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展開式膜構造を持つ新しい大気圏突入システムの飛行実験に成功

投稿日:2012/08/15
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 新領域創成科学研究科は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と「展開型柔構造による回収システム」に関する共同研究(研究代表:鈴木宏二郎 先端エネルギー工学専攻・教授)を行っています。

 これは、耐熱布で作られた傘型の空気ブレーキを展開して、大気圏に突入する飛行体を効率良く減速させるもので、空力加熱の緩和や薄い大気中での減速が可能になることから、宇宙から地上への回収輸送機や惑星に着陸する探査機などへの応用が期待されています。

 2012年8月7日、JAXA内之浦宇宙空間観測所において、観測ロケット(S-310-41号機)を用いた飛行実証試験が行われました。

 写真は、ロケットから切り離された実験機が、高度約120kmで次第に遠ざかっていく映像です。実験機は浮き輪型フレームにガスを注入して展開する膜構造空気ブレーキ(エアロシェル)を有しているため、正面からは円盤形に見えます。機体は最高高度約150kmに達した後、落下加速を開始しました。超音速飛行を行った後、空気抵抗によって減速し、機体は分離後約20分で内之浦南東海上に落下しました。搭載したビデオカメラの映像から、エアロシェルは正常に展開され、大気圏飛行中も形状は安定し、空気ブレーキとして健全に機能したことが確認されました。飛行中に計測した様々なデータは正常に受信されており、今後、詳細な解析が実施されます。

 

観測ロケット実験(S310-41号機)に関するJAXAホームページ:
http://www.isas.jaxa.jp/j/topics/topics/2012/0807_s310-41.shtml
 

キャプション「ロケットから分離射出され、次第に遠ざかる実験機
      (JAXAホームページより)」