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岡本 光司 おかもと こうじ/准教授/基盤科学研究系
先端エネルギー工学専攻/エネルギー変換システム講座/宇宙システム科学分野
http://www.thermo.t.u-tokyo.ac.jp/

略歴
1997年3月東京大学工学部航空宇宙工学科卒業
2002年3月東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻博士課程修了(博士(工学))
2002年4月東京大学大学院工学系研究科リサーチフェロー
2003年3月DGAポスドク研究員(フランス国立航空宇宙研究所勤務)
2004年6月東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻助手(助教)
2009年7月より現職
教育活動
大学院:宇宙エネルギー輸送特論,宇宙エネルギーシステム論
工学系研究科:
工学部共通科目:
研究活動
航空宇宙工学分野における推進システム及び熱流体関連技術について幅広く研究を行っている。

1)超小型流体デバイスに関する研究:
 超小型ガスタービンは,太陽電池やバッテリ,燃料電池に比べてパワー密度及びエネルギー密度が高いという特徴があることから,小型軽量性が求められる用途において有用であると期待されている.超小型ガスタービンを実現するためには,各コンポーネントの小型化において,いかに性能及び効率の低下を防ぐかが重要である.そこで,当研究室ではウェーブロータやテスラタービン,層流摩擦ポンプといった,従来の翼列機械とは全く異なる原理で作動する流体圧縮/膨張デバイスの研究を行っている.これらは,従来の翼列機械のような翼表面の圧力差ではなく,衝撃波の非定常伝播や円盤表面に生じる流体の粘性力によって流体を圧縮/膨張させるのが特徴であり,特に小型化した際の性能低下が抑えられると期待されている.またウェーブロータは,現在広く利用されているガスタービンやジェットエンジンと組み合わせることによって効率を改善できるとも期待されており,その実用化に向けて研究を進めている.

ウェーブロータ(左),テスラタービン(右)


2)流体騒音に関する研究:
 航空機用エンジンにおける騒音規制の強化が実施されつつある今日において,噴流から発生する音響現象に対する理解を深め,騒音低減の方法を模索することは重要な課題である.さらにロケットの打ち上げ場においても,エンジン排気と火炎偏向板の干渉によって生じる騒音がペイロードに悪影響を及ぼす可能性が指摘されており,これを低減することが重要な課題のひとつとなっている.そこで本研究室では,柏キャンパスの極超音速高エンタルピー風洞を用いて,超音速噴流が斜め平板に衝突した際に生じる音響現象を理解することを目的とした実験を実施しており,その音響発生メカニズムの解明に取り組んでいる.またそれに付随して,マイクロフォンによる音響計測とシュリーレン法をはじめとする光学計測を組み合わせることによって,流れ場と音響現象を総合的に理解できるような手法の構築し,様々な流体騒音現象の解明に役立たせることを目指している.

超音速噴流が斜め平板の衝突する様子


3)熱交換器搭載型ターボファンエンジンに関する研究:
 これまでターボファンエンジンの高効率化は,主にバイパス比の増大とタービン入口温度の上昇,各要素効率の改善によって達成されてきたが,これらのアプローチによる効率改善は限界に近づきつつある.そこで近年取り組まれている方向性のひとつに,熱交換器搭載による熱効率の改善が挙げられる.近年,製造技術の向上に伴い,小型軽量な熱交換器の製造が可能になりつつあるが,具体的にどのような熱交換器を搭載するとエンジン全体の性能向上が得られるかを予想することは困難である.これは,熱交換器搭載によって最適な熱サイクルが変化する上,重量増加の影響も同時に評価する必要があるためである.そこで本研究室では,中間冷却用熱交換器搭載を対象に,エンジン重量評価モデルを熱サイクル解析プログラムに組み込んだコードを開発,これに遺伝アルゴリズムやPODを組み合わせることによって,様々なエンジンクラスに対して最適なエンジンサイクルとそれに搭載する熱交換器性能がどのようになるかを議論している.

中間冷却熱交換器搭載型ターボファンエンジン

[文献]
1)Okamoto, K., and Araki, M., “Shock Wave Observation in Narrow Tubes for a Parametric Study on Micro Wave Rotor Design,” Journal of Thermal Science, Vol. 17, No. 2, pp134-140, 2008.
2)Okamoto, K., and Nagashima, T., “Visualization of Wave Rotor Inner Flow Dynamics,” Journal of Propulsion and Power, Vol.23, No.2, March-April, pp. 292-300, 2007.
3)Okamoto, K., and Nagashima, T., “Simple Numerical Modelling for Gasdynamic Design of Wave Rotors,” Journal of Propulsion and Power, Vol.23, No.1, January-February, pp. 99-107, 2007.
4)Nagashima T., Okamoto K., Ribaud Y., “Cycles and Thermal System Integration Issues of Ultra-Micro Gas Turbines,” RTO-AVT-VKI Lecture Series 2005 “MICRO GAS TURBINES”, 14-18 Mar. 2005.
その他
日本航空宇宙学会会員,アメリカ航空宇宙学会会員
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将来計画
航空宇宙工学における推進/エネルギーデバイス分野において,革新的なアイデアを導入することによって,新たな可能性を切り開くことを目指しています.現在行っている研究に加えて,宇宙での熱制御及び熱エネルギーの利用に力を入れていきたいと考えています.こうした研究において,極超音速高エンタルピー風洞をはじめとする様々な実験設備を活かしつつ,実験と数値解析の両面からバランス良く取り組むことを基本姿勢としています.
教員からのメッセージ
研究に取り組むというということは,単に知識を習得するだけでなく,得た知識をどうやって目の前の問題の解決に活かすのかを考えることです.答えの分からない問題に取り組むことによって,皆さんの創造力を大いに磨いてもらいたいと考えています.
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