新東京大学大学院領域創成科学研究科
海底熱水鉱床の持続可能な開発に向けて-我が国の金属資源確保と環境の調和-
第4回東京大学大学院新領域創成科学研究科定例記者会見

発表者 

飯笹幸吉  (東京大学大学院新領域創成科学研究科 海洋技術環境学専攻 教授)

発表概要

日本近海の海底熱水鉱床注1)が鉱物資源の宝庫として有望視されている。発表者は長年にわたって海底熱水鉱床を発見するための調査・研究を行ってきたが、ひきつづいて、生物多様性に留意しつつ資源開発を進めるための研究に取り組んでおり、最近の状況を紹介する。

発表内容

 日本の排他的経済水域(EEZ)は面積で世界第6位を誇る。この広大な排他的経済水域の海底には、レアメタルを始めとする鉱物資源の宝庫が眠っている。その一つが、近年になって発見された海底熱水鉱床である。発表者は、これまでに独自の探査手法を構築して、サンライズ鉱床を始めとする巨大海底熱水鉱床を発見するとともに、未踏海域におけるさらなる海底熱水鉱床の存在の可能性を指摘してきた。国もその資源としての可能性に注目しており、海洋エネルギー・鉱物資源開発計画を策定して、資源量を把握するための本格的調査に着手したところである。
 海底熱水鉱床の商業開発に向けた気運も高まる中、解決すべき主要課題とは何なのか。その一つは、生物多様性の保存と資源開発の両立である。なぜなら、これまでに発見された日本周辺の海底熱水鉱床はすべて活動的であり、そこには貴重な熱水生物が棲息しているからである。そこで発表者は、熱水生物や海洋環境に配慮した鉱床開発を可能とする新採取法(チムニー注2)から噴出しているブラックスモーカー注3)を直接採取する方法;図1)を立案し、7月9日開催予定のワークショップ「海底資源開発を目指した海底観測機器開発の最先端2010」で発表予定である。
 なお、東京大学大学院新領域創成科学研究科(柏キャンパス)では、水深1200 mより深い海底のサンライズ鉱床から採取した巨大な硫化物チムニーの展示を7月から開始する(写真1)。

著作

飯笹幸吉著『日本近海に大鉱床が眠る―海底熱水鉱床をめぐる資源争奪戦―』 (技術評論社)2010年4月刊行

問い合わせ先

飯笹幸吉 (東京大学大学院新領域創成科学研究科 海洋技術環境学専攻 教授)
電話番号/FAX :04-7136-4043
メールアドレス: k-iizasa@k.u-tokyo.ac.jp

用語解説

(注1)海底熱水鉱床
海底熱水活動に伴って海底下から重金属元素を含んだ熱水溶液が噴出することによって、海底及び海底近傍に沈殿形成された金属鉱床。
(注2)チムニー
海底に噴出した熱水溶液が沈殿形成した煙突状構築物。
(注3)ブラックスモーカー
チムニーから噴出した重金属粒子を多量に含んだ黒色の煙。

添付資料


図1 硫化物チムニーブラックスモーカーを採取するお椀型(右)及びラッパ型(左)収集機の概念図の例


写真1 八丈島南方の明神海丘カルデラのサンライズ鉱床において採取された硫化物チムニー。亜鉛・金・銀などに富んでいるこの試料は重量1トンほどある。7月から東京大学柏キャンパスにて展示予定。

 

 




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