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石川県輪島市・岩手県大槌町にてゴルフカートベースの車両の公道走行実証実験を開始

 

会見日時

平成26年11月25日(火)13:30~14:30

会見場所

岩手県大槌町役場内 東京大学大槌イノベーション協創事業大槌本部(岩手県上閉伊郡大槌町上町1番3号)

出席者

鎌田 実(東京大学大学院新領域創成研究科人間環境学専攻 教授)

発表のポイント

(1)東大大学院新領域創成科学研究科鎌田教授らは、輪島商工会議所・ヤマハ発動機(株)と共同で、高齢者・障害者等のモビリティ確保にむけて、ゴルフカート2台を保安基準等に適合させることにより日本で初めて正式にナンバー取得を行い、公道での実証実験をはじめます。
(2)鎌田教授らは、東京大学大槌イノベーション協創事業の一環として、岩手県大槌町においても1台の車両を投入し、実証実験を行います。
(3)今回の実験は、超高齢社会において必須である高齢者等の円滑な移動手段の開発や長寿社会のまちづくりに役立ちます。今後、毎日の利用に便利に使えるか、道路交通環境下で安全に走行できるかなどを調査検討していきます。

発表概要

 ゴルフカートは主としてゴルフ場内における移動に用いられる車両ですが、4-5人乗りの超小型電気自動車の一つとも言えます。このゴルフカートを域内交通に役立てることは、特に北米のリタイヤメントタウンなどでの実績はそれなりにあるものの、日本では道路交通法・道路運送車両法などの法体系のもとで実践は困難として公道での走行実験は行われてきませんでした。(一時的な道路使用許可にもとづく走行を除く)
 輪島商工会議所では、このゴルフカートの簡易な構造による容易な乗降性、走行性能等に目をつけ、約4年前から、次世代交通として将来の本格展開を見据えて、公道外での実証実験等を行ってきました。今回、輪島商工会議所・東京大学大学院新領域創成科学研究科 鎌田実教授・ヤマハ発動機株式会社が共同でヤマハ発動機株式会社製のゴルフカートを改造し、灯火等を保安基準に適合させ、20km/h未満の低速走行車としての緩和規定によって、11月11日に正式に軽自動車のナンバー交付を受けました。石川県輪島市では、当面週末を中心に、港近くのエリアの回遊用に本車両を投入し、最大3名の乗客を乗せて周回させ、地元民ならびに観光客の近距離移動の足としての利便性、ならびにこの種の低速車両が他の交通に与える影響等を調査・検証していきます。
 また、鎌田教授は、東京大学大槌イノベーション協創事業の一環として、東日本大震災の被災地である岩手県大槌町においても、同様のゴルフカート車両1台のナンバー交付を受けます。大槌町では、イベント等における送迎用のほか、不便な仮設住宅からバス停や集会所までの交通手段としての活用を予定しており、その利便性等についての検証を行っていきます。
 

<参考情報>

(注1)輪島商工会議所、次世代交通対策事業
http://www.wajimacci.or.jp/gispri-seika/2013/product_1.html
http://www.wajimacci.or.jp/zenten-cart/2012/index.html
(注2)東京大学大槌イノベーション協創事業 ゴルフカートの活用
http://www.youtube.com/watch?v=XIrHG7DM-YQ

発表内容

 超高齢社会にむけて、高齢者等の移動の交通手段の問題が顕著になっていきます。地方では、マイカーが主流になっており、マイカーが使えると不便を感じませんが、免許のない層や加齢により運転困難な層にとって移動の問題は生活基盤の上で重要になります。高齢者が容易に使えるような超小型モビリティの検討、免許返納後の移動手段として6km/h超で走行する電動車いすの使用可能性検討、また代替手段としての路線バスやデマンドバス等の整備など、多方面からの検討が必要と考えられますが、特にバスやタクシーを使うほどの距離でない数百m以下の移動手段は、これまであまり検討されてきませんでした。

 今回、移動具をベースとしたゴルフカートは、文字とおりゴルフ場でのプレイヤーの移動用として、2人~5人乗りの車両として存在し、動力は電気モータとエンジンの2種があります。容易な移動を実現するために、電磁誘導式の自動運転車両も活用されています。車両としてみると、モータ車は超小型の電気自動車であり公道外の専用コース走行を前提とするものですが、必要な装備等を整えれば、保安基準に適合することにより、軽自動車としてのナンバー交付が可能であるという見解が国との協議により示されました。これを受け、輪島商工会議所と本学鎌田教授らが、メーカーであるヤマハ発動機株式会社と共同で取り組み、車両の改造・登録を実現しました。車両の外観を図1に、主要諸元を表1に示します。

 石川県輪島市では、輪島商工会議所が次世代交通対策事業として2011年度から、ゴルフカートの活用等について実証実験を行ってきました。これらは、道路使用許可を得て、他車等を入れずに専用コースとして車両走行をさせたもので、一部で自動運転も実施しています。今般のナンバー取得により、一般道路を他車両と混在する環境でも走らせることが可能になり、同会議所が目指す次世代交通の姿に一歩近づくことになります。本学鎌田教授らは同所の事業の協議会メンバーとして、今後の実証走行の評価等を行っていきます。(図2

 岩手県大槌町では、東京大学大槌イノベーション協創事業の一つとして、被災地における日常生活を支援するため、パーソナルモビリティ等の活用について実証実験を行ってきています。その一環として、役場前のバス停が盛土工事にともない県道の切り替えで約300m遠くなり、バス利用の住民が不便になったことに対し、ゴルフカートによる送迎を2014年9月上旬より始めました。公道走行ができないため、住民の土地をお借りして専用コースを整備し、シルバー人材センターからの派遣で運転手を雇用し、平日の8-13時の間運行しています。10月半ばからは、電磁誘導線を敷き、自動運転を行っています。(図3。ただし、安全監視員として運転手は同乗) 盛土工事の進展によりこの運行は11月中に休止となりますが、今般ナンバーを取得した車両を用いて、公道走行による運行や、不便な仮設住宅において高齢者等の交通手段として活用していく予定です。

 将来的には、乗客が目的地ボタンを押すことで、自動で走行できる「水平エレベータ」のような車両を目指して取り組みを進めていきます。

 

図1 車両外観

表1 車両の主要諸元

 


図2 輪島市での出発式(11月12日) 

図3 大槌町での専用コースでの自動運転の様子

問い合わせ先

東京大学大学院 新領域創成科学研究科人間環境学専攻 教授 鎌田実
mkamata@k.u-tokyo.ac.jp  電話04-7136-4666   FAX 04-7136-466

試乗会の様子