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ゲノム解析から明らかになった日本列島メダカの2つの旅路 -“出・北部九州ルート”と“出・但馬丹後ルート”-

    

 

発表者

勝村 啓史(岡山大学大学院自然科学研究科 研究員(学振PD))
尾田 正二(東京大学大学院新領域創成科学研究科先端生命科学専攻 准教授)
三谷 啓志(東京大学大学院新領域創成科学研究科端生命科学専攻 教授)
太田 博樹(北里大学医学部 准教授)

発表のポイント

・日本列島内のメダカの拡散ルートが、染色体ゲノムを調べることで明らかになりました。
・特に北日本メダカは但馬丹後地方を起源とすることを発見しました。
・さまざまな実験手法が確立しているメダカの進化史がわかってきたことで、今後はどのような遺伝子が環境適応に重要だったのか議論することができるようになりました。

発表の概要

 岡山大学大学院自然科学研究科の勝村啓史研究員(学振PD)と東京大学大学院新領域創成科学研究科の三谷啓志教授ら、北里大学医学部の研究グループは、メダカ野生集団の網羅的ゲノム配列情報を用いて、その移動史を明らかにしました。
 これらの研究成果は11月27日、アメリカ遺伝学会が発行するオープンアクセスジャーナル「G3: Genes, Genomes, Genetics」のEarly Onlineで公開されました
 これまで日本列島のメダカの移動史については、ごく一部の遺伝情報を使った研究しか行われてきませんでした。今回初めて、ゲノム全体を調べる方法によってメダカの移動史を明らかにしました。
 日本列島に住むメダカは大きく南日本メダカと北日本メダカの2つのグループに分けられると考えられています。南日本メダカは、これまでの研究から北部九州を起源として広がったことが推定されてきましたが、北日本メダカの起源はほとんど分かっていませんでした。ゲノムを網羅的に解析した今回の結果は、南日本メダカの北部九州起源を強く支持し、さらに南と北のハイブリッド(混血)が住む地域と考えられてきた但馬・丹後地方が北日本メダカの故郷であることを示しました。
 メダカは100年以上も前から実験動物として用いられてきたため、さまざまな実験手法が確立されています。本研究成果により、環境適応と遺伝子機能の変化の評価に応用できるユニークなモデル生物としてメダカが再評価されるものと期待されます。
 
 詳しい発表内容については岡山大学のプレスリリース(https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id582.html)をご覧ください。

 

発表雑誌

雑誌名:「G3: Genes, Genomes, Genetics」( 11月 27日)
論文タイトル:Medaka Population Genome Structure and Demographic History Described via Genotyping-by-Sequencing
著者:Takafumi Katsumura, Shoji Oda, Hiroshi Mitani, and Hiroki Oota
DOI番号: https://doi.org/10.1534/g3.118.200779