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福田 健二 ふくだ けんじ/教授/環境学研究系
自然環境学専攻//自然環境評価学
http://hyoka.nenv.k.u-tokyo.ac.jp/prof.html

略歴
1986年3月 東京大学農学部林学科卒業
1988年3月 東京大学大学院農学系研究科林学専攻修士課程修了
1988年4月 東京大学農学部林学科助手
1991年9月 博士(農学)の学位取得(東京大学)
1996年4月 農学生命科学研究科森林科学専攻講師
1998年3月 同助教授
1999年4月 東京大学大学院新領域創成科学研究科助教授
2006年5月 同教授(現職)
教育活動
大学院:自然環境評価学、自然環境学演習I,II、自然環境学実習I,II、生物環境学演習I,II、生物環境学実験I,II、生物環境学実習I,II、自然環境学特別演習I,II,III、生物環境学特別演習I,II,III、生物環境学特別実験I,II,III、生物環境学特別実習I,II,III、環境植物学(農学生命科学研究科)森林科学特別演習(同)、森林科学特別実験(同) 農学部:生態系の中の人類、樹木医学、自然環境学汎論 他大学:樹木医学(新潟大学)
研究活動
 森林の樹木の生理状態および微生物の生態を指標として、環境ストレスを評価することを目指して研究している。現在の主要なテーマは、樹木の環境ストレス耐性の生理学的検討、森林における菌類の生態的役割の解明、樹木の診断,治療技術の開発である。
 これまで、松枯れにおけるマツの枯死機構を生理学的に解明し(4, 10, 12, 14)、環境条件や殺虫剤散布と被害程度の関係や、マツの根に共生する菌根菌がマツ林の健全性維持に果たす役割を明らかにしてきた(2, 6, 11)。また、都市化に伴う関東のスダジイ林の菌類相の変化(5 ),放置された草原・二次林の植生遷移や亜高山帯縞枯林の更新と林分発達に伴う菌根菌群集の変化(3, 7)、ブナやカシ類の葉の内生菌群集と環境の気温との関係を明らかにしつつある(1, 9)。より実践的研究としては、都市樹木を対象とした樹勢診断と治療技術の確立など、樹木医学的研究も進めている(8)。また,砂漠化が進みつつある中国の黄土高原やモウス沙地における緑化技術を確立するため、残存する森林植生の調査(13)や、現地に生育する樹木の乾燥耐性機構の解明などの研究も行っている。
[文献]
[主な論文]
1)Hashizume, Y., Sahashi, N. and Fukuda, K. (2008) The influence of altitude on endophytic mycobiota in Quercus acuta leaves collected in two areas 1000 km apart. Forest Pathol. 38: 218-226.
2)Ugawa, S. and Fukuda, K. (2008) Effect of aerial spraying of insecticide as a control measure of pine wilt disease. Forest Pathol. 38: 16-28.
3)Ugawa, S., Iwamoto, K. and Fukuda, K.(2007) Coexistence of Abies mariesii and A. veitchii in a subalpine fir-wave forest. Can. J. of For. Res. 37: 2142-2152.
4)Fukuda, K., Utsuzawa, S. and Sakaue, D (2007) Correlation between acoustic emission, water status and xylem embolism in pine wilt disease. Tree Physiol. 26: 969-946.
5)Ochimaru, T. and Fukuda, K. (2007) Changes in fungal communities in evergreen broad-leaved forests across a gradient of urban to rural areas in Japan. Can. J. Bot. 37: 247-258.
6)Ugawa, S. and Fukuda, K. (2007) Reduction of diversity in ectomycorrhizal fungal flora caused by damage from pine wilt disease. In: Woodward, S. and Lefort, F. eds.: Alien invasive disease and trade. 57-63, For. Res. Inst., Warsaw Russia.
7)Yamashita, S., Fukuda, K. and Ugawa, S. (2007) Ectomycorrhizal communities on tree roots and in soil propagule banks along a secondary successional vegetation gradient. Forest Science 53: 635-644.
8)清水淳子・林康夫・福田健二(2007) 名勝小金井桜における木材腐朽菌の発生状況.樹木医学研究 44: 128-129.
9)橋詰洋介・佐橋憲生・福田健二(2007) ブナ葉内生菌の地理的分布に関する研究.樹木医学研究 44: 130-131.
10)Utsuzawa, S., Fukuda, K. and Sakaue, K. (2005) Use of magnetic resonance microscopy for the nondestructive observation of xylem cavitation caused by pine wilt disease. Phytopathology 95: 737-743.
11)Ichihara, Y., Fukuda, K., and Suzuki, K. (2001) Supression of ectomycorrhizal development in young Pinus thunbergii trees inoculated with Bursaphelenchus xylophilus. Forest Pathology 31: 141-147.
12)Ichihara, Y., Fukuda, K., and Suzuki, K. (2000) Early symptom development and histological changes associated with migration of Bursaphelenchus xylophilus in seedling tissues of Pinus thunbergii. Plant Disease. 84: 375-380.
13)Fukuda, K., Suzuki, K., Maeda, T., et al. (1999) Vegetation of northern Shaanxii region of Loess Plateau in China and selection of adaptive tree species. In: Can biological production harmonize with environment? 373-376.
14)福田健二 (1999) マツ材線虫病の病徴進展における生理的変化(総説). 樹木医学研究3: 67-74.

[著書]
大森博雄・大沢雅彦編「自然環境の評価と育成」東大出版会,2005
鈴木和夫編「森林保護学」朝倉書店,2004
渡辺達三編「緑の環境設計」NGT出版,2002
鈴木和夫編「樹木医学」朝倉書店, 1999
森林立地学会編「森林立地調査法」博友社, 1999
その他
所属学会:日本森林学会、樹木医学会(総務理事・評議員)、日本植物学会、日本生態学会、日本菌学会、森林立地学会、植生学会、日本植物病理学会、根研究会、IUFRO(国際森林研究機関連合) 第7部門研究グループ「侵入生物と貿易」副委員長
社会活動:「樹木と緑化の総合技術講座」講師、「森林技術」編集委員、柏市こんぶくろ池公園アドバイザー会議委員
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将来計画
 環境問題とは、生態系の物質循環における処理能力を越えた人類の活動のことであろう。人類の全活動の基盤となる生態系の機能は、植物、動物、微生物と無機環境との多様で複雑な相互作用によって成り立っている。生態系における生物の機能やそのダイナミックな相互作用に基づいた環境評価が求められている。地球上でもっとも生物相が豊かで人間活動との関係も深い森林生態系を今後とも主たる研究対象にしながら、自然環境評価学という新しい分野を切り拓いていきたいと考えている。菌根をはじめとする植物と微生物との共生現象についての研究や、樹木の生理生態に基づいた緑化や樹木治療などの技術開発は、これから大きな進展が期待できる分野である。華々しい新理論の提唱や検証よりも、地道な自然観察や臨床から普遍性を目指したい。
  様々な他分野の教官と連携しながら、現実に生じている環境問題に対する短期的な問題の回避ではなく、根源的な解決に至るビジョンを与えるような研究を行いたい。
教員からのメッセージ
 自然および人間への興味は広く持つこと、実際の研究テーマは課題を具体的に絞り込むことが大切です。研究は山登りや畑仕事に似ています。ガイドブックやマニュアルはあっても最後は自分自身だけが頼りです。知識と経験にもとづく観察眼と勘、体力、根気、孤独に耐える能力、他人の意見を聞く能力などが必要です。自分で苦労して取ったデータと格闘するうちに,自然に対する新しい見方が得られることでしょう.
  また、研究者としてのみではなく、生活者として環境問題を考え、行動してほしいと思います。
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