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高瀬 雄一 たかせ ゆういち/教授/基盤科学研究系
複雑理工学専攻/複雑系実験大講座/プラズマ物理、核融合
http://fusion.k.u-tokyo.ac.jp/

略歴
1978年3月東京大学理学部物理学科卒業
1983年8月マサチューセッツ工科大学大学院理学系研究科修了(理学博士)
1983年9月マサチューセッツ工科大学プラズマ核融合センター博士研究員
1984年3月マサチューセッツ工科大学プラズマ核融合センター研究員
1992年3月マサチューセッツ工科大学プラズマ核融合センター主任研究員
1997年7月東京大学大学院理学系研究科教授を経て1999年4月より現職
教育活動
大学院:プラズマ波動物理学、核融合実践演習、複雑理工学実験概論
理学系研究科:プラズマ物理学特論I
理学部物理学科:プラズマ物理学、流体力学、電磁気学II
その他:東京大学運動会空手部長
研究活動
当研究室では核融合を目的とした高温プラズマの実験研究を行っている。プラズマは荷電粒子(イオンと電子)の集合体であり、外部から加えた電磁場及びプラズマが自ら作り出す電磁場を介して集団的な運動をする、非線型複雑系の典型的な代表例であり、核融合のためのみならず、物理的にも興味ある研究対象である。核融合研究に課された最大の課題は、充分密度の高いプラズマを如何に安定に長時間閉じ込め、効率よく超高温(約1億度)に加熱するかである。当研究室では、1999年に新設されたTST-2球状トカマク装置(文献1)を用いて、中心ソレノイド(CS)を用いない新たなプラズマ立ち上げ法の開発(文献2-3)、高周波波動を用いた加熱・電流駆動法の開発(文献4-10)、プラズマの不安定性およびその抑制法の研究、熱・粒子輸送過程およびその制御法の研究などを行っている。次世代の核融合実験装置として、国際協力で建設が開始されたITER(国際熱核融合実験炉)に代表されるように、核融合装置の大型化が進んでいるが、球状トカマク(ST)という新概念の閉じ込め方式を使うと、小型で高性能が出せるため、経済的な核融合炉が実現可能であると期待されており、この分野の研究は世界的に急進展している。当研究室では過去の研究実績を活かし、特に高周波波動を使ったプラズマ加熱・電流駆動実験及びプラズマの性能改善実験(具体的にはプラズマ閉じ込めの改善、圧力限界の改善)や、ST型核融合炉を実現させるためには不可欠である、CSを用いないプラズマ立ち上げ法の開発に力を入れている。このほか、様々な物理過程を応用した各種高温プラズマ計測器の開発研究も行っている。
[文献]
1)Y. Takase, et al., Nucl. Fusion 41, 1543 (2001).
2)S. Shiraiwa, et al., Phys. Rev. Lett. 92, 035001 (2004).
3) M. Ushigome, et al., Nucl. Fusion 46, 207 (2006).
4) S. Shiraiwa, et al., Phys. Rev. Lett. 98, 185003 (2006).
5) A. Ejiri, et al., Nucl. Fusion 46, 709 (2006).
6) Y. Takase, et al., Nucl. Fusion 46, S598 (2006).
7) A. Ejiri, et al., Nucl. Fusion 49, 065010 (2009).
8) Y. Takase, et al., Nucl. Fusion 51, 063017 (2011).
9) Y. Takase, et al., Nucl. Fusion 53, 063006 (2013).
10) Y. Shinya, et al., Nucl. Fusion 57, 036006 (2017).
その他
所属学会:アメリカ物理学会、日本物理学会、プラズマ・核融合学会代議員。
各種委員会:炉心プラズマ共同企画委員会委員長(量子科学技術研究開発機構)、核融合科学ネットワーク委員(核融合科学研究所)、日米科学技術協力事業核融合分野研究計画委員会委員(日本学術振興会)、核融合エネルギーフォーラム調整委員会委員(量子科学技術研究開発機構)、ITER・BA技術推進委員会委員(量子科学技術研究開発機構)、ST連携部会部会長(核融合科学研究所)、QUEST実験推進会議コーディネーター(九州大学)、ST実施協定執行委員会委員長(国際エネルギー機関)。
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将来計画
新領域創成科学研究科での研究教育は、TST-2球状トカマク装置を用いた高温プラズマの集団現象の研究を中心とする。核融合プラズマ実験では、自分で装置を運転し、プラズマを制御することが極めて重要である。TST-2は学生が自ら全てをコントロールできる本格的な核融合プラズマ実験装置として、世界的にも珍しい貴重な研究教育設備である。この装置を使った実験を通して、総合的な経験を積んだ世界的リーダーとなれる研究者の育成を目指している。また世界第一線の、より大型の核融合プラズマ実験装置(核融合研のLHDヘリカル装置、米国プリンストン大学のNSTX-U球状トカマク、英国カラム研究所のMAST-U球状トカマク等)における共同実験も行っており、高温プラズマ中で起こる集団現象物理の総合的理解を目指している。また世界7極の国際協力で建設されるITERプロジェクトや、日欧の国際協力で建設中のJT-60SAトカマクプロジェクト、大学連合中心の全日本ST研究計画でもリーダーシップを発揮しており、プラズマ物理・核融合研究において、引き続き中心的な役割を担っていく予定である。
教員からのメッセージ
核融合は将来のエネルギー源として有力な候補である。日本はエネルギー資源に乏しいが、人口が多くエネルギー消費量も多いため、核融合エネルギーの実現を特に必要としている。また日本は、現在までもこの分野では世界のトップレベルの研究を行ってきている。次のステップである核融合燃焼プラズマの研究は、国家プロジェクトのスケールを超え、国際協力として展開が始まっている。当研究室では、国際協力によるプロジェクト研究を主導できる世界的なリーダーを育成することを目標としており、意欲と使命感のある学生を求めている。研究室の活動については、http://fusion.k.u-tokyo.ac.jpを参照していただきたい。



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