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佐々木 裕次 ささき ゆうじ/教授/基盤科学研究系
物質系専攻/多次元計測科学講座/多次元画像科学分野/新規計測手法の学融合領域への適応
http://sasakilab.k.u-tokyo.ac.jp/

略歴
1986年3月 東北大学工学部科卒業
1991年3月 東北大学大学院工学系研究科博士課程修了(工学博士)
1991年4月 (株)日立製作所 基礎研究所 福原研究G 研究員
1997年12月 財団法人 高輝度光科学研究センター 実験部門 副主幹研究員
1998年10月-2001年9月 科学技術振興事業団 個人研究推進事業「素課程と連携」さきがけ研究21研究員
2001年4月-2003年3月 大阪大学 蛋白質研究所 蛋白質機能評価研究部門 客員教授
2001年10月-2006年3月 科学振興事業団 戦略的基礎研究推進事業「たんぱく質の構造・機能と発現メカニズム」領域研究代表者
2005年10月-科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業「生命現象の解明と応用に資する新しい計測分析基盤技術」領域研究代表者
2008年11月より現職
教育活動
大学院:融合計測科学入門、先端ナノプローブ計測

研究活動
材料科学において培ってきた知識を基盤に、新しい計測手法の考案とそれらの実現に必要な新技術の研究開発を展開してきました。計測対象は生体系、ソフトマター系、ナノマテリアル系と非常に広領域に設定しています。現在、生体分子にFree-standing的に標識する自作無機ナノ結晶プローブを用いた時分割的な新規X線1分子追跡法及び
局部計測法の確立がほぼ終了し、この研究で新たに発見された機能発現メカニズムからヒントを得た機能性生体高分子の機能制御法に関する研究や、全く新しい計測手段の研究を今後も展開して行く予定です。私の計測方法考案のコンセプトは、「最先端分野において最重要と求められている未知なる情報を高精度に計測してみせるために新技術および新材料開発を自ら行う」というものです。

X線1分子計測の原理
X線1分子計測の原理


今までのサンプル系
今までのサンプル系


主な受賞
1) 1994年第14回日本金属学会奨励賞受賞 (屈折蛍光X線法及び蛍光X線干渉法の考案に対する賞)
2) UK Synchrotron Radiation User Meeting 2004 Best Poster Prize (バイオ系から1名の選出。イギリス放射光学会主催)
3) 第21回日本IBM科学賞(物理部門)受賞(2007年)受賞テーマ:X線1分子追跡法の考案とその融合領域への応用

[文献]
1) Y. C. Sasaki, K. Yasuda, Y. Suzuki, T. Ishibashi, I. Satoh, Y. Fujiki, S. Ishiwata:
Two-dimensional arrangement of a functional protein by cysteine-Au substrate interaction:
Enzyme activity and characterization of a protein monolayer, Biophys. J. 72, 1842-1848(1997).
2) Y. C. Sasaki, M. Ishibashi, M. Yanagihara, K. Toyota, A. Adachi, Y. Suzuki, N. Yagi:
Tracking of a Single Nanoparticle with X-ray Diffraction, Phys. Rev. E., 62, 3843-3847 (2000).
3) Y. C. Sasaki, Y. Okumura, S. Adachi, N. Yagi: Picometre-scale Dynamical X-ray Imaging of single DNA molecules:
Phys. Rev. Lett., 87, 248102-248105 (2001).
4) Y. Okumura, T. Oka, M. Kataoka, Y. Taniguchi, Y. C. Sasaki:
Picometer-Scale Dynamical Observations of Individual Membrane Proteins: the case of Bacteriorhodopsin, Phys. Rev. E, 70, 021917-1-7 (2004).
5) Y. C. Sasaki, T. Higurashi, T. Miyazaki, Y.Okumura, N. Oishi:
Observations of X-ray Radiation Pressure Force on Single Gold Nanocrystals, Applied Physics Letters, 89, 053121 (2006).
6) T.Sagawa, T.Azuma, Y. C. Sasaki: Quantification of protein-ligand bindings from structural fluctuations of single molecules,
Biochem. Biophy. Res. Commun. Vol.335, pp.770-775 (2007).
7) H. Shimizu, M. Iwamoto, F. Inoue, T. Konno, Y.C. Sasaki, S. Oiki:
Global Twisting Motion of Single Molecular KcsA Channel upon Gating, Cell 132, 67-78 (2008)

その他
日本放射光学会、日本生物物理学会、日本蛋白質科学会、日本表面科学会(放射光表面科学部会)
Biophysical Society (U.S.A)、Protein Society (U.S.A)

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将来計画
X線1分子追跡法は機能性生体分子の機能発現時における分子内部運動の実時間計測に成功しました。今後も先端的な材料科学や生命科学において要求される計測情報の取得を実現し、その過程で必要となったナノテクノロジー
やバイオテクノロジーも確立し、新規ナノシステム創製に結びつく究極的な精度及び速度を持つ計測方法を提案し続けます。特に分子内部及び局部的分子運動計測は今後も非常に重要な計測手段です。多くの研究者や開発者に利用できるユーザーフレンドリー性も考慮し、先端的な光源を積極的に利用し計測の新たなる可能性を示し続けます。
教育に関しては、真に学融合科学を実践できる研究者を是非育てたいと考えています。これからの科学は学際的、融合的な分野の重要度が増し、より大きく進展していくでしょう。私は学際的研究者の一人として、物理学、計測学、材料物性学、結晶学、生物物理学、構造生物学、生理学、分子生物学等を融合させた研究を実践しているので、
このような融合領域において、将来を担う学生に伝える価値のあるものを持っていると自負しています。あくまで物理学を基礎としますが、早い段階から物理学の考え方を基礎として、生命科学など先端科学分野の基礎知識を取得し、そしてまた物理的思考で見直すというサイクルを繰り返すことによって、学際的融合領域の学問を深く理解できるようになると考えます。
また、多くの国内外の共同研究(現在進行中)を通して、外部の優秀な研究者との共同作業や討論から、自分の未熟さを実感し、そして自分のモチベーションを自分自身で見つけ出せるような刺激的な環境を学生に提供していきたいと考えています。
教員からのメッセージ
「今」はとっても面白い時代に入ってきました。基礎科学がすぐに社会に影響を与え、学融合的な研究領域の進展が待たれています。従来の縦割り研究分野内では解決できなかった研究課題が明確化してきて、新しいアイデアが切望されています。この時代こそ、若い研究者が夢を持って研究に邁進できる時代ではないかと思います。とってもやり甲斐があると思います。
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