第4回東京大学大学院新領域創成科学研究科定例記者会見
発表者
小野 靖(東京大学大学院新領域創成科学研究科 先端エネルギー工学専攻 教授)
発表概要
宇宙の磁場はどこから生まれるのか?
それを解くキーは、プラズマの磁力線のつなぎかわり(磁気リコネクション)(※1)とそれが集まった自己組織化(※2)である。この分野の国際COE活動「Center for Magnetic Self-Organization in Laboratory and Astrophysical Plasmas (CMSO)」を日米欧のCOE組織の連携によって本年4月からスタートした。
今後、国内外、分野内外で新しい形の「ボーダレス共同研究」、「ボーダレス人材育成=自由な留学」(※3)を実験的に実施する。
発表内容
宇宙の磁場の発生と消滅を説明するキーは、プラズマの磁力線のつなぎかわりとそれが集まった自己組織化である。それらを解明する新手法として、日米欧の実験室・宇宙観測・理論分野が連携して、本年4月にCenter for Magnetic Self-Organization in Laboratory and Astrophysical Plasmas (CMSO)を設立した。
今後、国内外、分野内外の境界を取り払った共同研究と人材教育、即ち「ボーダレス共同研究」「ボーダレス人材育成」を開始する。
組織は、日本学術振興会の先端研究拠点事業(JSPS Core-to-Core Program)と米国国立科学財団NSFのCOE組織、ヨーロッパの関連実験をリンクし、さらに東京大学大学院新領域創成科学研究科の外国人客員教員制度を組み合わせた。
核となるのは、日本学術振興会と米国NSFで認められたCOE組織、特に実験室プラズマを担当する東京大学とプリンストン大学、ウィスコンシン州立大学である。さらにビームを得意とする産業総合技術研究所、実験室天文学に有望な大型トーラスプラズマ実験を持つ英国のカラム科学研究所、自己組織化実験を有するパドバ大学が加わり、衛星観測を担当する国立天文台、宇宙科学研究所のグループがサポートを行う。
課題は、宇宙物理の解明のためプラズマと磁場の関係を解くことであり、
なぜ、プラズマ中の磁力線はつなぎかわるのか(磁気リコネクション)?
それが集まってなぜ構造をつくるのか(自己組織化)?
を解明する。同じ問題意識を持つ国際共同研究は急成長しており、今回、日米欧の国際COE活動を開始し、「境界のない共同研究」により研究の飛躍的発展をはかる。合わせて「境界のない人材育成=自由な留学」を実験的に行なう。近年、アジア諸国の中で欧米への留学者が少数にとどまり、ハングリー精神にやや疑問符がつく日本の学生・若手の意識と教育にも一石を投じたい。
会議発表予定
COSPAR2010(ブレーメン、ドイツ)招待講演:, July 18-25, 2010:
Yasushi Ono,「LABORATORY MAGNETIC RECONNECTION EXPERIMENTS」
問い合わせ先
東京大学大学院新領域創成科学研究科先端エネルギー工学専攻
教授 小野 靖
Tel : (PHS)03-5841-8686, 080-3552-0757、(本郷/居室)03-5841-6686
E-mail : ono@k.u-tokyo.ac.jp
用語解説:
- (※1)磁気リコネクション
- 導電性の高いプラズマ中で2本の磁力線同士がつなぎかわる現象で、宇宙でも実験室でもプラズマが磁場構造を変える際、必ず必要となる基礎過程である
- (※2)プラズマの自己組織化
- 宇宙や実験室のプラズマが磁力線のつなぎかわり(磁気リコネクション)を重ねることにより、構造を形成することである。太陽コロナの構造形成や降着円盤の渦の形成をはじめ、星の磁場そのものも自己組織化により形成される。
- (※3)ボーダレス共同研究、ボーダレス人材育成
- 1)国内と国外、2)実験室、観測、理論のどちらについても、研究、教育に境界がないこと。
添付資料
東京大学UTST実験装置で行った2つのトーラスプラズマの合体プロセス(自己組織化)の写真と、その境界で見られる磁力線のつなぎかわり(磁気リコネクション)。
