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体型を決める遺伝子 ~ハエの外骨格の変形をつかさどる遺伝子の機能を解明~

発表者
田尻 怜子(東京大学大学院新領域創成科学研究科先端生命科学専攻 日本学術振興会特別研究員)
藤原 晴彦(東京大学大学院新領域創成科学研究科先端生命科学専攻 教授)
小嶋 徹也(東京大学大学院新領域創成科学研究科先端生命科学専攻 准教授)

発表内容
動物の体の形は、たとえばサイとウマ、ナナフシとコノハムシ、のように近縁種の間でもしばしば大きく異なります。したがって、進化の過程で、たとえば足の本数や消化管の配置といった体の基本構造を変えずに全身の輪郭の形だけを変えるような遺伝子レベルの変化があったと考えられます。このような全身の″表面的な”形がどのような遺伝子によって制御されているのかはよく分かっていませんでした。

東京大学大学院新領域創成科学研究科の田尻怜子学振特別研究員,藤原晴彦教授,小嶋徹也准教授は,東京大学大気海洋研究所・共同利用共同研究推進センターの小川展弘技術職員と共同で、モデル生物であるキイロショウジョウバエにおいて、外骨格(クチクラ)を構成するタンパク質をコードする遺伝子obstructor-E (obst-E)が全身の体型を制御することを見いだしました。

ハエの幼虫の全身を覆うクチクラは、変態の際に前後方向に収縮し側方に拡がって、蛹の体を覆う囲蛹殻になります。このようなクチクラの変形によって前後に細長い幼虫の体型がラグビーボールのような蛹の体型(図、左上)に変化します。obst-E変異体ではクチクラの性質に異常があり、変態の際にクチクラの変形が起こらないため、幼虫の体型のままの細長い蛹ができます(図、右上)。クチクラを産生する細胞群である幼虫表皮のうち、前側(頭側)だけでobst-Eの働きを阻害した場合には蛹の前側だけが細長く、後側だけでobst-Eの働きを阻害した場合には蛹の後側だけが細長くなりました(図、下段)。

 

これらの結果から、obst-E遺伝子は体の″表面的な”形をじかに制御する遺伝子だと考えられます。本成果を足掛かりにして,動物の多様な体型がどうやってつくりだされるのかについての理解もより一層進むことが期待されます。

発表雑誌
雑誌名:PLOS Genetics
論文タイトル:Mechanical control of whole body shape by a single cuticular protein Obstructor-E in Drosophila melanogaster
著者:Reiko Tajiri , Nobuhiro Ogawa, Haruhiko Fujiwara, Tetsuya Kojima
DOI番号: :10.1371/journal.pgen.1006548
論文のリンク:http://journals.plos.org/plosgenetics/article?id=10.1371/journal.pgen.1006548

問い合わせ先
東京大学大学院新領域創成科学研究科先端生命科学専攻
准教授 小嶋 徹也
Tel: 04-7136-3659
E-mail: tkojima@k.u-tokyo.ac.jp