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岡部 明子

(おかべ あきこ/教授/環境学研究系)

社会文化環境学専攻/空間環境学講座/建築環境デザイン,建築まちづくり,公共空間論

略歴

1985年3月東京大学工学部建築学科卒業
1985年5月(株)磯崎新アトリエ(バルセロナ)
1989年3月東京大学大学院工学系研究科建築学専攻修士課程修了
1989年4月~2003年3月建築デザインや取材執筆に従事
(1996年1月~一級建築士事務所「堀アーキテクツ」主宰)
2003年4月東京大学大学院新領域創成科学研究科助手
2004年4月千葉大学工学部助教授を経て2011年4月より教授
2005年3月博士(環境学)
2015年4月より現職

教育活動

大学院:統合環境デザインスタジオ,環境設計論,社会文化環境学概論
工学部建築学科:建築設計製図第三
千葉大学大学院工学研究科:公共空間論
千葉大学工学部建築学科:都市環境デザイン

研究活動

A. かやぶき民家ゴンジロウプロジェクト(2009~):
屋根を葺き替えたり,廃屋にキッチンを挿入したり,土間を蘇らせたり,継続的に既存建物に「介入」する活動を,学生たちと地元の人たちと続けている.人口減少時代に既存の物的環境と付き合うとはどういうことかを,実践を通して示してきた(文献1).




B. 〈環境ヴォイド〉によるスラムへのミクロ介入(2009~):
ジャカルタ(インドネシア)中心部の超過密スラムでのフィールド活動.〈環境ヴォイド〉とは,インフォーマルに密集した既存の物的環境を受け入れて,当事者たちのセルフビルドの延長できる環境改善のアイディアである.建物と建物の間や建物の背面に細いヴォイドを挿入することで,通風と採光が格段によくなることを実践し,当事者たちと効果を共有した(文献2).




C. EUレベルの都市戦略に関する研究(1998~2010)
「持続可能な都市」の理念が,環境・経済・社会を統合したかたちで提唱される一方,実践的には疲弊地区にターゲットを絞ったミクロ介入で成果を実感できるよう戦略的に進められてきた経緯を明らかにした(文献3).
D. バルセロナの都市史と公共空間の理論研究(1990~)
都市空間の変遷を軸に,都市バルセロナの歴史を多角的に論じた(文献4).バルセロナ都市研究から派生して,物的な空間と市民社会が相互に影響し合う場としての公共空間を理論的に研究している.

文献

1)岡部:茅葺き民家を核としたケアの連環,公共研究, 10巻, 1号, pp.55-68(2014年).
2)雨宮,岡部,エヴァワニほか:メガシティの小さな躯体(チキニプロジェクト),SD2013,pp12-15(2013年).
3) 岡部:サステイナブルシティーEUの地域・環境戦略,全272頁,学芸出版社(2003年).
4) 岡部:バルセロナー地中海都市の歴史と文化,全254頁,中公新書(2010年)

その他

主な所属学会:日本建築学会,日本都市計画学会

将来計画

環境学的アプローチで,近代の計画学の限界を克服できるオルタナティブな空間環境デザインの理念を探求し続けます.実践面では,ミクロ介入の経験をアジア・アフリカ・ラテンアメリカに広げてシェアしていきます.これを支える理論を,公共空間を軸に構築する構想です.

教員からのメッセージ

社会文化環境学専攻は,学融合の横断的な知識や考え方を身につけるにはとても恵まれたところです.しかし,それだけでは,高度に複雑化した私たちの暮らす環境は変わりません.例えば,茅葺き屋根を葺き替える.スラム住民といっしょに建物をつくる.小さな実践を通して,社会環境問題の本質に迫りましょう.