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齊藤 宏明 さいとう ひろあき/教授/生命科学研究系
先端生命科学専攻/先端海洋生命科学分野 浮遊生物生態学/生物海洋学、海洋生物地球化学
https://www.aori-saitolaboratory.com/

略歴
1986年3月東北大学農学部卒業
1996年2月東北大学博士(農学)
1987年4月農林水産省水産庁北海道区水産研究所研究員
1998年9月〜1999年8月デンマーク水産研究所客員研究員(併任)
2001年4月独立行政法人水産総合研究センター東北区水産研究所生物環境研究室長
2011年4月同生態系動態グループ長
2014年4月東京大学大気海洋研究所浮遊生物分野准教授を経て2016年6月より現職
教育活動
大学院:生物海洋学総論、プランクトン学演習:農学部:生物海洋学
研究活動
ミクロのプランクトンを調べ、海と地球の変動を知る
我々は、海洋生態系の主役であるプランクトンの生理、生態、行動を調査研究することにより、漁業生産や地球規模の物質循環過程を明らかにし、またそれらの変動要因を探求しています。
1.プランクトンの生理・生態が地球規模の物質循環に与える影響
プランクトンは陸上植物と同じ年間500億トンの炭素を固定して魚類生産を支えると共に、炭素、窒素、リン等生元素の海洋における分布を制御しています。我々の研究室では、室内実験や遺伝子解析によりプランクトンの機能を明らかにするとともに、研究船によるフィールド調査によってプランクトンを採集し、飼育実験や化学分析によって生理・生態を把握して、地球規模の物質循環に果たすプランクトンの役割や、環境変動に対する応答を調べています。近年は超高感度分光分析法を活用し、海の砂漠と呼ばれる太平洋亜熱帯海域におけるプランクトンの生元素リザーバー機能の解明に取り組んでいます。
2.海洋生態系サービスの変動特性把握および持続的利用に関する研究
人間社会は、水産物の生産、汚染物質の浄化、温暖化ガスの吸収といった海洋生態系からの恵み、すなわち海洋生態系サービスの安定な供給を前提として成立しています。しかしながら、自然要因および人為的要因により海洋環境は変化し、その結果生態系サービスの量と質が変化します。我々は気象学、海洋物理学、水産学等様々な研究分野の研究者と共同で、プランクトン生産がどのように漁業生産を支えているのか、また、海洋環境の変化が、プランクトン種組成や生産の変化を通じて、漁業生産に与える影響を調べています。近年は、栄養塩濃度が低い黒潮域において高い魚類生産が達成される仕組みを、物理的な栄養塩供給機構と多様な食性を持つ動物プランクトンによる栄養転送機構の観点から、研究しています。
[文献]
Nishibe, Y. et al. (2015) Degradation of discarded appendicularian houses by oncaeid copepods. Limnol. Oceanogr., 60, 967-976. doi: 10.1002/lno.10061
Nishioka, J. et al. (2011) Oceanic iron supply mechanisms which support the spring diatom bloom in the Oyashio region, western subarctic Pacific. J. Geophys. Res., Oceans. 116, C02021 doi:10.1029/2010J C006321
Saito, H. et. al. (2009) Biogeochemical cycling of N and Si during the mesoscale iron-enrichment experiment in the western subarctic Pacific (SEEDS-II). Deep-Sea Research II, 56 2852-2862 [doi: 10.1016/j.dsr2.2009.06.010
牧野光琢・齊藤宏明 (2014) 環境変動下の北部太平洋巻き網漁業. 水産振興 553, 1-57.
その他
日本海洋学会評議員(2013〜)・幹事(2015〜)、水産海洋学会評議員(2015〜)、Journalu of Oceanography編集委員(2011〜)、Frontiers in Chemistry, Earth Science and Marine Science編集委員(2015〜)、PICES(北太平洋海洋科学機構)科学評議会議長(2016〜)
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将来計画
温暖化ガス収支や魚類生産変動といった人間社会にも大きな影響を与える現象を理解するためには、海洋のプランクトンの生理・生態や環境変動に対する応答を明らかにすることが不可欠です。ミクロの視点から地球を俯瞰する、をモットーに、分子生物学や分析化学的手法によって栄養塩取り込みや炭素生産といったプランクトン機能の還元主義的解析を行うと共に、個々の構成者がどのように関連し合うことによって物質が循環し、また、海域の生産性が決まるのかを、システム思考により解明していきます。
教員からのメッセージ
海洋は宇宙と共に人類にとってのフロンティアです。特にプランクトンの機能に関しては不明な点が多く、多くの発見のチャンスにあふれています。フィールド調査では、新たな発見に必要なヒントを得られるでしょう。教科書をなぞるだけの研究ではなく、新たな発見を目指して、科学の世界に一歩を踏み出そうという意欲ある学生を求めています。
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