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青木 不学  あおき ふがく/教授/生命科学研究系
先端生命科学専攻/機能生命科学講座/資源生物制御学分野
http://www.k.u-tokyo.ac.jp/seimei/index.html

略歴
1982年3月 東京大学農学部畜産獣医学科卒業、1984年3月 東京大学大学院農学系研究科畜産獣医学専攻修士課程修了、1984年4月 聖マリアンナ医科大学医療技術職員、1984年12月 聖マリアンナ医科大学医学部助手、1987年9月 東京大学農学部助手、1999年4月 東京大学大学院新領域創成科学研究科助教授、2009年10月 東京大学大学院新領域創成科学研究科教授(現職)
教育活動
大学院:科学技術倫理論、発生制御科学
農学部:応用動物科学実習
研究活動
 これまでに、哺乳類精子の鞭毛運動調節機構と、卵および初期胚における遺伝子発現調節機構に関するテーマを中心として研究を行ってきた。
前者においては、哺乳類の精子が受精能を獲得する時に起こる著しい運動の活性化(hyperactivation)の機構について研究してきた。そして、hyperactivationは鞭毛の波形が非対称になることによって起こり、それはカルモジュリン系の機能低下がその原因の1つであることを明らかにした。さらに、この様な波形の変化が、受精の場である卵管において良好な運動性を保つのに必須であることを明らかにした。今後は、波形変化に関わる調節機構を分子レベルで解明していく予定である。
 後者においては、減数分裂を行う分化した細胞である卵が、受精後に全能性を持ち体細胞分裂を行う受精卵にどのような機構で変化するのかを明らかにするために研究を行ってきた。そのため、受精前後における遺伝子発現および細胞分裂の調節機構を調べてきた。その結果、受精前後ではこれらの調節機構が著しく変化し、それは受精前に卵に蓄えられたmRNAの翻訳効率の変化によるものであることを明らかにした。現在は、受精前後でmRNAの翻訳効率を変える因子の同定を試みている。さらに受精前後で遺伝子発現プログラムを変化させる機構、および受精後の遺伝子発現開始の調節機構を明らかにするための研究を現在行っている。また、将来的にはこの様な研究が、体細胞核を未受精卵に移植するクローン動物の作成、あるいは胚性幹細胞を用いる再生医療に有用な知見を与えることを期待している。
[文献]
(1) Akiyama, T., Suzuki, O., Matsuda, J. and Aoki, F.: Dynamic replacement of histone H3 variants reprograms epigenetic marks in early mouse embryos. PLOS Genetics, 7, e1002279, 2011.
(2) Nashun, B., Yukawa, M.., Liu, H., Akiyama, T. and Aoki, F.: Changes in the nuclear deposition of histone H2A variants during preimplantation development in mice. Development, 137, 3785-3794, 2010.
(3) Akiyama, T., Nagata, M. and Aoki, F.: Inadequate histone deacetylation during oocyte meiosis causes aneuploidy and embryo death in mice. Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 103, 7339-7344, 2006.
その他
日本哺乳動物卵子学会(評議委員)、J. Mammal. Ova. Res.編集委員、J. Reprod. Dev.編集委員
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将来計画
 研究については、現在行っている研究テーマをさらに発展させることを1つの目標としている。特に、受精前後での遺伝子発現プログラムの再構成を調節する機構、および精子鞭毛運動の調節機構の解明について力を入れていきたいと考えている。また、新領域創成科学研究科が目標としている学融合の理念に基づき、他分野の研究者とも協力し、新しい視点からの研究へのアプローチ、さらには新しい学問領域の創設にも努力していきたい。
教員からのメッセージ
 研究を行っていく上でもっとも大切なものは、研究への興味だと思います。ともかく興味深い、何故だろうということからスタートし、研究を続けている間ずっとそれを持ち続けることができたなら、充実した研究生活を送ることができるでしょう。そして、そのような人はきっと研究者として成功する可能性が高いと思います。
 そこでもし研究を志すなら、まず興味がある、何故だろう、知りたいという事象があるかどうかを自らに問うてください。もしあったなら、そのような分野の研究を行っている研究室を探して、そこで研究することを志してみてはどうでしょうか。
 そして、実際に研究を始めたなら、それまで以上にさらに何故だろう、知りたいということが増えてきて研究が楽しくなると思います。実は、知識が増えれば増えるほど、さらに分からないことが増えてくるのが科学であり、それが科学の面白さなのです。
 
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