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鈴木 穣 すずき ゆたか/准教授/生命科学研究系
メディカル情報生命専攻/システム医科学講座/ゲノム制御医科学分野

略歴
1994年 東京大学理学部化学科卒業
1999年 東京大学大学院学総合文化研究科広域科学専攻博士課程修了(学術博士)
1999年 理化学研究所ゲノムサイエンスセンター、リサーチアソシエイト
2000年東京大学医科学研究所ゲノム構造解析分野、助手
2004年4月より現職
教育活動
大学院:先端ゲノム医科学特論、システム細胞情報論、基礎メディカルゲノム演習 II、先端メディカルゲノム演習 II
研究活動
我々の研究グループでは、昨年までに完全長cDNAライブラリーを基盤として約3万種類と見積もられるヒト遺伝子の大部分をカバーする完全長cDNAコレクション創出している。また完全長cDNAの5’端配列とゲノム配列の情報の詳細な解析から、上流プロモーター領域の網羅的な同定を行い、その成果をデータベースDBTSS (http://dbtss.hgc.jp)として公開している(メディカルゲノム専攻中井研究室:http://www.hgc.ims.u-tokyo.ac.jp/%7eknakai/との共同研究)。現在、我々は、蓄積の進むトランスクリプトームのリソースとプロモーターの配列情報から、転写制御ネットワークの全体像に関する生物学的知見を引き出すべく、次に示すようなアプローチで分子生物学的、情報学的に統合的な解析を行っている。

1) プロモータークローンの収集とレポーターアッセイによるプロモーター活性の大規模測定
ある特定の細胞環境におけるプロモーター活性の全体像の解明に向けて、その細胞で発現している遺伝子のプロモーター領域の転写活性可能を大規模に測定し、その特徴を情報学的に解析している。

2) クロマチン沈降法を用いた転写因子標的遺伝子群の網羅的同定
同定されたプロモーター配列を指標に、既知あるいは機能未同定のヒト転写因子群の標的遺伝子を網羅的に同定すべく、クロマチン免疫沈降法による解析を行っている。

3) 5’SAGE法を用いたモデル生物プロモーター領域の大規模同定(医学系研究科松島研究室との共同研究)
ゲノム配列は決定されつつあるもののトランスクリプトームの情報蓄積が十分ではないモデル生物種(ラット、サル、イヌ等)について、我々のグループで開発した5’SAGE法を用いてハイスループットにプロモーターの同定を行っている。また、得られた知見から転写制御モジュールがそれぞれの遺伝子ネットワークの中でどのように進化してきたのかを明らかにすべく分子進化学的解析を行っている。

4) DBTSS上での上記分子生物学的データの統合的解析
上記1)-3)の解析により得られたデータをDBTSSに集積して横断的な解析へと発展させていくと同時に、得られた知見を広く世界に向けて情報発信するべく、情報基盤の整備を進めている。
[文献]
Ota, T. et al. Complete sequencing and characterization of 21,243 full-length human cDNAs. Nat Genet. 2004 Jan;36(1):40-5.
Suzuki, Y. et al. DBTSS, DataBase of Transcriptional Start Sites: progress report 2004. Nucleic Acids Res. 2004 Jan 1;32 Database issue:D78-81.
Suzuki, Y. and Sugano, S. Construction of a full-length enriched and a 5'-end enriched cDNA library using the oligo-capping method. Methods Mol Biol. 2003;221:73-91.
鈴木 穣・菅野 純夫、「完全長cDNAライブラリーの作製」実験医学増刊号「新遺伝子工学ハンドブック」295-302 (2003).
鈴木 穣、菅野 純夫、「ゲノム規模でのmRNA転写開始点の同定とプロモーター領域の解析」蛋白質核酸酵素増刊「ゲノムサイエンスの新たなる挑戦」46, 2357-2364 (2001).
鈴木 穣、「ヒトのトランスクリプトーム〜選択的スプライシングとnon-protein-coding RNA (ncRNA)」ゲノム医学3, 647-654 (2003)
その他
 主な所属学会は,日本分子生物学会
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将来計画
ヒトの細胞は数万種類の遺伝子の部品から構成される複雑な分子機械である。システムレベルでの生命現象の理解には、それぞれの遺伝子がどのように機能し、その機能が総体として細胞にまとまっていくのかといった基礎的な構築原理に関する知見が不可欠である。分子生物学的手法を用いた実験的解析の側面から、またバイオインフォマティックス的手法による計算機解析の側面の両方から、ヒトの細胞の中でおこっている転写性制御ネットワークの網羅的な解明に向けて研究に取り組んでいきたい。
教員からのメッセージ
学部時代の恩師の言葉ですが、「大学院生活とはエレベーターにのっているようなもの」だそうです。閉じ込められた空間で、乗っているうちは実感が掴めません。けれど、時折扉が開いた時に見える景色の変化から、自らの上ってきた距離に気づかされます。長い大学院生活、色々な人が乗ってきては降りていくと思いますが、最上階にはすばらしい眺望が待っていると思います。頑張ってください。
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