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山下 穣

(やました みのる/准教授/基盤科学研究系)

物質系専攻/物質科学協力講座(物性研究所)/凝縮系物性研究

略歴

2000年3月京都大学理学研究科卒業
2005年3月京都大学理学研究科(博士(理学))
2005年4月~2007年2月学振特別研究員、物性研究所
2005年9月~2007年9月米国コーネル大学ポスドク研究員
2007年10月京都大学理学研究科固体電子物性研究室助教
2012年4月理化学研究所加藤分子物性研究室研究員を経て2013年4月より現職

教育活動

大学院:超伝導・超流動入門

研究活動

温度の下限である絶対零度では全ての物質は凍りついてしまって、何も面白い現象は無いように思われる。ところが、1ケルビンという低温領域で金属の電気抵抗が突然0になるという超伝導現象が発見されたのを契機に、液体ヘリウムの超流動転移、希薄アルカリ気体のボース凝縮など様々な量子凝縮相が極低温で発見された。室温では熱揺らぎに隠れてしまって見えない、多彩で不思議な物理現象が低温領域に隠れていたわけである。 当研究室ではこのような量子凝縮現象に興味を持ち、低温までの精密測定によってその物性を明らかにする研究を行っている。特に、電子系研究が全く行われてこなかった20 mK以下の超低温領域における量子臨界現象、超伝導現象の解明に力を入れている。さらに、走査型磁気顕微鏡を用いた新奇電子状態の直接観察や、幾何学的フラストレーションをもつ磁性体における量子スピン液体状態の素励起の解明に力を入れて研究を進めている。






物性研の核断熱消磁冷凍機。超低温(1 mK)・高磁場(10 T)の実験が可能。左下挿図が実験空間拡大写真。右下挿図が超低温トルク測定用カンチレバー。

文献

1) Anomalous Change in the de Haas-van Alphen Oscillations of CeCoIn5 at Ultralow Temperatures: H. Shishido, S. Yamada, K. Sugii, M. Shimozawa, Y. Yanase and M. Yamashita, Phys. Rev. Lett. 120 (2018) 177201.
2) Spin Thermal Hall Conductivity of a Kagome Antiferromagnet: H. Doki, M. Akazawa, H.-Y. Lee, J. H. Han, K. Sugii, M. Shimozawa, N. Kawashima, M. Oda, H. Yoshida and M. Yamashita, Phys. Rev. Lett. 121 (2018) 097203.

その他

所属学会:日本物理学会

将来計画

超低温領域における未知の量子現象を技術開発によって開拓します。
また、様々な測定技術を駆使して今まであまり研究されてこなかったような現象を探索します。絶縁体において我々が発見した熱ホール効果もその一例で、今までと違った切り口から物性研究を開拓します。

教員からのメッセージ

今まで探索されていない低温領域には未知の現象が隠れている可能性があります。
技術的に非常にチャレンジングですが、その過程自体に研究の楽しみがあると思います。

ホームページのURL

https://yamashita.issp.u-tokyo.ac.jp/