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吉田 善章 よしだ ぜんしょう/教授/基盤科学研究系
先端エネルギー工学専攻/プラズマ理工学講座/プラズマ物理学,非線形科学,核融合
http://www.ppl.k.u-tokyo.ac.jp/

略歴
1980年3月東京大学工学部原子力工学科卒業,
1982年10月ニューヨーク大学クーラン数理科学研究所留学,
1985年3月東京大学大学院工学系研究科博士課程修了(工学博士),
1985年6月東京大学大学工学部専任講師,
1986年4月同助教授,
1998年4月東京大学大学院新領域創成科学研究科助教授,
1999年4月より現職
教育活動
大学院:非線形科学,プラズマ基礎論
工学部システム創成学科:量子エネルギー工学,エネルギー変換工学
International Center for Theoretical Physics: Physics of Collective Phenomena (College on Plasma Physics)
研究活動
 プラズマは,未知の現象の宝庫です.
太陽で起こるカタストロフィーともいうべき激しい爆発現象(フレアー),
それに呼応するオーロラ,さまざまな揺らぎが示す周期的と非周期的の中間ともいえるような複雑性(カオス),
銀河の美しい渦巻き模様の形成などがプラズマ物理のテーマです.
これらはいずれも線形理論ではあつかえない《非線形現象》です.
また,分割された要素の理想化された運動に還元することができない《集団現象》という特徴をもちます.
私たちは,理論と実験の両面から,プラズマの未知の特性を研究しています.
 私たちが,プラズマの多様な構造を,まず自然から学ぼうとしているのは,
究極のエネルギーをもたらす核融合プラズマや,
物質の根源に対岸から光をあてようとする反物質プラズマを私たちの手で作り出すヒントを求めているからです.
プラズマの混沌とした運動の中から,極めて興味深い構造が生み出されるメカニズムに注目しています.
 非線形科学の視野は,物理に限らない様々な分野に広がります.
社会学,医学など様々な分野の人たちと「多様性の起源と維持のメカニズム」
に関する学融合研究を行っています.



Figure 1: 木星磁気圏プラズマの理論モデル.高速回転流によって高い圧力を
もつ渦構造が生成されている.




Figure 2: Proto-RT実験装置において生成した磁気圏型高速回転電子プラズマ.電場の制御(図b)によってプラズマが安定化され長時間の安定閉じ込めが実現された.

Figure 2: Proto-RT実験装置において生成した磁気圏型高速回転電子プラズマ.
電場の制御(図b)によってプラズマが安定化され長時間の安定閉じ込めが実現された.

[文献]
1) 吉田善章,集団現象の数理(岩波書店, 1995).
2) 吉田善章,非線形科学入門(岩波書店, 1998).
3) 吉田善章,新版・応用のための関数解析 −その考え方と技法(サイエンス社,2006).
4) Z. Yoshida and Y. Giga, Remarks on spectra of operator rot, Math. Z. 204 (1990), 235-245.
5) Z. Yoshida et al., Anomalous resistance Induced by chaos of electron motion, Phys. Rev. Lett. 81 (1998), 245-246.
6) S.M. Mahajan and Z. Yoshida, Double curl Beltrami flow - diamagnetic structures, Phys. Rev. Lett. 81 (1998), 4863-4866.
7) Z. Yoshida and S.M. Mahajan, Variational principles and self-organization in two-fluid plasmas, Phys. Rev. Lett. 88 (2002), 095001 1-4.
その他
日本物理学会,プラズマ核融合学会,応用数理学会,APS各会員.
プラズマ核融合学会理事(2003〜2007),プラズマ・核融合学会誌編集委員長 (2004〜2006),日本物理学会領域2代表(2003〜2004),Plasma and Fusion Res. Editor in Chief (2006),国際高等研究所(特別委員, 2001年から2004年).
文部科学省 科学官(2004〜).
Course Director of the College of Plasma Physics, International Center for Theoretical Physics (Trieste, Italy) (1998〜).
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将来計画
 非中性/高速流プラズマの物理,カオス系の集団現象,非エルミート力学系の理論など,プラズマ物理の新領域を開拓する研究を,
実験と理論を両輪として進めています.また,分野の境界を越えた広い学術交流によって,
多様性,非線形性などのテーマについていろいろな視点から考察し,
非線形科学のアカデミズムを探求したいと考えています.
 現在は,新たに建設したRT-1実験装置によるプロジェクト研究として,
非中性プラズマを用いた超高速流プラズマに関する実験と,高速流が生み出す新しいプラズマの構造や
その安定性に関する研究を中心的に行っています.
非エルミートスペクトル理論や特異摂動理論など数学的にも新しい研究成果をあげており,
今後も高度な理論の技法を開発する研究を進める予定です.


<br>Figure 3: RT-1実験装置.真空容器内に超伝導マグネットを磁気浮上させ,<br>それがつくる双極子磁場によって,宇宙に浮かぶ天体の磁気圏と同じ構造のプラズマを生成できる.<br>

Figure 3: RT-1実験装置.真空容器内に超伝導マグネットを磁気浮上させ,
それがつくる双極子磁場によって,宇宙に浮かぶ天体の磁気圏と同じ構造のプラズマを生成できる.




<br>Figure 4: RT-1実験装置において生成された磁気圏型プラズマ.<br>

Figure 4: RT-1実験装置において生成された磁気圏型プラズマ.
教員からのメッセージ
 物理や数学は長い歴史をもつ成熟した厳密科学であり,勉強を始めたばかりの学生・若手研究者から見ると,
研究の最前線が遠く感じられるかもしれません.
また,核融合プラズマなどの巨大科学の分野では,研究に長時間と巨費を要し,
一つのアイデアを追求することも容易ではなくなっています.
私達は,このような閉塞感を打ち破り,若い研究者の創意が息づく新しい領域を創造しようと考えています.
もちろん,厳密な研究を行なうための基礎を学ぶ重要性に変わりはありませんが,
全員が最前線を走り回る研究室を目指しています.
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