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河野 重行 かわの しげゆき/教授/生命科学研究系
先端生命科学専攻/機能生命科学講座/植物生存システム分野
http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/pls/index.html

略歴
1977年3月岡山大学大学院理学研究科生物学専攻修士課程修了、1977年4月岡山大学医学部付属癌研究所、1978年4月岡崎国立共同研究機構基礎生物学研究所技術課、1983年4月岡崎国立共同研究機構基礎生物学研究所助手、1988年1月東京大学理学部助手、1991年7月東京大学理学部助教授を経て1998年4月より現職。
教育活動
大学院:真核生命生存科学、地球生命科学論、先端生命科学演習、先端生命科学特別研究I、先端生命科学特別演習、先端生命科学特別研究II
* 学部:発生生物学II、生物科学実習I〜IV
研究活動
 生命が誕生して40億年、限られた時間で何を研究すべきか、極めて難しい問題です。私たちは、性の起源と進化、そこから派生する細胞の死について研究しています。生殖サイクルに組み込まれた性が、いかにして雌雄や生殖細胞の差異を生み出し、多様な生存戦略を可能にしたかを、細菌やオルガネラから高等植物までの各段階で解析し、性の起源とその存在意義を分子と細胞の言葉で明らかにしようと考えています。
 主な研究テーマは3つあります。1)利己的DNAに支配される始原的な性:性の起源は宿主に融合能と組換え能を賦与する利己的DNAにあると考えられています。真正粘菌のミトコンドリアで見つかったmFプラスミドを手がかりに、原始的な性の起源とその役割を明らかにしようと考えています(文献1-3)。2)高等植物のY染色体と性決定遺伝子の探索:動物と植物は性に関して全く異なる戦略を採用しています。移動性に乏しい植物は、配偶者に遭遇できない危険性を避け、その多くが雌雄同株の両性花です。一方では、ヒロハノマンテマのように雌雄異株で、性染色体をもつ、性に関して積極的な植物がいます。こうした植物のY染色体は、進化的に見て極めて新しいものです。その起源を探ることによって、性決定に性染色体が用いられる意味を明らかにできると考えています(文献4,5)。こうした性の起源とその存在理由に関する諸問題に加え,3)オルガネラの分裂・増殖に関わる原核生物由来の分裂遺伝子の探索と解析を行うことで、真核生物そのものの起源を明らかにしようと考えております(文献6)。
[文献]
1) 河野重行:ミトコンドリアの謎.pp1-254, 講談社現代新書(1999)
2) Kawano, S., et al.: Sexuality of mitochondria: Fusion, recombination and plasmids. Int. Rev. Cytol. 161, 49-110 (1995).
3) Moriyama, Y. and Kawano, S.: Rapid, selective digestion of mitochondrial DNA in accordance with the matA Hierarchy of multiallelic mating-types in the mitochondrial inheritance of Physarum polycephalum. Genetics,164,963-975(2003)
4)Matsunaga, S. and Kawano, S.: Sex determination by sex chromosomes in dioecious plants. Plant Biology 3, 481-488 (2001)
5) Uchida,W.,et al.:Distribution of internal telomere-like repeats and their adjacent sequences in a dioecious plant, Silene latifolia. Chromosoma, 111, 313-320 (2002)
6)Yamamoto,M.,et al.: The relationship between presence of a mother cell wall and speciation the unicellular micro alga Nannochloris. J. Phycol. 39, 172-184 (2003)
その他
植物学会、植物形態学会、植物生理学会、遺伝学会、分子生物学会の会員として活躍、植物学会専務理事、植物形態学会会長、遺伝学会編集委員、Cytologia編集委員、Physarum NewsLetter副編集長などを歴任、日本学術会議委員で、日本メンデル協会の常務理事でもあります。また、植物オルガネラワークショップ、Jmitシンポジウム、植物形態学関連のさまざまなシンポジウムなどを主催するとともに、国際的にはPhysarum Meetingの共催なども手掛けております。
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将来計画
危機に瀕した21世紀の地球を救うためには、最先端の生命科学を駆使できることはもとより、生命と地球に関する確固たる哲学が必要となります。私たちは、分子細胞学を中心に生物の性と生存戦略を進化的視点で解析し、生物がこの地球上に存在することの意義を明らかにしていきたいと考えております。
 地球は人類と他の生命体との共存系であり、人間社会の安寧ばかりではなく全生命体の繁栄に資することが、21世紀の生命科学の最も大きな課題となるでしょう。人類はもとより地球上の全生命が直面する諸問題を、社会との関わりのなかで認識し、生命科学を武器にそれらの諸問題の解決にあたろうという意欲あふれる研究者を育成したいと思っています。
教員からのメッセージ
簡単なことを、難しく、ややこしく書いてしまったように思います。興味のあるかたは、私たちのホームページを是非ご覧下さい。
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