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飛原 英治 ひはら えいじ/教授/環境学研究系
人間環境学専攻/人間エネルギー環境学分野/環境に適合したエネルギーシステムの構築
http://www.hee.k.u-tokyo.ac.jp/

略歴
1982年3月東京大学大学院工学系研究科機械工学専攻博士課程修了(工学博士)
1982年4月東京大学工学部講師
1983年4月同助教授
1993年5月〜1994年3月カリフォルニア大学バークレー校客員研究員
1999年4月より現職
教育活動
大学院:環境エネルギーシステム学特論
大学院共通科目:環境経済学,環境ビジネス論
工学部機械工学科:熱工学第一,環境エネルギーシステム,環境・エネルギー戦略論
研究活動
 これまで人間は,快適な環境を整備するために莫大なエネルギーや資源を消費してきた。その結果として,オゾン層の破壊や地球温暖化問題などが顕在化し,現在その解決に対して一刻の猶予も許されない状況となっている。このような環境問題の解決を進めるにあたっては,エネルギー消費を伴う快適性の向上も同時に満たさなければならない。環境に優しくかつ人間の快適性も損なわないような社会づくりをするための,技術的な基盤を提供するための教育と研究を行っている。

1)低温室効果(Low-GWP)冷媒を用いるヒートポンプの総合的研究開発
 わが国の一次エネルギーの1/4は民生部門で消費されており,その中の約半分は冷暖房用に消費されている。冷暖房機器の作動媒体として用いられてきた代替フロンは温室効果ガスとして規制され,新しい低GWPの媒体の開発が求められている。低GWP冷媒は化学的に不安定なため,弱い燃焼性を有し,普及を阻害している面がある。微燃性冷媒を安全に利用するための研究や微燃性冷媒を用いる熱交換器の高性能化のための研究を行っている。
 ・新冷媒の熱物性研究
 ・微燃性冷媒が室内に漏洩したときの拡散シミュレーション
 ・微燃性冷媒の熱分解の研究
 ・冷媒と潤滑油の混合気のディーゼル爆発

2)太陽エネルギーの高効率利用の研究
 太陽光発電と太陽熱利用は最も期待される再生可能エネルギーであるが,自立的な普及を目指すには一層の低コスト化が必要である。太陽光と熱を同時に利用するシステムの開発や,太陽熱を利用した空調システムの開発を行っている。太陽熱を利用して冷房を行う空調機器としては吸収冷温水機,デシカント空調機,エジェクター空調機などの研究開発を行っている。
 ・太陽光・熱同時利用コージェネレーションシステム
 ・太陽熱利用吸収冷温水機の特性解析
 ・太陽熱利用デシカントシステム

3)潜顕熱分離空調の研究
 室内の居住環境を快適に保つために用いられる空調機の役割は,室内温度の調整ばかりでなく湿度の調整も必要である。現在の空調機は温度と湿度を同時に調整しているので,調整能力には限界があり,エネルギー効率も限界がある。本研究では,温度と湿度の処理を分離して,一層快適な居住空間を提供する空調機の研究開発行っている。
 ・デシカント材の動的吸脱着特性の研究
 ・潜顕熱分離空調のためのデシカントシステムの研究

4)マイクロチャンネル熱交換器の研究
冷凍空調機器や電子機器の冷却に使われる熱交換器の高効率化,小型化のためには,冷却媒体が流れる管を細径化することが有効である。伝熱性能が向上し,圧力損失は増大しないマイクロチャンネル熱交換器の構造や仕様について,シミュレーションや実験を積み重ねることによって,最適化を行っている。
 ・細径管内沸騰,凝縮熱伝達の研究
 ・扁平多孔管内熱伝達と圧力損失の研究


太陽エネルギー・コージェネレーションシステムの概念図
太陽エネルギー・コージェネレーションシステムの概念図

[文献]
1) Kamiaka, Dang, Hihara: Vapor-liquid equilibrium measurements for binary mixtures of R1234yf with R32, R125 and R134a, Int. J. Refrigeration, 36-3, (2013), 965-971.
2) 斎藤,党,飛原: 水平細管内の冷媒R1234yfの沸騰熱伝達に対する潤滑油の影響, 日本冷凍空調学会論文集,30-4,(2013),451-462.
3) Wang, Dang, Hihara: Experimental study on condensation heat transfer of low GWP refrigerant HFO1234yf in a horizontal tube, Int. J. Refrigeration, 35-5, (2012), 1418-1429.
4) Zhang, Hihara, Matsuoka, Dang: Experimental analysis of mass transfer in adiabatic structured packing dehumidifier/regenerator with liquid desiccant, Int. J. Heat Mass Transfer, 53, (2010), 2856-2863.
5) Dang, Haraguchi, Hihara, Flow boiling heat transfer of carbon dioxide inside a small-sized microfin tube, Int. J. Refrigeration, 33-4, (2010), 655-663.
6) 飛原: 自然作動媒体を用いたヒートポンプの性能評価, 日本冷凍空調学会論文集, 17, (2000), 85-97.

その他
日本機械学会,日本伝熱学会,空気調和衛生工学会,日本冷凍空調学会,ASHRAE各会員。
経済産業省産業構造審議会臨時委員,資源エネルギー庁総合資源エネルギー調査会臨時委員,環境省中央環境審議会専門委員など。
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将来計画
 地球温暖化の防止のためには民生部門のエネルギー消費の削減が不可欠といわれていますが,そのためには民生部門へのベストミックスエネルギーシステムの導入と,環境負荷の小さい冷凍空調システムの普及が重要です。われわれの研究室では,社会として最適なエネルギーシステムの提案,革新的冷凍空調技術に関する基盤技術の確立を通して,環境・エネルギー問題という今日的課題に解答の一つを提案していきたいと考えています。
教員からのメッセージ
 社会に必要なエネルギーの供給と効率的なエネルギー利用の技術を広範に研究しています。特に,人間にとって快適な環境とはどんなものか,どのように作れば良いか,環境負荷の小さい環境作りとはどのようにすれば良いのかなどを,われわれの生活と等身大の視点から,研究することを心がけています。環境学では,さまざまなバックグランドをもった学生が進学するので,多様な価値観に基づき,多様な方法による研究を行い,社会の必要とする素養を身につけた学生を社会に送り出すことを使命と考えています。
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