研究紹介

本研究室では、スピントロニクスと熱電・熱輸送物性の融合に基づく「スピンカロリトロニクス」に関する研究を主に行っています。従来のスピントロニクスの枠組みを超えた異分野の技術や知見を導入し、電子輸送・磁性(スピン)・フォノン・強誘電性等の協奏効果によって駆動される新しい熱変換・熱制御・熱移送現象や機能性の開拓、およびそれらのエネルギー変換効率を向上させるための物質・材料科学を推進しています。独自に発展させた動的熱計測技術や複合材料合成技術を駆使してスピンカロリトロニクスの新境地を切り拓き、熱マネジメント技術に結実させることで、持続可能社会の実現に貢献することを目指しています。

内田研究室 研究紹介

 

バルク材料合成技術や薄膜作製技術を駆使して自然界には存在しない複合材料を生み出し、高効率に熱変換・熱制御・熱移送するための基盤原理・技術を構築しています。

内田研究室 研究紹介

 

本研究室が開発した「熱電永久磁石」の写真。この材料は永久磁石でありながら、電流を流すと電流と直交した方向に熱流が流れて片面を冷却したり、温度差を与えることで発電したりすることができます。

メッセージ

自分で現象を発見・観測して、新しい分野の土台を作る。世界をリードする研究を日本から発信していきましょう。

子供の頃から、親から何かやれと言われたことはなく、自分で決めて、慶應義塾大学の理工学部に進学しました。実は研究を始めるまで、研究者になろうと思ったことも1回もなかったですね。研究をしてみて楽しかったから研究者になる道を選びました。
4年生の時に齊藤英治先生(東京大学教授)と出会い、物理の法則そのものを作るんだという言葉に衝撃を受けて、こんな研究があるのか、ここに行かないと損をするって直感的に思ったんです。研究するなら、主体的にテーマを決めてやりたいと思い、先生にこんな研究テーマはあり得ますか?と当時は根拠もなく提案したことがスピンカロリトロニクス分野の端緒になりました。現在は基礎研究のみならず、スピンカロリトロニクス分野で見つかった様々な原理をどのように応用展開するか、という課題にも取り組んでいます。

物質系専攻を志す学生へ

本研究室は、茨城県つくば市にある物質・材料研究機構(NIMS) 磁性・スピントロニクス材料研究センタースピンエネルギーグループと一体となって研究を進めています。柏キャンパスとNIMSは地理的に近く、本研究室の所属学生は東京大学だけでなくNIMSの充実した研究設備を用いて最先端の物質・材料研究を行うことができます。オンリーワン・ナンバーワンの研究で、新しい分野を切り拓いていきましょう。皆さんの研究アイデアを最先端研究に結び付けるための環境が本研究室には揃っています。

プロフィール

内田 健一 教授

内田 健一 教授

2008年 慶應義塾大学理工学部物理情報工学科 卒業

2009年 慶應義塾大学大学院理工学研究科基礎理工学専攻 修士課程修了

2012年 東北大学大学院理学研究科物理学専攻博士課程修了、博士(理学)

2012年 東北大学金属材料研究所 助教

2014年 東北大学金属材料研究所 准教授

2016年 物質・材料研究機構磁性・スピントロニクス材料研究拠点 グループリーダー

2023年 物質・材料研究機構磁性・スピントロニクス材料研究センター 上席グループリーダー

2024年 東京大学大学院新領域創成科学研究科物質系専攻 教授

研究室訪問

  • 04-7136-3756(柏)
  • 029-859-2062(NIMS)
  • 277-8561
  • 千葉県柏市柏の葉5-1-5
  • 東京大学大学院新領域創成科学研究科物質系専攻
  • 内田健一教授研究室
  • kuchida@edu.k.u-tokyo.ac.jp