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小島 茂明 こじま しげあき/教授/環境科学研究系
自然環境学専攻/地球海洋環境学分野/海洋生物の進化生態と海洋環境変動
http://www.ecosystem.aori.u-tokyo.ac.jp/benthos/kojima1.htm

略歴
1985年3月東京大学理学部生物学科卒業
1990年3月東京大学大学院理学系研究科博士課程修了(理学博士)
1990年8月筑波大学生物科学系研究員
1992年2月東京大学海洋研究所助手
1998年6月東京大学海洋研究所助教授
2007年4月東京大学海洋研究所准教授
2008年3月東京大学海洋研究所教授
2010年4月東京大学大気海洋研究所教授を経て2011年7月より現職
教育活動
大学院:深海科学概論、深海環境科学
理学部生物科学科:海洋生物学
京都大学農学部:深海生物学概論
千葉大学理学部:動物系統学
研究活動
1.深海化学合成生物群集の進化生態と保全 
 最近、深海底に埋蔵されている熱水鉱床やメタンハイドレートなどが将来の金属・エネルギー資源として注目されています。一方で、資源開発が見込まれる場所の近傍には、他の場所には見られない種から構成される化学合成生物群集が分布しており、開発と生態系保全の両立が求められています。私達は潜水調査船などによる生物相調査や分子系統学的解析を通じて、この問題に取り組んでいます。
2.日本沿岸における底生生物の集団構造
 日本沿岸に生息する代表的な底生生物種の集団構造をミトコンドリアDNAの塩基配列等により解析し、過去の海洋環境変動の影響を解析しています。また温暖化による分布域の拡大や集団構造の変化、国内外からの移入による在来集団の遺伝的かく乱について調査しています。
3.日本海の深海生物群集の成立過程
 過去に大規模な環境変動が起きた事が知られている日本海に生息する深海底魚類について、集団の遺伝的特性を近隣海域の集団と比較し、日本海における海洋環境の悪化が生物群集にもたらした影響およびその回復過程を明らかにすることを目的に研究を進めています。種による集団構造の違いの原因を明らかにするため、耳石の元素分析などにより初期生活史の比較をおこなっています。
4.海溝域の底生生物群集の時空間変動
 千島海溝、日本海溝および琉球海溝の小型底生生物群集の海域、水深、季節などによる群集組成の変化を解折し、群集形成機構の解明を目指して、研究をおこなっています。東関東大震災による三陸沖の深海生物群集の変化とその後の回復過程を調査しています。
[文献]
1)渡部裕美, 小島茂明: 熱水噴出域固有動物群の分散と種分化, 海洋生命系のダイナミクスシリーズ第1巻「海洋の生命史−生命は海洋でどう進化したか」, 西田睦(編), 東海大学出版会, pp.244-260 (2009年)
2) 小島茂明, 渡部裕美, 藤倉克則: 化学合成生物群集の進化生態に基づく熱水活動史の推定. 地学雑誌 118巻, pp.1174-1185(2009年)
3) 渡部裕美, 小島茂明: DNAからみる熱水噴出域と湧水域の生物群集のつながり.遺伝 64巻, pp.60-64 (2010年)
4) 小島茂明: 日本沿岸における底生動物の分散と遺伝的分化.海洋生命系のダイナミクスシリーズ第5巻「海と生命」,塚本勝巳(編), 東海大学出版会, pp.141-154 (2009年)
5) 小島茂明, 足立健郎, 児玉安見: 日本海における深海生物相形成と海洋環境変動 −深海性底魚を例として−, 化石, 82巻, pp.67-71(2007年)
その他
日本ベントス学会事務局庶務幹事、英文誌編集委員
日本海洋学会編集委員
日本貝類学会英文誌編集委員
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将来計画
深海熱水鉱床開発に伴う環境影響評価手法を確立し、開発と保全の両立を実現する。沿岸生物集団の遺伝子情報を基に地球温暖化や外来種の移入などの人間活動の影響を評価する。合わせて東日本大震災にともなう巨大津波による遺伝的多様性の変化と回復過程を明らかにする。最終氷期による日本海の深海生物群集の崩壊と氷期後の再生過程を解明し、将来の海洋環境変動の影響予測に役立てる。次世代シークエンサーを利用したメタゲノム解析手法の導入により、包括的な深海底生態系の動態研究を展開する。
教員からのメッセージ
研究者を目指す人に。修士号や博士号をとることはゴールでなく、最初の中継点だと思います。時には肩の力を抜いて、長い視野で将来のことを考えてみるのもよいのではないかと思います。研究者以外の職業に就く人に。大学院で一定期間、専門分野を掘り下げてオリジナルな研究をおこなった経験は、たとえ関係なさそうな職種に就いたとしても、決して無駄にはならないと思います。一生の中で、最も科学と身近に接する事のできる時間を大切にしてほしいと思います。
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