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中谷 明弘 なかや あきひろ/准教授/情報生命専攻
バイオ情報科学講座/バイオデータベース分野/連鎖解析
http://nlab.cb.k.u-tokyo.ac.jp/

略歴
1994年3月東京大学理学部情報科学科卒業
1996年3月東京大学大学院理学系研究科情報科学専攻修士課程修了
1996年4月(株)日立製作所システム開発研究所
1997年11月東京大学医科学研究所寄付研究部門教員
2000年3月博士(理学)(東京大学)
2000年4月京都大学化学研究所助手
2000年6月理化学研究所脳科学総合研究センター研究員(非常勤)兼任
2003年4月東京大学新領域創成科学研究科情報生命科学専攻助教授
2006年4月理化学研究所脳科学総合研究センター客員研究員兼任
2007年4月東京大学新領域創成科学研究科情報生命科学専攻准教授(現職)
教育活動
大学院:情報生命科学基礎I, 情報生命科学演習, 遺伝子発現・ネットワーク解析学, バイオ統計・データマイニング概論
理学部:バイオデータマイニング
研究活動
生命現象を織り成す遺伝的要素の様々な挙動を数理的(かつ実用的)に明らかにするための解析手法の開発や実装方法の研究を行っています。手法の開発だけに留まらずに、実験系の研究室との共同研究を行って、実際のデータ解析での応用までを目指しています。


【QTL解析・連鎖解析】
連続的な数値として観測される量的形質(quantitative trait)の多くは、複数の遺伝子座群(quantitative trait loci)の影響を受けており、これらの遺伝子座の間の交互作用(エピスタシス)が形質の特徴づけに深く関係していることが知られています。
交互作用も含めた解析を行うには、関連遺伝子座間の組合せ論的な評価が必要になります。従来から、遺伝子座ごとの単独の評価(区間マッピング法など)は行われているのですが、交互作用の評価は十分に行われているとはいえません。そこで、遺伝子座間の交互作用も評価できる手法を開発して、データの解析に用いています。
そこで、区間マッピング法を多次元化した「2次元区間マッピング法」の他、分散分析(ANOVA)やアソシエーション解析によるマーカー間の交互作用の評価手法の開発も行って、アカクローバを初めとする植物などのQTL解析やSNPsによる疾患関連遺伝子のスクリーニング等への応用を進めています。


赤クローバーの開花時期に関連する遺伝子座間の関係ネットワーク
赤クローバーの開花時期に関連する遺伝子座間の関係ネットワーク



実際のデータの解析を行う際には、解析対象となる形質の数値の処理も重要です。例えば、形状にかかわる形質値は画像データとして観測されることが多いわけですが、画像処理によって適切な数値化を行う必要があります。また、遺伝的な基礎データとして連鎖地図の作成や改善が必要となることもあります。候補遺伝子座の抽出を中心として、関連のツール群の開発を行っています。対象となる問題は、計算機科学的にも、必ずしも簡単なものばかりではありません(効率良く解けないことがあります)ので、探索アルゴリズムなどでの工夫が必要です。
す。



【遺伝子ネットワークの解析】
様々なデータの中には、「もの」の間の「関係」が含まれています。この関係の全体はネットワーク構造となるので、「もの」の挙動を解明するには、ネットワークとして解析をする必要があります。
QTL解析・連鎖解析の部分で取り上げた遺伝子座間の交互作用も「関係」の例です。この他にも、例えば、タンパク質間の物理的な相互作用のデータや、遺伝子の発現レベルのデータにも同様の構造が含まれています。限られた個数の遺伝子間のネットワークの例でも、その全体像は複雑な構造になっていることは珍しくありません。実際の解析では、数百〜数千以上の遺伝子を扱うこともありますので、計算機によるネットワークの比較や特徴的な部分構造の抽出などの処理が欠かせません。


酵母のタンパク質相互作用と発現パタン類似の比較
酵母のタンパク質相互作用と発現パタン類似の比較




【クラスタリング解析】
クラスタリングは、多数の遺伝子を含んだデータの解析の基礎的な部分です。データの可視化と併せて直観的な切り口も提供します。
下図は、別々のグループによって観測された2つの酵母トランスクリプトームデータの中で共通してクラスタ化している遺伝子を抽出したものです。対角線に関して、左下領域と右上領域それぞれに別々のデータを表示して、行列要素は遺伝子ペアの発現プロファイルの相関係数を示しています(赤いほど正の相関)縦横両軸に沿って同じ順序で遺伝子を「適切に整列」すると、両データで共通して発現プロファイルが類似している遺伝子群は対角線付近にブロック構造(クリーク様構造に対応)を生成します。


酵母トランスクリプトームデータのクラスタリングと比較
酵母トランスクリプトームデータのクラスタリングと比較



この例では、遺伝子の整列順は、階層型クラスタリングの結果に基づいて決定していますが、樹形図の枝の上下を入れ替えて、行列の着色パタンを最適化することもできます。どの枝を入れ替えたら、着色パタンが最適化するかというアソシエーション解析を行っているともいえますが、この問題は線形配置問題に類似して「難しい問題」の一種だと考えられています。
開発したクラスタリングの手法は、遺伝子のアミノ酸配列間の類似の網羅的な情報のデータベースからのパラログやオーソログの情報の抽出にも用いています。
[文献]
その他
所属学会:日本バイオインフォマティクス学会会員
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将来計画
バイオ系のデータの周辺には多くの「例題」がありますが、理論的な興味だけではなく、実際にデータを作り出している研究者との共同研究などを通して、何をすべきなのかを明確にする実学的な見方も大切です。現在、データの解析には計算機は欠かせなくなっていますが、既存のソフトウェアだけで十分かというと、決してそうではありません。また、解析の下流段階としての単なるデータ整理だけでも不十分です。新しい解析の枠組みの提案こそが求められています。統計や組合せ論に基づいたアルゴリズムや並列計算機上も含めた実装方法の他、データベース化や可視化・GUIなど広い分野が研究対象となります。
教員からのメッセージ
計算機のみのいわゆるドライ・ラボです。テーマは各々が設定して研究を進めます(このページに書かれている内容に限定しません)。

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