研究紹介

物理学研究の面白さのひとつに新物質・材料創成があります。私たちは半導体工学の超高真空薄膜成長技術を金属や絶縁体・有機分子に拡張し、高品質かつ特徴的なナノ構造を有する新物質・材料薄膜を作製します。 特にナノの世界では電子の自転角運動量に相当する「スピン」の性質が顕著に現れることに着目し、金属多層膜・有機分子超薄膜・トポロジカル量子物質を組み合わせて様々な量子スピントロニクス現象を示す新物質・材料薄膜デバイスを創成します。 新たな物性(物の性質)を見つけ、電子デバイス材料として機能化し、応用に供することが研究目的です。

三輪研究室 研究紹介

 

特徴的なナノ構造を有する新物質・材料薄膜の例。ありふれた材料であるFe・Pt・Pd等を原子レベルで積層することにより、新たな物性を示す新物質・材料薄膜デバイスを創成します。

三輪研究室 研究紹介

 

次世代不揮発性メモリの駆動技術として重要な電圧磁気効果の原理。高品質な薄膜デバイス研究と放射光X線分光研究の融合により原理の解明に成功し、室温巨大効果実現への足がかりを得ました。

メッセージ

「面白いと思えること」このシンプルな気持ちが今までなかったモノの発見や新しい物質を作っていくことに繋がっていきます。

大学で勉強した教科書の枠を外れて「世界で一番初め」を自分で作ることが大学院での研究です。 私が学生の当時、スピントロニクスの研究は走りでしたが、今まで流したことのない物質にスピンを流すことで多くの発見がありました。 スピントロニクスでは今でも数多くの発見があり、とても面白いので形を変えながら今も続けています。 自分が発見した新しいことは、最初はあやふやで他人にはわかりにくいものです。 けれどその内容を、相手にわかるようにきちんと伝えることが大事です。相手が理解してくれないと、本当の意味での発見とはいえないと思っています。 大切なのはどんなことでも謙虚な気持ちで一生懸命にやること。必要な知識をどのように得るか、そしてどのように知識を使うかが分かれば、専門に関わらずどこでも使える能力になります。 私の恩師は「周りの人を幸せにしたい」という気持ちで一緒に頑張ってくれる先生でした。それを引き継いで、私も大学院生やスタッフにとっていい環境を作っていきたいと思っています。

物質系専攻を志す学生へ

研究では教科書に書いてあるような世の中で知られていることは行いません。未だに誰もやっていないことを世界に先駆けて実施し、発表することにより世の中を動かすことが研究の目的であるためです。 私たちの研究室では原子層成長技術を利用した新物質・材料薄膜デバイスを学生さん自身が作製し、新しい物の性質を発見し、論文や国際学会等で発表することを大事にしています。私たちの研究は基礎的側面を多く持ちながら、実際の応用にもつながるものです。従って学問の世界と産業界の両方に触れ、視野を広げることができます。新物質・材料薄膜デバイスを用いた量子スピントロニクスの研究を物質系専攻で一緒にやりましょう。

プロフィール

三輪 真嗣 准教授

三輪 真嗣 准教授

2005年 大阪大学 基礎工学部 電子物理科学科 卒業

2007年 大阪大学 大学院基礎工学研究科物質創成専攻 修士課程修了

2007年 トヨタ自動車株式会社

2011年 大阪大学 大学院基礎工学研究科 助教

2013年 大阪大学より論文にて博士(工学)取得

2016年 大阪大学 大学院基礎工学研究科 准教授

2018年 東京大学 物性研究所 准教授

学生の声

安藤 遼哉

安藤 遼哉 さん

三輪先生はスピントロニクス分野の最前線でご活躍されており、バイタリティあふれる先生です。学生との距離も近く、研究に行き詰まった時には親身に相談に乗って下さります。また、本人の主体性を尊重して下さるので、学生は自分のペースで研究をすすめることができます。研究室の実験装置は非常に充実しており、最先端の研究をすることができます。自分でサンプルを作製するところから結果の議論にいたるまで、物性研究の醍醐味を存分に味わうことができる研究室です。


物質系専攻を志す学生へ

物質系専攻には幅広いバックグラウンドを持つ学生が集まります。大学院から新たな研究分野に挑戦する学生も多く、新鮮な気持ちで研究を行っています。みなさんもぜひ、物質系専攻で刺激的な研究生活を送りませんか。

研究室訪問

  • 04-7136-3300
  • 277-8561
  • 千葉県柏市柏の葉5-1-5
  • 東京大学大学院新領域創成科学研究科物質系専攻
  • 三輪真嗣准教授研究室
  • miwa@issp.u-tokyo.ac.jp