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宮本 有正 みやもと ゆうせい/教授/生命科学研究系
先端生命科学専攻/構造生命科学講座/細胞応答化学分野

略歴
1982年7月 東京大学大学院薬学系研究科博士課程中退、1982年8月 東京大学薬学部文部教官、1984年9月 東京大学薬学部助手、1985年5月 ジョージア州立医科大学博士研究員、1989年4月 ジョージア州立医科大学助教授、1994年7月 カリフォルニア大学客員助教授、1997年4月 東京大学大学院農学生命科学研究科助教授、1999年4月 東京大学大学院新領域創成科学研究科先端生命科学専攻教授(現職)
教育活動
大学院新領域創成科学研究科:細胞応答化学、生命科学英語特論、生命科学英語演習
農学部:実験演習
研究活動
世界には万病に効くと言われる「奇跡の水」と称されるうそ臭い天然水が幾つかある。これらの天然水には還元力があり、体の中の余分な活性酸素を除去できると言われ出している。体の中の余分な活性酸素を除去できても万病に効くことはないまでも、その還元力の原因は何なのだろうか?実際にこれら奇跡の水のミネラル成分を分析しても、通常測定されるNa、K、Mg、Ca等は普通の天然水と変わらない。そこで、遷移金属約50種程の成分分析を行ってみた。奇跡の水と言われる天然水には、所謂有機化学で還元触媒として使われる金属が含まれていた。それら金属のナノコロイドを作成し活性酸素種の分解を観察すると、確かに活性酸素の分解能が観察された。金属ナノコロイドが一電子還元的に活性酸素を触媒作用で還元しているかどうか検討中である。
 この金属ナノコロイド含有の人工還元水が、生体の活性酸素を除去できるのであろうか?等研究室で現在着目しているのが、神経変性疾患である。この疾患には、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis: ALS)等が含まれ、それぞれ脳の特異的部位での神経細胞死が病因とされる。この疾患には、病態部位での異常タンパク質の蓄積という共通の分子機構が当てはまることが多い。蓄積したタンパク質自体から、若しくは蓄積したタンパク質の細胞毒性によりミトコンドリアから活性酸素が放出されることが、神経細胞死に関与すると言われている。そこで、市販の家族性ALSの病態モデル(93番目のアミノ酸残基であるグリシンがアラニンに変異したスーパーオキサイドディスミューテースを発現させたトランスジェニックマウス)に、金属ナノコロイド水を飲料水として飲ませたところ、約16週で発現してくる筋萎縮症の発症と症状の進行の遅延が観察された。この実験結果は、金属ナノコロイドは小腸から吸収され、循環血に入り、脊髄の運動性ニューロンに到着できることを示すとともに、活性酸素を除去することで家族性ALSの改善に働くことが示唆された。しかし、最近の研究で、白金ナノコロイドは小腸から殆んど吸収されないことが分かってきている。経口投与された白金ナノコロイドは腸管内で活性酸素を消去し、血中や体内の過剰活性酸素を減少させているのではないかと考えている。
[文献]
1)神経学会総会 要旨 2003
2)日本農芸化学会年会 要旨 2003
3)Mohri, M. et al. Invest. Ophthalmol. Vis. Sci. 43: 3190-3195, 2002.
4)Shioda, R. et al. Ophthalmol. Vis. Sci. 43: 2916-2922, 2002.
5)Kanayama, A. et al. J Biol. Chem. 277: 24049-24056, 2002.
その他
所属学会:The American Society for Cell Biology、The Association for Research in Vision & Ophthalmology、日本農芸化学会(2003年年会、実行委員)、日本化学会コロイド分科会 各種委員会:広報委員、社会活動: APt Co. Ltd. (学術顧問)
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将来計画
食品成分中には抗酸化物質が数々あるが、ミネラル成分の抗酸化作用(活性酸素除去能)に着目した研究は殆どなく、現在行っている研究は、抗酸化物質の一覧表に一項目を足す作業をしている様な感がある。ミネラルの活性酸素除去が触媒作成であれば、少量で効率良く活性酸素を取り除くことが出来ると予想される。病気の90%に活性酸素が関与すると言われるが、活性酸素が病気の進行に関与していることが明確にメカニズムとして解明されている病気に、ミネラルが改善効果を示すかどうか検討していきたく考えている。
教員からのメッセージ
先日、静岡の清水町にある柿田川を訪れました。この川は富士山に降った雨水が集まって自然に湧き出して、そこから川が突然始まっているという極めて珍しい形態をなしています。この川の水が日本で一番綺麗で、鮎が産卵に来ることで有名です。この川は国土庁の管轄下にあり、使用許可が沼津市の水道局におりており、沼津市の水道に使用されているそうです。私は日本の天然水を数々飲み比べてきましたが、確かにこの富士山の湧き水には変な風味がなく、飲んだ後に甘いテーストが口の中に広がり、ミネラルが豊富であることを感じました。「あー、沼津市民は幸福だな。」と思いました。しかし、水道局の所長さんのお話では、「この湧き水をそのまま水道水とすることは法律上できませんので、次亜鉛素酸を混ぜてから水道水として使用しています。」とのことでした。法律とはそんなものなのでしょうか?結局、美味しくてしかも体に安全な水を得るには、沼津市民でも浄水器を付けて次亜鉛素酸を除かなければならないと言うことになるのでしょうか?何か残念ではないでしょうか?
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