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大矢 禎一 おおや よしかず/教授/生命科学研究系
先端生命科学専攻/機能生命科学大講座/分子生物学
http://ps.k.u-tokyo.ac.jp/top.html

略歴
1982年 3月東京大学理学部生物学科卒業
1984年 3月東京大学大学院理学系研究科植物学専攻修士課程修了
1986年10月東京大学大学院理学系研究科植物学専攻博士課程中退
1986年10月東京大学理学部助手
1988年 3月理学博士(東京大学理学部)
1991年10月〜1993年10月米国スタンフォード大学客員研究員
1983年 5月東京大学大学院理学系研究科助教授
1999年 4月東京大学大学院新領域創成科学研究科教授
教育活動
大学院:生命応答機構学
理学部生物学科:微生物学

研究活動
 分子細胞生物学、特に真核単細胞生物である出芽酵母を対象とした分子生物学・分子遺伝学を主な研究領域とし、以下に述べるように細胞の形態形成、細胞増殖、細胞内情報伝達に関する研究を行なっている。
 1) 細胞の形態形成に関する分子機構の研究:細胞はそれぞれ特有の形態をしているが、その多様な細胞形態は厳密な分子機構によって規定ならびに維持されている。今までの数多くの研究により、細胞の形は細胞骨格の空間的配置に加えて、菌類や植物では細胞壁の合成パターンによって決定されていることが知られている。興味深いことに出芽酵母の低分子量GTPaseであるRho1pは、細胞壁の主要な構成成分である1,3-β-グルカンを合成する酵素の制御サブユニットとして働くとともに、他の二つの標的蛋白質の活性化を介してアクチン繊維の動態制御に関与していることを我々は明らかにしてきた。そこで現在はRho1pなどの形態形成に鍵を握る蛋白質に注目して、酵母細胞の形態形成の分子機構を研究している。
 また出芽酵母には既に約6,200の遺伝子が存在していることが明らかになっているが、その楕球体に近い細胞形態は突然変異によって様々な形態を示すことが知られている。そこで酵母細胞の形態形成の分子メカニズムの全貌を明らかにするために、全遺伝子破壊株の形態的特徴を網羅的にかつ定量的に記載し、比較分類する試みを行っている。そのために出芽酵母の細胞形態及び細胞内構造を細胞の写真から自動認識するイメージプロセシングプログラムを情報生命科学専攻の森下真一教授と共同で開発した。現在、出芽酵母の約5,000の非必須遺伝子単独破壊株について解析を行い、得られた情報を随時データベースで公開するとともに、その定量的情報に基づいた形態形成や細胞周期の制御機構に関する研究を行っている。
 2)シグナル伝達の立場から捉えた細胞周期調節機構の研究:ヒトの細胞を含む真核細胞の増殖は細胞周期と呼ばれる一連のプロセスを経るが、ゲノムを正しく複製し正確に分配するために細胞周期の進行をモニターする細胞周期チェックポイントと呼ばれる機構が働いている。我々は、出芽酵母の細胞壁合成欠損株の表現型を解析している過程で、細胞壁が十分に生育したことをモニターしてゲノムの分配を可能にする新しいチェックポイントが存在することを発見した。細胞壁は細胞の形と体積を規定しているので、これは十分な大きさの細胞内部空間がないとゲノムが分配されないことを意味している。現在、そのチェックポイント機構に関わる分子のシグナル伝達経路について解析している。

細胞壁チェックポイント
細胞壁チェックポイント

[文献]

1) Suzuki, M., Igarashi, R., Sekiya, M., Utsugi, T., Morishita, S., Yukawa, M., Ohya, Y. (2004) Dynactin is involved in a checkpoint to monitor cell wall synthesis in Saccharomyces cerevisiae. Nat Cell Biol. 6:861-71.

2) Ohya, Y., Sese, J., Yukawa, M., Sano, F., Nakatani, Y., Saito, TL., Saka. A., Fukuda, T., Ishihara, S., Oka, S., Suzuki, G., Watanabe, M., Hirata, A., Ohtani, M., Sawai, H., Fraysse, N., Latge, JP., Francois, JM., Aebi, M., Tanaka, S., Muramatsu, S., Araki, H., Sonoike, K., Nogami, S., Morishita, S. (2005) High-dimensional and large-scale phenotyping of yeast mutants. Proc Natl Acad Sci U S A. 2005 Dec 27;102(52):19015-20.

3) Ohnuki, S., Kanai, H., Nogami, S., Nakatani, Y., Morishita, S., Hirata, D., Ohya Y. (2007) Multiple Ca2+ regulatory pathways revealed by morphological phenotyping of calcium-sensitive mutants. Eukaryotic Cell 6:817-30.
その他

日米科学技術協力事業組換えDNA研究計画委員長、理化学研究所政策審議員、かずさDNA研究所評議員、千葉県バイオ・ライフサイエンス戦略プラン策定会議委員、千葉県バイオ・ライフサイエンス・ネットワーク会議企画運営会議委員、つくばEX沿線産業・都市づくり懇談会委員、こんぶくろ池公園環境創造会議委員、等
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将来計画
1) 細胞壁チェックポイントの研究
2) 出芽酵母のフェノーム研究
3) ケミカルゲノミクスの研究
教員からのメッセージ
 新境域創成科学研究科の理念である、「未来開拓志向と学融合」を生命科学でも実践し、旧来の学問領域の枠にこだわらない斬新な研究を行って行きたい。チャレンジ精神が旺盛な学生、3度の食事よりも実験が好きだと言う学生、ディスカッションが好きな学生に期待している。
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