spacer


浅井 潔 あさい きよし/教授/生命科学研究系
メディカル情報生命専攻/生命情報科学群/ゲノム情報解析分野
http://asailab.cb.k.u-tokyo.ac.jp/

略歴
1983年3月 東京大学工学部計数工学科卒業
1985年3月 東京大学大学院工学系研究科計数工学専門課程修了
1985年4月〜2001年3月 工業技術院電子技術総合研究所
2000年5月〜2006年3月 奈良先端科学技術大学院大学客員教授
2001年4月〜2003年3月 産業技術総合研究所生命情報科学研究センター副研究センター長
2003年4月〜現在 東京大学大学院新領域創成科学研究科教授(現職) 
2007年4月〜2013年3月 産業技術総合研究所生命情報工学研究センター長(兼務)
教育活動
理学部生物情報科学科:ゲノム配列解析論(大学院新領域:ゲノム配列解析論T、U)
理学部生物情報科学科:情報基礎実験(演習)
教養学部4学期科目:生物情報学基礎論T
全学体験ゼミナール:考える力を養う/コントラクトブリッジ
研究活動
確率的な枠組みを中心とした数理的な理論とその応用によって、生命科学、特にゲノムに関連した生命現象の解明を目標に、理論、アルゴリズム、実用的なソフトウェアの研究・開発を行っています。例えば、確率モデルを応用した遺伝子発見システムを開発して麹菌ゲノム解析に参加し、近種ゲノムとの比較を国際共同研究によって行いました(文献1-3)。
ゲノムDNAからRNAに転写されるものの、タンパク質には翻訳されない非コードRNA(non-coding RNA)の中に、重要な機能を持つものが多く見つかってきました。RNA配列からその二次構造を予測するソフトウェアとして、その精度の高さから広く使われているCentroidFoldをはじめ、二次構造に基づくRNA配列情報解析のアルゴリズムを多数考案し、発表・公開しています。(http://rtools.cbrc.jp, 文献4など)。また、実験研究者との共同研究で、新しい機能性RNAを発見し、その情報解析を行いました(文献5など)。さらに、「京」コンピュータを使ってRNA同士の網羅的な相互作用を計算機で予測しました(文献6)。
近年、DNA塩基配列を高速に読み取る装置の速度が1万倍以上になるという技術革新があり、大量の塩基配列が得られるようになりました。我々は、ここでも確率モデルを活用し、大量の配列情報解析に役立つソフトウェアを開発しています(文献7など)。また、微生物などに有用物質を効率的に生産させるため、人工的な遺伝子配列の設計と手法、ソフトウェアの研究を行っています(文献8)。
[文献]
1) Machida M, Asai K et al. "Genome sequencing and analysis of Aspergillus oryzae," Nature 438, 1157-1161 (2005). 
2) Nierman WC et al. “Genomic sequence of the pathogenic and allergenic filamentous fungus Aspergillus fumigatus,” Nature 438, 1151-1156 (2005).
3) Galagan JE et al. “Sequencing of Aspergillus nidulans and comparative analysis with A. fumigatus and A. oryzae,” Nature 438, 1105-1115 (2005).
4) Hamada M et al. “Rtools: a web server for various secondary structural analyses on single RNA sequences,” Nucleic Acids Reserch (to appear, doi: 10.1093/nar/gkw337).
5) Kawamura Y et al. “Drosophila endogenous small RNAs bind to Argonaute 2 in somatic cells,” Nature 453, 793-797 (2008).
6) Terai G et al. “Comprehensive prediction of lncRNA-RNA interactions in human transcriptome,” BMC genomecs 17 Supple1:12 (2016).
7)Ono Y et al. “PBSIM: PacBio reads simulator--toward accurate genome assembly,” Bioinformatics 29(1). 119-121 (2013).
8) Terai G et al. “CDSfold: an algorithm for designing a protein-coding sequence with the most stable secondary structure,” Bioinformatics 32(6). 828-834 (2016).
その他
日本バイオインフォマティクス学会理事(学会長;2013〜2014年度)。
情報処理学会会員。
International Society for Computational Biology会員(理事1997〜1998年度)
spacer
将来計画
ゲノム塩基配列だけでなく、遺伝子発現情報、タンパク質相互作用など様々なデータをもとに、より高次の生命現象に内在する情報処理に着目した研究を目指していきます。単に生物学に役立つ計算機利用技術を開拓するのではなく、情報学の立場から、生命現象をどのように理解し、モデル化し、抽象化するのか、常に問いかけながら研究していきたいと考えています。 
教員からのメッセージ
情報生命科学は、情報学を用いて生命現象の本質に迫ろうとする学問です。今後は、単に研究対象や手法を広げていくだけでなく、従来の情報学、生物学の枠内に縛られない新しい問題意識による研究が必要とされていると考えています。若い方々が新しい学問の構築に数多く参加してくれることを願っています。

top