spacer


湊 隆幸 みなと たかゆき/准教授/環境学研究系
国際協力学専攻/協調政策科学分野
http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/minato/

略歴
2000年4月東京大学大学院新領域創成科学研究科環境学専攻助教授(現職)、2001年4月鹿児島大学大学院理工学研究科併任講師、1997年4月アジア工科大学院社会基盤工学科専任講師(国際協力事業団長期専門家)、1995年4月東海大学海洋学部専任講師、1994年5月カリフォルニア大学バークレー校(米国)大学院修了(Ph.D.)
教育活動
大学院:開発モデル論(E)、国際政策協調学、国際協力学修士・博士ゼミナール
研究活動
 [キーワード] 事業評価、リスク、ファイナンス、情報、オプション、インセンティブ、戦略的思考
 都市基盤、環境、エネルギーなどに関する事業評価が、主たる研究テーマである。特に、事業コストを指標として、リスクマネジメントの研究を(主に企業の立場から)行う。プロジェクトは、従来の政府主導のものだけではなく、民間が資金調達や建設、運営、維持管理までも行うような方式が可能である。エンジニアリング会社や金融機関は、事業主体として、民営型プロジェクトの一旦を担う。その際、事業価値を評価するために、「商業的リスク」(例えば、建設や資機材 /エネルギー、販売/操業のコスト変動、あるいは金利/為替変動など)だけでなく、「政治的リスク」(例えば、戦争/内乱/革命、収用/国有化、制度の変更など)や「国際収支リスク」(例えば、外貨枯渇/送金停止、対外債務の履行不能など)を考慮する必要がある。
 金融理論は、意思決定理論やゲーム理論などとともに、事業リスクの評価および意思決定に広く用いられるようになっている。これらの要素技術を、リスクと関連付けて事業評価を行う場合のモデル開発や、インセンティブメカニズムの研究を行う。
  事業におけるキャッシュフローの不確実性のカバーは、重要な課題である。特に、プロジェクトファイナンスについて、金融技術を援用したリスク評価の研究を行う。個別のプロジェクトでは、事業の頓挫の可能性や環境対策などの効果など、個別の要件を考慮することが必要となる(文献1)。また、PFIのような民活型プロジェクトにおけるリアルオプションの適用は、効果的な手段となる(文献2、3)。一方、リスク管理では、投融資に関する資産価値算定だけでなく、格付けなども関連する。このような、情報、インセンティブ、行動、モニタリングを含む意思決定モデルの研究も興味の対象となる(文献4)。
 最近の研究のもう一つは、「技術の政治性」に関するものである。これは、インフラなどの人工物を、従来の機能性や経済性とは異なる視点で評価する試みである。ここでは、人工物を人々の行動や選択を秩序化するような媒介として捉え、その影響を副次的な観点から分析する(文献5)。

[文献] 注:指導学生の修士・博士論文
1) 村内佳子 「デフォルトを考慮した環境型プロジェクトの評価モデル構築」  2006年(博士論文)

2) 中浜俊介 「リアルオプション理論を用いたBOT事業の収入スキーム表とその応用」 2002年(修士論文)
3) Santi,C.”Value of Irreversibility in Private Finance Initiative: Evaluating it by Real Options Approach," 2004年(博士論文)

4) 三好眞 「株価形成にかかわる情報の非対称性を用いたモニタリング」  2005年(博士論文)

5)Pitch,S.”Examining the Secondary Effects of Technological Politics in Infrastructure Development," 2006年(博士論文).

その他
所属学会:日本リアルオプション学会(評議員)、科学技術社会論学会、NPO(理事)
各種委員会など:土木学会委員会委員(長)、国土交通省委員会委員(長)、総合研究開発機構(NIRA)委員会委員、社会技術システム非常勤研究員など多数。
spacer
将来計画
 「協力」は、政府であろうと民間であろうと、個々の目的を持つ主体がお互いの目的を達成するために協同することである。その一つには、政府が「国益」を追求することを目的として行うような国際協力がある。一方では、また、民間企業が途上国政府との契約によって当該国のインフラを構築するような活動も国際協力である。
 企業が国際協力の主体として活動するアプローチを、社会が持続するためのトリプルボトムラインと呼ばれるような要素を考慮しながらモデル構築することに興味がある。民間の協力は、国連が提唱するグローバルコンパクト、あるいは企業の社会的責任(CSR)という観点からも、新しい研究や教育の展開が期待できる。
教員からのメッセージ

 デコンストラクション(deconstruction)と言う言葉があります。これは、今まで当たり前と思っていたことを従来とは異なる視点で捉えなおすことにより、新しい意思決定ルールや実施モデルを構築することを意味します。新領域への入学を目指す皆さんは、既成概念に従うのではなく、勇気を持って新しいことにチャレンジする精神を持ってください。

 これからは、「○○大卒」と言うようなことではなく、個々の資質がますます重要視される時代になると思います。まず、自分が興味を持つことに真っ直ぐ向かうためにも、大学院では、指導教官を慎重に選ぶことは、とても重要だと思います。そして、貴重な学究生活を、有意義に過ごし、何事においても後悔しないよう祈ります。

top