spacer


片岡 宏誌 かたおか ひろし/教授/生命科学研究系
先端生命科学専攻/構造生命科学大講座/分子認識化学分野/生物の発育タイミング決定機構
http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/molecular-recognition/

略歴
1981年3月東京大学農学部農芸化学科卒業
1986年3月東京大学大学院農学系研究科農芸化学博士課程修了(農学博士)
1986年4月Sandoz Crop Protection 社 Zoecon Research Institute ポストドクトラルフェロー
1988年7月東京大学農学部助手
1994年6月東京大学大学院農学生命科学研究科助教授を経て1999年4月より現職
教育活動
大学院:先端生命科学研究論、生体分子認識化学、生命科学解析機器学
研究活動
脱皮・変態など昆虫に特徴的な様々な生命現象、特に発育を制御するホルモンに関する研究を大学院時代より行っている。研究当初、昆虫の脳および中枢神経系で作られる神経ペプチドホルモンの精製と構造解析を行った。最近は、昆虫の発育制御の中枢である前胸腺からの脱皮ホルモン(ステロイドホルモン)分泌調節機構に特に焦点を当て、抑制的に働く前胸腺抑制ペプチドやRF-アミド関連ペプチドと総称されるペプチドを同定した。また、前胸腺内の脱皮ホルモン合成に関わる酵素や調節因子、前胸腺の細胞膜上に発現しているペプチド受容体の同定などを進めている。これらの研究を通して、生物の発育タイミングがいかなる機構によってコントロールされているかを明らかにしたい。
[文献]
1) Yamanaka, N. et al. (2006) Regulation of insect steroid hormone biosynthesis by innervating peptidergic neurons. Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 103: 8622-8627.

2) Sakudoh, T. et al. (2007) Carotenoid uptake and silk coloration by an intracellular carotenoid-binding protein, the unraveled Yellow blood gene. Proc. Natl. Acd. Sci. USA., 104: 8941-8946.

3) Yamanaka, N. et al.(2008) Neuropeptide receptor transcriptome reveals unidentified neuroendocrine pathway. PLoS ONE, 3, e3048: 1-12.

4) Okamoto, N. et al. (2009) Fat body derived IGF-like peptide regulates post-feeding growth in Drosophila. Dev. Cell, 17: 885-891.

5) Yamanaka, N. et al. (2010) Bombyx prothoracicostatic peptides activate the sex peptide receptor to regulate ecdysteroid biosynthesis. Proc. Natl. Acd. Sci. USA., 107: 2060-2065.

6) Yoshiyama-Yanagawa, T. et al. (2011) The conserved Rieske oxygenase DAF-36/Neverland is a novel cholesterol metabolizing enzyme. J. Biol. Chem., in press .
その他
財団法人学会誌刊行センター評議委員(2006-現在)
日本比較内分泌学会幹事(2011-現在)
日本農芸化学会評議員(2011-現在)
spacer
将来計画
昆虫の特徴的な現象に注目して得られた研究成果をもとに、哺乳類を含む全動物、全生物に敷衍できる研究へと発展させたいと思っている。そのためには哺乳類研究のアナロジーをもとに昆虫を用いた研究を進めるのではなく、あくまでも昆虫の特徴を生かした研究を地道に進めることが重要と考えている。
最近、昆虫がいかにして季節などの環境情報を受容・蓄積し、どのような分子機構でホルモン情報へ変換して発育を制御しているか明らかにしたいと思っている。

教員からのメッセージ
生命科学の分野でも日進月歩で新しい技術、手法が開発されている。そのおかげで10年前なら数年かかった仕事がわずか数週間でできるようになった。一方、今話題になっている研究もいずれは過去の研究として忘れ去られてしまうかもしれない。また、大学院時代の研究を一生継続できる人はほんの一握りでしかいない。そのなかで、研究というものはどのように進めるべきか、今何をすべきか、さらに歴史に残る研究へ発展させるには何が大切か、を大学院時代につかんでもらいたい。成果を出すスピードを他人と争うことのみにとらわれないで、自分がその研究の主役であることを自覚して頑張ってもらいたい。
top