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廣井 善二 ひろい ぜんじ/教授/基盤科学研究系
物質系専攻/物質科学協力講座/
http://hiroi.issp.u-tokyo.ac.jp/

略歴
1983年3月京都大学理学部化学科卒業
1987年5月京都大学大学院理学研究科博士後期課程中途退学
1987年6月京都大学化学研究所文部技官
1992年4月京都大学化学研究所助手
1995年7月京都大学化学研究所助教授
1998年12月東京大学物性研究所助教授
2004年3月東京大学物性研究所教授(現職)
教育活動
大学院:固体化学、物性化学
研究活動
  高温超伝導の発見とその後10年を越える研究の流れは、新物質の発見が如何に物性物理学に大きなインパクトを与えるかを如実に示した。その波紋は超伝導研究のみならず、強相関電子系一般における局在-非局在の概念の確立や磁性と伝導性の興味深い相関の研究へと大きな広がりを見せている。新物質探索を通して未知の物理現象を見出し、物性物理学の新しい方向を切り開くことは今後ますます重要になると考えられる。
  遷移金属酸化物は強相関電子系の宝庫である。特に小さなスピン量子数をもつ低次元系(量子スピン系)において、強いクーロン反発によって局在しているd電子がキャリア数やバンド幅の制御によって動き始める時、量子効果による劇的な現象が期待される。本研究室では、銅酸化物を中心として様々な遷移金属酸化物の構造と物性の間にみられる相関に着目しながら、強相関電子系の物質科学の面白さを研究している。特に注目しているのは3角形を基本としたスピン格子で、そこでは磁気的なフラストレーションによって長距離秩序が抑えられ、量子揺らぎが効いた新たな基底状態が期待される。最近、3次元フラストレーション格子を有するパイロクロア酸化物Cd2Re2O7において新たに超伝導転移を発見した。
主な研究テーマ:
1. 新しい量子スピン系及び強相関電子系物質の開発
2. 光キャリア注入による強相関電子系の物性制御
3. 高温超伝導体
4. 大型単結晶育成及び単結晶薄膜の作製
[文献]

その他
所属学会:日本物理学会、日本結晶学会、日本顕微鏡学会
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将来計画
  我々の研究におけるバックグラウンドは固体化学(Solid state chemistrty)です。広くとらえればMaterials Scienceでしょう。固体物理学(Solid state physics)は広く市民権を得ている学問分野ですが、固体化学が何を研究する学問かはあまり知られていないと思います。固体化学は、固相(solid state)にある物質を合成し、組成・構造を調べ、様々な物性を測定してその起源を理解することを目的とする学問です。固体物理学が物性の普遍的な原理を追究するのに対して、固体化学は物質の個性を愛する学問です。


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Figure: 


パイロクロア型遷移金属酸化物Cd2Re2O7における超伝導転移。
CdO、ReO3、Reを封管中で反応させることにより、数mm角の八面体状結晶が得られる。
その電気抵抗は高温で異常な温度変化を示し、1K近くで超伝導転移により急激に減少してゼロになる。
教員からのメッセージ
  当研究室の学生さんは自分で何らかの物質を合成し評価を行い、その課程で化学的な手法を学びます。さらに自分の試料について得た磁性や伝導性などに関する実験データを理解することを通して物理的な考え方を学びます。物質が異なればどちらの手法も異なります。固体化学者は様々な物質と出会うことで、その物質により育てられると言うことが出来ます。
  我々の研究において最も重要なのは化学的なセンスです。すべての可能性を考え実験を行い論理的に結論を導くという物理のやり方は通用しません。合成におけるパラメータの組み合わせは無限にあり、どれを選ぶかは経験と勘によります。どこかへたどり着けるかは根性次第です。でも、概して遊び半分でやったものが当たったりするものですが。問題はこのようなプロセスを楽しんでやれるかどうかです。もちろん物理的な考え方や知識は大いに役立ちます。作った試料が面白いかどうかの判断はある程度の物理の知識を必要とします。真に物質を理解するためには化学と物理のバランスよい理解が大きな力となります。
  当研究室は、以上のような我々の研究スタンスを理解し、共にがんばってみたいと思われる方を歓迎いたします。
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