spacer


山路 永司 やまじ えいじ/教授/環境学研究系
国際協力学専攻//開発と環境・水田工学・農村計画分野
http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/aee-labo/

略歴
1978年3月 東京大学農学部農業工学科卒業、1980年3月 東京大学大学院農学系研究科農業工学専門課程修士課程修了、1981年4月 同博士課程 中退、同年5月 東京大学農学部農業工学科助手、1986年4月 農学博士(東京大学)、1989年6月 同助教授、1996年4月 東京大学大学院農学生命科学研究科助教授(改組による)、1999年4月 東京大学大学院新領域創成科学研究科教授(現職)。
教育活動
大学院:農業開発論、農村計画論
農学部:農村計画学、国際農業プロジェクト論、国際開発農学演習I(分担)、環境と景観の生物学(分担)、環境と生物の情報科学(分担)
教養学部:食と地域の環境科学(分担)
研究活動
 担当分野は農業環境学である。従って、研究分野も農地を対象とした研究がベースであり、そこから発展して農村空間や農地の環境的側面も研究の対象としている。
  研究の第一は、農地とくに水田の整備にかかわる分野である。日本の水田農業は土地生産性は十分に高いものの労働生産性が低いという現実が指摘され、改革施 策が打ち出されてきたが、まだ発展途上にある。経営の大型化と基盤の大型化が具体的施策であるが、後者についての技術的展開を試みてきた。すなわち、水田 を大区画化した際にとくに問題となる均平精度について、その評価法を提言し、その低下をどのように防ぐかを、レーザーブルという新しい技術開発を踏まえ て、大区画水田での継続調査により明らかにした。また均平精度の水準が地表排水特性にどのように影響するかを定量化した。その定量化のために、3次元囲い 込みモデルという新しい方法を開発している。これらによって、基盤整備段階でどの程度まで整備すべきか、営農段階でどの程度の均平が可能かを示すことがで きた。この一連の大区画基盤整備についての知見は学位論文としてまとめられている。さらにこの知見を持って、諸外国の水田調査を行い、カリフォルニアの区 画整形に対する提言や、オーストラリアの稲作の環境に与える影響とそれへの対策等を行った。
 農業生産活動が環境に与える影響については、どのよ うな農業活動がどのような環境負荷を与えているかを整理した。畜産や畑作では環境負荷が非常に大きいが、それを農業セクター内で浄化するという視点から、 水田の水質浄化機能を現場レベルで実証するとともに、環境負荷低減策を追究している。
 農村空間を対象とした研究としては、条里遺構の整備水準観点からの分析、ネパールの農業集落の農地と住宅地の配置の考察や、農道ネットワークの研究、あるいは公園施設の景観イメージの分析と理想的公園の提示がある。
  以上は、いわば目的に対応した議論であるが、これらの研究に共通するツールを重視した研究も行っている。この一つがリモートセンシングであり、衛星画像と 地上物体との位置関係をより正確に合わせる手法の研究や、それを踏まえた分類精度向上の研究、途上国での土地被覆分類に関する研究がある。
 同様に、もう一つのツールがGIS(地理情報システム)であり、農地の賦存状況や整備水準をデータベース化し、統一的に扱うことで、ある条件を満たす農地を抽出したり、その面積を積算したりすることが可能とした研究等がある。
[文献]
1)安富・多田・山路編著:農地工学・第3版、文永堂、1999
2)Mizutani eds. : Advanced Paddy Field Engineering, Shinzansha-Scitech, 1999
3)農業土木学会編:新版・農村計画学、2003
その他
所属学会:農業土木学会(評議員97-99、理事06-07)、農村計画学会(理事:96-99、02-05、監事06-07)、日本写真測量学会、日本リモートセンシング学会(評議員95-03、理事04-05、編集委員95-05、編集委員長04-05)、地理情報システム学会、景観デザイン研究会(田園景観の魅力保全部会部会長02-04)、日本景観学会(理事99-)、棚田学会(理事06-)。
各種委員会:人事院試験専門委員(92-95、98-00)、農林水産省土地改良計画設計基準水田委員会委員(97-)、農林水産省全国直播稲作推進会議委員(95-)等。
spacer
将来計画
 生産性の高い農業を展開しつつ環境に配慮し持続可能な発展を図るためには、その基礎的な資源である土地、水などの地域資源の持続可能な利用を支えるイン フラストラクチュアの開発・整備が不可欠である。そこで、生物生産のために各々の地域において安全で安価で良質な食料等が豊富にそして持続的に生産される ための、農業環境学の考究を進めたい。
  具体的な研究テーマとしては、まず水田の生産性向上である。日本においては土地生産性の維持・向上は引き続き重要であるが、労働生産性の向上はより緊急の 課題であり、その手法として大区画水田の整備手法および直播栽培に適した基盤整備手法を考える。海外においては、土地生産性の向上を主に据える。インドネシアにおけるSRI稲作の理論的・実証的研究を推進する。タイにお いては熱帯湿地林からの開発水田の生産力を評価し向上手法を提示する。ラオスにおいては水稲生産の不安定性の解消を水田基盤面から考究する。これらの考究 により、農地面積を必要最小限に留め、自然林を積極的に保全する。畑地については、生産力および環境保全的側面から、農地侵食のメカニズムを解明し、より 効果的な保全対策を提示したい。
 これらの農地そして農村空間を管理するのは、農村の地域住民である。その農村空間を美しく快適に維持するための土地利用計画を考究する。
  さらに、海外で展開される農業開発プロジェクトについて、技術面からの評価に加えて、環境的側面からの評価、経済評価についても行い、総合的な評価システムの構築を目指したい。
教員からのメッセージ
 よく見て、よく考えよ。
 街を出て、農村に出かけよう。農村の現実をよく見て、よく考えよう。そして、農村の豊かさを味わいつくそう。
top