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日下部 貴彦 くさかべ たかひこ/講師/環境学研究系
社会文化環境学専攻/空間環境情報学協力講座/モビリティ解析,交通工学,ITS
http://www.csis.u-tokyo.ac.jp/~t.kusakabe/

略歴
2006年3月神戸大学工学部建設学科卒業
2008年3月神戸大学大学院自然科学研究科建設学専攻博士前期課程修了
2010年9月神戸大学大学院工学研究科市民工学専攻博士後期課程修了(博士(工学))
2010年4月日本学術振興会特別研究員DC
2010年10月日本学術振興会特別研究員PD
2011年1月東京工業大学大学院理工学研究科土木工学専攻助教
2016年4月東京大学空間情報科学研究センター講師(現職)
教育活動
大学院:都市・地域情報解析
研究活動
都市スケールでのヒトの行動に関する動的な空間情報を収集・解析するための技術について研究を行っている.近年,IoT (Internet of Things)をはじめとした情報通信技術の発展は目覚しく,これまで難しかった時間・空間スケールでのヒトや自動車の移動に付随するデータの収集・蓄積ができるようになってきている.このようなデータに関連する技術を前提とし,より高度なヒトの行動データの収集及び分析方法を構築することで,安全で快適で効率的な都市機能のデザインに資することを目標とした研究を行っている.

ヒトの行動に関する動的空間情報の分析
情報技術の進展を背景として収集・蓄積可能となった交通に関連するいわゆるビックデータを解析し,長期間継続的に広域なエリアで収集された膨大な量のデータの全体像を把握し,特徴的・特異な現象を抽出するための技術を構築している.例えば,高速道路に設置されている車両感知器によるデータや,鉄道の交通系ICカードによる改札通過時のデータ(交通系ICカードデータ),物流業者が搭載しているGPSによって収集された大量(約1千億レコード/年の位置情報)のプローブカーデータなど,さまざまなセンシング装置によって自動的に収集された大規模な動的な空間情報を対象としている.このようなデータに対して,可視化手法の構築やデータマイニングを行うことにより,長期間かつ広域で発生する現象の把握,これを踏まえた現象のモデル化を行っている.今後の研究では,自動運転車両が収集するセンシングデータ等など将来収集される新たなデータに対応した方法論の構築が課題である.さらに,単なる現象の把握にとどまらず,このような大規模なデータ及びモデルに基づいたシミュレーション手法を構築することにより,これまでにない空間解像度・時間解像度で都市でのヒトの動きの推定・予測手法を構築していきたい.

データ融合手法の構築
従来,国や地方自治体が実施している交通調査(パーソントリップ調査など)で収集されるデータセットは,将来予測等のために収集されたデータセットであるため,予測に必要な詳細な交通行動が記録されている一方で,長期間・継続的な交通変動が記録されておらずヒトの行動の変動やばらつき等について分析を行うことが難しい.一方,交通系ICカードデータ等のデータは料金収受等を目的として収集されることから長期間・継続的なデータ収集が可能な反面,交通観測を目的としていないことから,従来の交通調査データで知ることのできる詳細な情報を直接的には得ることができず既往の交通調査データで可能な分析が難しいという問題がある.このような背景から,交通系ICカードデータと既往のパーソントリップ調査データを用いた機械学習によるデータ融合手法を構築することで,既往のデータセット及び交通系ICカードデータ単独では難しいトリップの属性の継続的な解析が可能となることを示した.今後の研究では,大規模なプローブカーデータ等を対象とするほか,融合を前提とした行動調査手法の構築や,機械学習による手法を取り入れた融合手法を研究することで,より多くの情報に基づいたモデルの精緻化を行う.
[文献]
1) 日下部貴彦 (2015) データオリエンテッド交通研究. 土木学会論文集D3 (土木計画学), Vol.71, No.5, pp.I_21-I_31
2) T Kusakabe, T Iryo and Y Asakura (2010) Data Mining For Traffic Flow Analysis: Visualization Approach. In: Barcelo, M. Kuwahara (eds.), Traffic Data Collection and its Standardization. Springer Series, pp.57-72
3) T Kusakabe, T Iryo and Y Asakura (2010) Estimation Method for Railway Passengers’ Train Choice Behavior with Smart Card Transaction Data. Transportation, Vol.37 (5), pp.731-749
4) T Kusakabe and Y Asakura (2014) Behavioural Data Mining of Transit Smart Card Data: A Data Fusion Approach. Transportation Research Part C: Emerging Technologies, Vol. 46, pp. 179-191
5) T Seo, T Kusakabe and Y Asakura (2015) Estimation of flow and density using probe vehicles with spacing measurement equipment. Transportation Research Part C: Emerging Technologies, Vol.53, pp.134-150
6) T Kusakabe and Y Nakano (2015) Information provision strategies eliminating deluded equilibrium caused by travellers' misperception. Transportation Research Part C: Emerging Technologies, Vol.59, pp.278-291
7) T Seo, T Kusakabe and Y Asakura (2015) Probe vehicle-based traffic state estimation method with spacing information and conservation law. Transportation Research Part C: Emerging Technologies, Vol.59, pp.391-403
8) Y Asakura, T Kusakabe, NX Long, T Ushiki (2016) Incident Detection Methods using Probe Vehicles with on-board GPS Equipment. Transportation Research Part C: Emerging Technologies, In press.
9) T Kusakabe and Y Asakura (2016) Combination of Smart Card Data with Person Trip Survey Data. In: Fumitaka Kurauchi, Jan-Dirk Schmocker (eds.), Public Transport Planning with Smart Card Data, CRC Press, pp.73-92

その他
土木学会、交通工学研究会、計画交通研究会、アジア交通学会、情報処理学会、IEEE、WCTRS各会員。
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将来計画
本研究室では,今後発展する様々なモビリティサービスを運用を念頭に,様々な情報技術を活用した交通観測・行動観測をもとに動的な空間情報を構成し,安全で快適で効率的な都市機能のデザインに資することを目指した研究を行います.
教員からのメッセージ
本研究室のテーマは,モビリティを中心として,ヒトの観測からシステム解析までの様々な分野を扱っています.コミュニケーションが重要な現場での調査のテーマもあれば,精緻なプログラミングや数理モデルが必要な研究テーマもあります.いろんな得意分野の学生さんに来ていただき,モビリティと動的空間情報にかかわる研究に接してもらいたいと思います.
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