文献1)).人体内通信は普通
の無線より小さな電力で通信できる可能性があるとともに,人と握手をする,あるいは装置に触れる,というような物理的
接触が生じた時にのみ情報が伝わることを利用した新しいアプリケーションを生み出す道具となる.伝送特性を説明する
モデルは未完成であるが,現在では人体を線状アンテナに見立てたモデルを検討中である.さらに人体内通信に適した
回路設計法の確立とアプリケーションの開発を進めている.図は腕時計型ケースに組み込んだ人体内通信用送信機と受信機,
送信機裏の通信用電極,および通信の様子である.図は送信機を装着した側の指先で触れているが,反対側の手の指先で
触れても通信が可能である.

文献

1)K.Hachisuka, Y.Terauchi, Y.Kishi, K.Sasaki, T.Hirota, H.Hosaka, K.Fujii, M.Takahashi, K.Ito,
"Simplified circuit modeling and fabrication of intrabody communication divices", Sensors and Actuators A
130-131 (2006) pp.322-330

その他

精密工学会,日本ロボット学会,エレクトロニクス実装学会,日本船舶海洋工学会,日本時計学会,
日本コンピュータ外科学会,会員.
精機学会沼田記念論文賞「ロボットのための高精度超音波センサの開発研究」,
日本時計学会青木賞「人体を伝送路とする情報通信デバイスの研究」,
IEEE/ASME-MESA06講演論文賞「Vibration stimulus of seat belt motor retractor for keeping drivers awake」,
日本時計学会青木賞「Evaluation Platform for Physiological Information Systems Using Wearable Sensors and
Information Technology」.

将来計画

メカトロニクスとセンサ技術を応用し,快適で安全な生活を実現する機器とシステムを開発する研究方針は継続する.
センサ信号処理に関しては,画像認識や音声認識以外の認識技術,例えば人体運動の認識や,機械音や日常生活音の認識
などが今後重要になってくる技術の1つであると予想しており,研究を進めていきたいと考えている.

教員からのメッセージ

身の回りの機器の仕組みや自然現象に興味を持って欲しい.