新東京大学大学院領域創成科学研究科
14年間のヤマザクラ満開日変化の映像をインターネットで公開
〜都市化の影響を観察できます〜

 東京大学は14年間のヤマザクラ満開日変化の映像を3月17日よりインターネットで公開します。併せて東京大学で開催される「AGS年次総会2010」会場においてオリジナル映像を上映し、山中の現地から日々送られてくるヤマザクラの映像を使った開花フェノロジーインターネット観察を国際共同研究会AGSの研究者に呼びかけます。

発表概要

 東京大学は、同大大学院農学生命科学研究科附属秩父演習林(埼玉県秩父市)(以下、秩父演習林)内に設置した森林映像記録ロボットカメラで森林映像の記録・解析を続けています。1996年〜2009年の記録映像からは、14年間のヤマザクラ満開日は変動しているが特に早まる傾向は見られないことが一目瞭然となりました。この度、衛星通信ネットワークと携帯データ通信により、山中の現地からの森林映像をインターネットで即時公開するシステムを開発し、3月に同大で開催される「AGS年次総会2010」において同14年の開花映像公開と即時伝送公開システムの運用デモンストレーションを行います。
 撮影記録を続けているヤマザクラは、東京都心から約90km西北西、標高1000mの山中にあって、都市化の影響は及んでいないことから、大都市のソメイヨシノの開花早期化傾向とは異なると考えられます。今春からはインターネット上のヤマザクラ開花映像を見ながら、都市化の影響の有無を観察できるようになります。 

発表内容

 東京大学大学院新領域創成科学研究科(研究科長:大和裕幸)は、同大学院農学生命科学研究科附属演習林(演習林長:白石則彦)と共に、同大秩父演習林(埼玉県秩父市)内に設置した森林映像記録ロボットカメラ(1995年に開発し1996年より稼働中)により継続的に記録している森林映像から、1996年〜2009年の14年間のヤマザクラ満開日の特定を実現しました(図参照)。これにより、誰もがひと目で14年間の満開日の変化を見て取ることのできるヤマザクラ最新14年間開花フェノロジー(phenology:生物季節学)ハイビジョン映像を製作しました。映像情報によると満開日には年変動があるが、早まる傾向は見られないことが明らかになりました。また、本年2010年の春からは同森林映像記録ロボットカメラを衛星通信ネットワークに接続して、電源と情報通信インフラが存在しない現地の記録映像の一部をデジタルビデオ圧縮し、キャンパスへ即時伝送してインターネットで公開するシステムを開発しました。これにより、日々伝送される映像からヤマザクラの開花フェノロジーを観測できます。満開日を含む開花フェノロジー映像と即時伝送公開システムは、3月に開催される「東京大学を含む世界の4大学による『地球規模での持続的な方策に関する国際共同研究会AGS』の年次総会2010」”Global Change and Sustainability - Pathway to the sustainable society in 2050 –“(開催場所:東京大学本郷キャンパス)の会場において、3月17、18日に公開発表します。
 東京都心から約90km西北西、標高1000mの山中のヤマザクラの満開日は年変動をしていますが、その様子は記録映像を見ることで、年齢や国籍を問わずにだれでも直感的に理解でき、いつでも再確認することができます。開花時期などのフェノロジー(phenology::生物季節学)経年変化情報は、森林環境における都市化の影響を知る手がかりとなりますが、14年間の映像からは、今のところ満開日が早まる傾向は見られないことが確認できます。今後、都市化が進行すると、大都市域に生息するソメイヨシノの開花のように早まることも考えられます。このように、開花映像は、関東地域の都市化の影響を見つめるためのわかりやすい指標となり、また環境教育の教材としての利用されることを期待し、小中学校の環境学習や授業において、ヤマザクラ開花インターネット観察を呼びかける予定です。
 今後、森林映像記録の蓄積とインターネット公開を継続させることで、過去に遡って長期の森林環境動態を容易に感性情報として深く理解することが可能となり、次世代の人々が地球環境保全を担う意識向上に寄与できると考えています。


図 ヤマザクラ満開日の年変動と5年移動平均(1996年〜2009年)
未発表データ

用語

「AGS(The Alliance for Global Sustainability)」は、東京大学、マサチューセッツ工科大学(アメリカ)、スイス連邦工科大学(スイス)、チャルマーズ工科大学(スウェーデン)というアジア、北米、欧州の3極を代表する4つの大学が、地球環境の保全という制約条件下での持続的な方策などの提言を行なう共同研究を推進している国際的なパートナーシップです。

「満開日」は、ヤマザクラの花の様子が変わらない日が2日間続いた場合の1日目の前日を満開日としました。

「5年移動平均」は、当年満開日とその前後2年間の満開日の計5年間を単純平均した値です。

問い合わせ先

東京大学大学院新領域創成科学研究科 自然環境学専攻 生物圏情報学分野 
准教授 斎藤 馨(さいとうかおる)
Tel:04-7136-5874 携帯電話:090-7200-5114
Fax:04-7136-4768
E-mail:kaoru@nenv.k.u-tokyo.ac.jp
住所:〒277-8563 千葉県柏市柏の葉5-1-5 東大環境棟560号室
http://bis.nenv.k.u-tokyo.ac.jp/kaoru/

AGS年次総会2010会場での見学取材と資料映像配布について

(1)日時 3月17日(水)9時30分〜17時  3月18日(木)9時30分〜14時
(2)場所 東京大学本郷キャンパス(東京都文京区本郷7−3−1)
経済学研究棟1Fフロア
http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_08_01_j.html
(3)上記の映像公開ブースではカメラ撮り取材が可能です。また会場にて資料映像をお渡しできます。ご希望の方は上記「問い合わせ先 斎藤馨」までご連絡ください。

東京大学本郷キャンパス経済学研究棟

東京大学本業キャンパス経済学研究棟




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