研究紹介

航空機ジェットエンジンに使われているTi合金や、新規材料として可能性を秘めた高温形状記憶合金・ハイエントロピー合金について高温での力学特性発現機構を明らかにし、新しい材料を創製していきます。鍛造や、最近注目されている3次元積層造形などのプロセスにも着目し、プロセスを駆使した組織制御とそこから優れた力学特性を最大限に引き出すことにより、耐熱材料の可能性について探求します。

御手洗・松永研究室 研究紹介

 

加工条件を変化させることにより得られる組織を評価し、組織が力学特性に与える効果を明らかにするとともに、優れた力学特性を引き出すための加工方法を確立する。

御手洗・松永研究室 研究紹介

 

加工後に導入される歪み量を調べることにより(左)、その後の熱処理により形成する組織制御に繋げる。形成する組織により、同じ合金でもクリープ寿命が大きく異なる(右)。

御手洗・松永研究室 研究紹介

 

(左)形状記憶合金に生成するマルテンサイト双晶組織。高温強度向上と組織制御により高温で完全回復する形状記憶合金を創製する。(右)赤外線カメラによって観察した応力振幅を受ける試験片内の散逸エネルギーの分布。疲労特性の迅速評価等に利用する。

御手洗・松永研究室 研究紹介

 

クリープ試験は、材料の寿命を測定する手法で、対象となる材料の使用温度、応力におけるクリープ特性(破断までの時間やひずみの時間依存性)を取得します。当研究室では、航空機用エンジンに用いられる金属材料、特にチタン合金のクリープ特性を取得しています。さらに、クリープ特性に対する加工および熱処理温度などのプロセス依存性を明らかにすることで、耐熱チタン合金の合金設計指針の構築に活用しています。

メッセージ

材料工学は全ての工学を下支えする、縁の下の力持ちのような存在です。新しい材料を作り出すことは、宇宙まで広がる無限の可能性を秘めています。

私(御手洗)は、ガンダムを作りたかったので機械工学を勉強したかったのですが、望みが叶わず材料研究の道に進みました。しかし、これまで航空機エンジンに関わる材料を研究してきて、材料を通じていろいろな分野、人と関わることができると感じますし、良い影響を受けられる出会いがたくさんあります。松永さんはJAXAにも居られ、そこで航空・宇宙で使われる材料に興味を持ち、現在でも金属材料の研究を通して航空・宇宙に貢献しています。実は、松永さんは元々隣の研究室でしたが、コーヒーを飲みながらチタンの話に花が咲き、一緒にやろうか?ということに(笑)。研究テーマにも流行があり、今まで私がやってきたテーマは、どちらかといえばマイナーでした。けれど、自分が面白いと思ったことを、人からどう思われようとやってきたところがあります。そして、ずっと続けていると「この分野は御手洗さんだね」と言われるようになる。研究に対しての頑固さを持つこと、そして好きだから続けられたのだと思う。楽しいと思えることを深堀していくことで、世界を目指せたら素敵ですよね。

物質系専攻を志す学生へ

耐熱材料は航空機ジェットエンジンや発電などに使われており、産業を支えるキーテクノロジーの1つです。本研究室では、高温における力学特性や環境に対する耐性の理解を深め、機構を明らかにすることにより、新しい材料の設計指針を考えます。皆さんのアイデアを駆使して新しい材料の開発をしてみませんか。

プロフィール

御手洗 容子 教授

御手洗 容子 教授

1989年 東京工業大学工学部金属工学科卒業

1991年 東京工業大学大学院理工学研究科博士前期課程金属工学専攻修了

1994年 東京工業大学大学院理工学研究科博士後期課程金属工学専攻修了

1994年 日本学術振興会特別研究員(PD)

1995年 金属材料技術研究所 技官

1999年 同 主任研究官

2001年 独立行政法人物質・材料研究機構(金属材料技術研究所独法化)主任研究員

2003年 同 主幹研究員

2006年 同グループリーダー

2016年 同構造材料研究拠点 副拠点長

2020年 東京大学大学院新領域創成科学研究科物質系専攻教授

松永 哲也 講師

松永 哲也 講師

2005年 東京都立科学技術大学工学部卒

2007年 東京大学大学院工学系研究科修士課程修了

2010年 総合研究大学院大学物理科学研究科博士後期課程修了

2010年 独立行政法人宇宙航空研究開発機構プロジェクト研究員

2011年 東北大学金属材料研究所助教

2014年 物質・材料研究機構研究員

2016年 オハイオ州立大学客員研究員

2017年 物質・材料研究機構主任研究員

2020年 東京大学大学院新領域創成科学研究科物質系専攻講師

学生の声

柳尾 航/石田 雄士

柳尾 航 さん(左)
石田 雄士 さん(右)

御手洗先生・松永先生ともに親しみやすく、研究についての相談からちょっとした世間話まで気軽にできます。自分の場合は学部4年で何をするのかもわからないところから、研究・論文作成・発表まで丁寧に指導していただきました。

研究室全体としては1年目の研究室であるので、研究設備がどんどん整っていく様子が実際に見られる所が面白いです。研究室には自由な雰囲気があり、自分のやりたいようにのびのびと研究できます。


物質系専攻を志す学生へ

柏キャンパスはつくばエクスプレス沿線の柏の葉キャンパス駅からシャトルバスで通うことができ、当初思っていたよりも便利に通学することが出来ています。駅前に商業施設、キャンパス近くに飲食店やスーパーなどもあり、街として快適に過ごせます。

研究室訪問

  • 04-7136-3783(御手洗
  • 04-7136-3815(松永) 
  • 277-8561
  • 千葉県柏市柏の葉5-1-5
  • 東京大学大学院新領域創成科学研究科物質系専攻
  • 御手洗容子教授・松永哲也講師研究室
  • mitarai.yoko@edu.k.u-tokyo.ac.jp(御手洗)
  • matsunaga@edu.k.u-tokyo.ac.jp(松永)