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白木原 國雄  しらきはら くにお/教授/環境学研究系
自然環境学専攻/自然環境学大講座/海洋生物の個体群動態 
http://cod.ori.u-tokyo.ac.jp/~shirak/

略歴
1975年3月東京大学農学部水産学科卒業
1980年3月東京大学大学院農学系研究科水産学専攻博士課程修了(農学博士)
1981年8月水産大学校助手
1987年6月長崎大学水産学部助教授
1995年5月三重大学生物資源学部教授
2001年4月東京大学海洋研究所教授を経て2006年4月より現職
教育活動
大学院:海洋環境総論,海洋環境総合実習、海洋環境学演習、自然環境学演習、自然環境学研究
農学生命科学研究科:水産資源管理学,水圏生物生態解析法,海洋資源解析学演習
農学部:生物海洋学
京都大学農学研究科:応用生物科学特別講義
研究活動
 海洋生物を資源として持続的に利用するための資源管理方法に関する研究、資源変動の推定や漁獲が資源に与える影響評価に関する研究、沿岸性鯨類の保全生態学的研究を行っている。
(1)資源管理に関する研究
  資源変動のメカニズムを解明し、それを踏まえた管理が行うことが理想的であるが、実際には不確実な情報を用いて管理が行われている。当面の問題の解決のために、メカニズム解明よりも資源について観察された事実を重視し、観察結果を踏まえて順応的に管理措 置を変更する方法に関する研究を続けている。観察された資源量変動に応じて禁漁区面積を変更する資源管理方法を提案した(文献1)。 
(2)資源評価に関する研究
  資源変動を規定するパラメータの推定手法の開発、実際の資源の資源評価に関する研究を行っている。標識再捕調査データを用いた魚類の海域間移動率の推定手法を開発した(文献2)。アフリカ・タンガニイカ湖のニシン科魚類の分布と季節移動を明らかにした(文献3)。
(3)沿岸性鯨類の保全生態学的研究
  沿岸海域に生息する鯨類は人間の生産活動の影響を受けやすく、個体数の減少や分布の分断化が危惧されている。スナメリとナミハンドウイルカを対象にして、個体群の現状を把握するとともに、保全のための方策について検討している。スナメリの主分布域である瀬戸内海では、東部での個体密度が極端に低く、分布の分断化が生じている可能性を指摘 した(文献4)。天草沿岸域に出現するミナミハンドウイルカは周年定住型であり、その個体数は220頭程度でしかないことを明らかにした(文献5)。  


[文献]
1) Kai, M. and Shirakihara, K. : A feedback management procedure based on controlling the size of marine protected areas. Fisheries Science, 71, 56-62(2005).
2) Shirakihara, K. and Kitada, S. Estimating migration rates from two tag-release/one recovery experiments. ICES Journal of Marine Science, 61, 821-828 (2004).
3) Phiri, H. and Shirakihara, K.: Distribution and seasonal movement of pelagic fishes in southern lake Tanganyika. Fisheries Research, 41, 63-71 (1999).
4) Shirakihara, K., Shirakihara, M. and Yamamoto, Y.: Distribution and abundance of finless porpoise in the Inland Sea of Japan. Marine Biology, 150, 102,5-1032 (2007).
5) Shirakihara,M., Shirakihara,K., Tomonaga, J. and Takatsuki, M.: A resident population of Indo-Pacific bottlenose dolphins (Tursiops aduncus) in Amakusa,
western Kyushu, Japan. Marine Mammal Science, 18, 30-41 (2002).

その他
所属学会:日本水産学会(編集委員,関東支部評議員)、水産海洋学会(常任幹事)、日本魚類学会、 日本生態学会、個体群生態学会, The society for marine mammalogy等。
社会活動:農林水産省独立行政法人評価委員会委員等。
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将来計画
海洋資源の収奪型利用や不要物・人為物質の投棄・流入などの人間活動により、海がおかしくなっています。海が人間に与えてくれるサービスを正当に評価し、自然調和型利用に転換する必要があります。生物多様性保全を意識した海洋生物資源の管理、海洋生物の生息場所や人為的要因によるその劣化の評価や保全方策提示に焦点をあて、また海と陸の自然環境の相互関係を考慮しつつ、ひきつづき海洋生物の個体群動態についての研究を進めていきたいと考えています。
教員からのメッセージ
自分の眼で自然環境を見て、自分なりに自然環境と人間の関係のありかたについて考えるとともに、他人の異なる見方や意見に先入観を持たずに耳を傾ける。これは当たり前のことのようですが,実行は容易ではありません。自分の行っている研究についても、既往研 究との関係を客観的に認識しつつ,研究内容を深めてもらいたいと思います。

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